そんな状況の中、アペリティフNo2で取締役でもあるデザイナーの松井さんからこんな話を聞いた。



「コンコンコン」

松井さんが社長室のドアをノックした。

「ハイ」

と、社長のトーンが低い。

「失礼します」

と、松井さんが4階の社長室に入った。

松井さんは男だが女口調だ。ピーコを想像してもらえれば分かりやすい。

「社長どうしたの?全然下におりて来ないから心配になっちゃって

松井さんはあまりにも社長が社内で姿を表さないのが気になって声をかけに行った。



その時社長はうつむいて

「松井君、どうしたらいいか分からない…」


ー それなら怒鳴り散らさず素直に社員と一緒に考えたらどうだ! ー



「そんな事言わないでよ。30年間頑張って来たじゃない。」
と、松井さんは慰めた。

「それは時代背景が良かったからだよ」


それ以上松井さんは何も言えなかったらしい。



ボクはその時思った。



ー あぁ~この人も社長と一緒か! ー



こんな取締役2人に会社の舵取りを任せておけばいつどこで難破するか分からない。



これに比べ、前の会社の社長は必ず時代背景の話してくれた。

そして、会社の方向性や考え方、生き方まで熱く語ってくれた事もあった。

朝礼の話が長くて女の子が倒れる事まであった。

そしてその話はそのまま営業で使えたくらいだ。



ー オレもいつかあの様になりたい ー



と本気で思ったものだ。



ただ今さらウチの社長にそんな事を求めても不可能だ。

しかし、それが出来ないのなら、もっと社員を大切にして欲しい。

また、人を人として接して欲しい。社員はモノでも奴隷でもないのだから


軽蔑目線はやめろ!

そして、社外で自社の営業を「情けない」とけなすのもやめろ。



心から思う事はもっと謙虚になって欲しい。



毎日自分の都合と思いつきだけで社員を引きずり回すのはやめてほしい。

それらは1日本社にいるだけでよく分かる。



つづく

今度は究極に呆れ果てた出来事があった。

それは新年早々の初出の朝礼。

まずは社長からの新年の挨拶から始まる。

そして、その後の言った言葉が問題。

東京の藤原さんは

「おっ、社長が初めて豊富を語るぞ!」

と、期待していた。


その時社長は言った!


「今年は返品を取らないっ!」


「えっ?それだけ?」

と、耳を疑い、さすがの藤原さんもめまいがしたそうだ。

それを聞いた僕達もあ然とした。


ー 一度くらいは絵に描いた餅でもいいから描いてくれ ー




それにしてもそれがトップの掲げる目標か?

それは営業が日々の営業活動で意識する心構えであって、年間の目標に掲げる事ではない。

全く戦闘レベルでしかモノを考えられない、目の前の事しか見えない、全く先が見えない?いや見ようとしない。時には終わった過去の事まで掘り返して来てダメだしする人がトップとは社員も不幸だ。何においても前に進まない。もちろん会議も!


こんな社長も今は60歳。後5年で引退するらしい。息子に継がせる意志はないとは聞いている。

ではその後は?

残された社員は?

についても全くだ。

そんな人が社員を引っ張って行けるハズがない。向かって行く方向を指してくれないのだから


ましてや年金や退職金の心配ばかりしていると聞いた事がある。

んな危機的な状況なのに絵に描いた餅も描けない。


ー 社員を路頭に迷わす気か? -


と、呆れたくもなる。

世間の企業の社員は自社の社長の事を

「何を考えているのか分からない」

と腹を立てたり嫌ったりするというが

ウチの社長の場合は

「そんな事しか考えてないのか!」

と、僕たち営業でも普段考えている様な事しか考えていないのに腹が立つ!

ある意味考えている事が分かり過ぎる。

残念ながら過去において「さすが!」と思わせてもらった事は一度もない。

これに比べ、他社ではこんな話を聞いた事がある。

「隣りの芝生は青く見える」と言うが参考までに



その会社は一昨年までは売り上げも上がらず、全くの赤字メーカーであった。

しかし、昨年、別会社に吸収され、前経営者と役員は解雇となり、昨年は売り上げこそ横這いだったが、新たな赤字を出すどころか、借金返済が順調にすすんでいると言う。

経営者が変われば経営の仕方も変わる。経営の仕方が変われば内容も変わる。

テレビや本でそんな話を聞いた事はあるが、身近な会社にそんな話があるとは驚いた。

そして肝心な、

「どのようにしたらそうなったのか」

を聞いてみたらこうだった。


その会社には常に監査役という人がいて、その監査役が毎月のさじ加減を取っているらしい。目標も無闇やたらと上げない。企業規模と市場状況を十分にわきまえているから。そして大体の仕事は営業や社員に権限を持たせている。

決して指示待ち営業はいない。

そして最後の詰めはきっちり監査役が押さえている。


例えば、営業や社員に対して事前に

「今月は無理に売り上げを作らなくてもいいから仕入れをいくらいくらに押さえてくれ。」

とか

「今月はこれだけ物作りをしてもいい」

などなど明確な指示があるらしい。


この指示が起り得るであろう結果を予測しての事前の指示なので、この会社にはウチの様にすべてを無責任に社員に丸投げして、結果で怒鳴り散らすなんて事はない。

ウチはこの様な役割をなす人を社長自らが首を切って、自分ですべてを仕切る様になった。それならそれで明確な指示を与えてくれればいいのだが、

僕たち営業は

作れと言われて作れば社長に怒鳴られ、

作らなければ作れと怒鳴られ、

売れと言われて売れば怒鳴られる。

やる事なす事イチイチケチをつけられる。

ー どうして将来のビジョンや戦略が語れようか… 


こんな社長の会社に企業理念など存在しない。