それは3月の東京展示会での事。
「いらっしゃいませ!遠い九州からのご来社有り難うございます」
わざわざ足を運んで下さる得意先に丁寧なお礼は欠かせない。
入社当初からお付き合いのあるMさん。
もうお互いの性格もクセもよく分かっている。
「今日は他社の展示会も多いからあまりゆっくり出来ないの。早速見ていくわ!」
相変わらずせっかちで気持ちに余裕がない。
「分かりました。今回は秋物1回目の商品で7/末~8/末にかけての納期です」
「じゃあ、上がって来たら9/21付で送ってくれる?無理ならそれまで止めておいてね!」
「えっ?」
「だから9/21で!」
今までそんな事言われた事ない。
Mさんに限らず他の得意先からも。
今回の納品は早い商品で7末。
ウチの会社では7末から8末に上がって来る商品に関してだけは
伝票を先付け8/21付や9/1付が渋々許される。
(本来は上がって来た日に即日納品するか月内での納品が基本である。)
それを9/21付にして欲しいとは社内外でもありえない。
先方もウチとは取り引きが長いので分かっているハズなのに…
「それは出来ません。遅くても8/末には送らせて頂かないと…!それが無理なら今回は受注を見合わせて下さい」
と、断った。
あまりにもありえないお願いだったので僕の言い方もキツかった様だ!
それに対して先方は
「何?その言い方!九州は10月まで最高気温が30℃あるのよ!それくらいしてくれたっていいじゃない!」
僕は以前から度重なる無理やお願いを聞いて来た。
それらに僕は僕の出来る範囲で対応して来た。
社長に分かれば怒鳴り散らされる様な事までMさんをかばってやってきた。
たぶん、それらが先方を増長させたのだろう。
だから断った。
「無理です」
「そんな融通効かないんだったら帰る」
と
ー 話し合いも出来ないのか ー
「ちょっと待って下さい」
ここであいまいになった関係に線を引くいい機会だと思ったが
「帰るから…」
と、帰って行った。
その後、社長から
「どうしたの?」
と、聞かれた。
「今回の展示会商品を9/21で納品して欲しいと言われたので断りました」
と、素直に答えた。
「あんなわがままなお店放っておけばいいよ!」
社長もMさんのわがまま加減を十分に知っていた。
「僕は散々わがままを聞いて来ました。怒って帰るからには先方もそれなりの覚悟があると思います。でも先方はウチを必要としてますから辞めないでしょう、いや辞めれないでしょう。それでも僕はこれを機会に取り引きを辞めて、他の新規のお店に行こうと思いますがいいですか?」
僕の営業活動に足を引っ張って来たMさん。
僕は取り引き中止を訴えた。
「お前が間違ってるんじゃないから仕方ないじゃない」
一応社長の了解を得た。商売は人対人で成り立っている。
お互いの言う分はある。
当たり前だ。
譲れない所、譲れる所はどちらにも必ずある。
それを調整して成り立たせるのが商売ではないのか。
どちらかが一方的なのはありえないし続かない。
僕はそれなりにわきまえているつもりであった。
しかし、この後に僕にとっての最大の問題が起こる。
つづく・・・