社長は考えた。
営業が日々の仕事(目の前の仕事)に追われて
疎かになっている事とは何なのか?
新規開拓活動である。
社長はここに目を付けた。
ー いつまでたっても社員に仕事を任せれない人だ! ー
そして朝礼で
「今日から私が自ら2ヶ月後の展示会に向けて東京都内及び周辺の新規開拓を行ないます」
と、お前たちがやらないからと言わんばかりに言い切った。
今まで全く営業などした事のない社長である。
社内の営業は全員
ー あれだけ毎日オレらに暴言を吐くくらいだからそれなりの事はやってくれるだろう。もしこれで社長が新規得意先を数件でも獲得すれば納得して暴言を受け止めよう ー
と思った。
社長は毎日新規開拓に出掛けた。
そして毎週水曜日、活動状況のFAXが届いた。
その内容とは
「ゾーンが違う。オーナー不在。定休日。」
などなど
見て呆れた。
ー それって行ってるだけやん!しかもすべてが行き当たりばったり! ー
前述までの社長の日頃の発言や行動を見ていたら確かに頷ける結果だ。
そして1ヶ月後の新規開拓報告はこうだ。
「どこそこのお店は感度がよく、5度目の訪問。なかなか商品を気に入ってもらえないがあきらめずにアプローチする」
と…
ー それってあなたの自己満足で訪問してるだけやろ!回数重ねればいいって問題でもない。戦略も情報も何も持たずにただ単に訪問してるだけではハッキリ言ってしつこいだけ! ー
社員の心を掴めないのに得意先のしかも新規のお客様の心何て掴めない。
社員に熱く怒れても熱く語れない人間がお客様に熱く語れるハズがない。
ビジョンを持たない社長にどこぞの新規の得意先が共感してくれるのか?
おそらく行けば何とかなると思っていたに違いはない。
そうでない限りこんな報告にはならない。
またこんな報告をぬけぬけとしてくる事自体に社長の仕事力を疑う。
普通なら朝一と昼一のアポだけは最低限に取って、それ以外の空き時間は飛び込みなり情報収集などを行って1日の仕事とするのが普通だ。
アポなしの飛び込みだけでは、下手すると全く成果のないまま1日が終わり兼ねない。
その結果、1件も開拓出来なかった。
当然の結果だ。
でもさすがに同情した。
社員に同情される社長もどうかと思うが…
それよりも社員が仕事しやすい環境を整えて欲しい。
「あなたが毎日営業の仕事の手を止めているから新規開拓活動にまで手が回ってないのですよ!社内環境を整えるのがあなたの仕事でしょ。」
と、分かって欲しかった。
仕事をしていると目の前にある問題点ばかり目を奪われてしまい、目標を見失う事が多々ある。
今のウチの会社はまさにこの状態だ。
その時に、目標を見失わずに、全体を最適化して社員を真の目標に導いて行くのがトップの仕事だろう。
社長が目の前にある問題ばかりに気を取られててどうする?
やはり
「目標のない会社」
と確信した出来事だった。
つづく