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思いやりの欠片もない社長の下でも

雇われている間は我慢しなければならないのが

サラリーマンだ。ただ扱いが酷過ぎる。


それにしても発言が酷過ぎる。


人を使う立場の人間がする事ではない。


すでに僕自身、社長に対しての忠誠心や会社に対しての気持ちは全く離れていた。


ただただ、田中さんと山田がいる関西支店というチームがある。


それを崩す訳には行かない。


自分のエゴで周りに迷惑を掛けられない。


これらの気持ちだけが僕の在職をとどまらせた。


ー まだ我慢だ! -


それにしても、ここ最近やたらと関西支店に対して

「クビにする」

「辞めさせる」

の言葉が目立つ。


昔からそうだった。

辞めさせる前は徹底的に相手を追い込む。


ー だいぶ来たなぁ!具体的な関西切りが ー


この時、僕と会社を結ぶ2本目の糸が切れた。

残り2本。

個人的な重要感を示す一番太い糸

それにつながる一番細い糸。


モチベーションが上がらない以上いつまで我慢出来るのか?

社長VS大阪支店の我慢比べが続く。


つづく・・・

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「あれっ?僕の今月の目標って1,500万でしたよね?

それが1,700万になってますよ!

田中さんも山田も200万ずつ上がってます!

今日の午前中まではこんな事になってなかったですよ!」


3人ともパソコンの画面の数字を疑った。


「本社に聞いてみるわ!」


すぐさま田中さんが本社へ電話した。


「お疲れ様です、田中ですけど、坂本社長いらっしゃいますか?」


「お待ち下さい。」


経理の女の子が社長に取り次いだ。


「はい坂本です」


「社長、予算って変更してますか?」



間髪を入れずに聞いた。


「バカヤロウ!当たり前だろ!昨年度は達成もしなかったんだし、昨対実績も割ったんだからその分上乗せしたんだよ!」


超不機嫌な社長。


ー 一体何が当たり前なのか?それは社長の理屈だろ!それに「バカヤロウ」は余計だろ! ー


「確かに昨年度は達成しなかったですけど、今期は今期の目標として昨年実績の10%アップで目標を組んで了承して頂きましたよね?」


「何を言ってるんだ!そんな事は昨年度に達成させた営業が言う事だろ!納得行かないなら辞めろ!他にも言っとけ!」


プッープッープッー」


強烈に一方的だった。


現在PM7


「アカン!切られたわ! さすがに今から売り上げ作るのは無理やなぁ!得意先も閉まってるし


田中さんはあんな社長に腹を立てるのがもったいないという風で、ある意味冷静だった。僕は2ヶ月連続の「クビにするぞ!」の暴言を吐いた社長にとうとう我慢出来なくなった。


「オレ、もう我慢出来ません!いくら社長でもそれはないでしょ!オレらは昨年の予算も実績も割ったから、悔しくて営業魂を振い立たせて、今月達成させたのに自分の理屈だけを正当化して、オレらの意見を聞かないのは虫がよ過ぎます!分からせてやる!」


と、僕が受話器を取った時、田中さんと山田に止められた。

「それで社長が分かってくれる人やったら過去に誰かが言うてるやろ!今、お前が言って社長が納得すると思うか?言ったお前は清々するかも知れないけど、お前がクビになったらオレらが困る。お前まで感情で突っ走らんとってくれ!頼むから我慢してくれ!」


すいません、ムキになって


支店内にどんよりとした重い空気が流れ続けた。

田中さんは責任感が強く、このままではますます全員の士気が下がるのを心配しながら提出書類をまとめていた。

士気が下がればミスも増える。

悪循環だ。


山田は気持ちを切り替えて、僕と田中さんに声を掛けながら前向きに棚卸しを始めた。


僕もやれる事はやったのだ!と前向きに考えようと気持ちの整理をしながら棚卸しに入った。


それぞれ3人が心の中で悔しがっていた。


つづく・・・

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2月に入り、新しい期を迎えた。

僕は昨日の社長の暴言を引きずりながら出勤した。

今期予算も昨対実績10%アップ。

しかし、昨日(1/31)までの昨年度が

予算と昨対実績を大幅に割った為

今年度予算、月別予算とも見えない目標ではない。


今月は春物の立ち上がり。

オケージョン(目的買い)も多く店頭の動きも早い。

午前中から得意先からの追加の電話が鳴り止まない。


「今日は雪が降ってるのに春物の追加が多いですよね~」


営業にとって得意先からの追加の電話は嬉しいものである。

追加対応に追われている内に昨日の社長の暴言に対しての感情も落ち着いて来た。


「でも、在庫にない商品も多いよなぁ!このままやったら売り上げにならないし


ここで田中さんは全員の手を止めさせてミーティングを開いた。


「このままでは受け身や!

大体追加の来る商品は予想出来るやろ!

そこで!

今月末にスプリングコートが上がって来るやろ。

あれは社長の勝手な提案で作り込んだ商品やから誰も売っていなくて

しかも上代1,000万の200枚が残ってる

。悔しいけどあれを積極的に勧めて売ろうぜ!

単価も取れるし数字になる。

これで今月の不足である3人で300万はカバー出来るし!

得意先のクセは各々分かってると思うから仕掛け方は任せる

売れて気分よくしている得意先に便乗して追加納品しよう!」


確かにその通りだ!


社長が勝手に作り込んだとは言え、残せば怒鳴り散らされる。


営業は売ってナンボだ。


数字を作ってナンボだ。


そして得意先で売れれば信頼につながる。


社長と敵対している場合ではない。


気分を入れ替えて1ヶ月間提案し続けた。


それらの努力が功を奏し、まず田中さんと山田の2人が目標達成した。

そして2月末の営業最終日。


「よし!鈴木も達成したな!これで全員達成や!」


田中さんが全員の数字をまとめ始めた時

コンピューターの自身の売り上げと目標を見て愕然とした。

達成率が100%になっているハズのものがなっていない!


つづく・・・