そう言って病室を後にした。もう二度と会えない事もわかっていたのに・・・
まだ寒さの残る2月20日 10時16分
我が愛する女房、延子が逝ってしまった。
あれから半年以上の時間が過ぎ、少しづつゆっくりと悲しみが和らぎ、延子のいない日常を受け入れられるようになって来た。
だが
寂しい。
よく心に穴が開くと言うがそんな表現じゃ足りないぐらい寂しい。
名前を呼んでも、部屋のどこを探しても信子はいない。
使っていた茶碗、箸、服、化粧品、部屋のにおい。
家のいたるところに信子がいたあかしがある。
でも延子にはもう二度と会えない。
延子のいない世界に違和感を感じ酸素を吸っては溜息を吐く毎日だ。
何百人もの野郎を従えた東北連合の鈴木はこんなにも弱い男なのです。
延子とは中学の頃からのつきあいだ。
そんな夫婦はなかなかいないので誰もが驚く。
誰よりも俺を理解し、誰よりも信頼出来、誰よりも苦労し、そして誰よりも愛してくれた。
今想う「彼女は幸せだったのだろうか?」と
俺に出会ってなかったらもっとまともな人生を送れて幸せだったのではないか。と
でもどうなのだろう?本当は充実した人生だったのだろうか?
そしてこの後の人生をどう生きてどんな夢を持っていたのだろう?
遺影の延子はなにも言わない。
中学の頃からやんちゃな俺は当然大人達に煙たがられ、周りには怖がられ本来寂しがりやの俺はそれを隠すかのようにいつも怒っていた。
それでも延子はジッと我慢し親や友人の反対を振り切って寄り添ってくれた。
少年院
刑務所
普通の女なら逃げ出し愛想つかされても不思議じゃない。
それなのにずっと苦楽を共にしてくれた。
嵐のような日々の中、3人の子宝に恵まれた。
長男が生まれる朝。
俺は「もうすぐ俺の子が生まれる。こんな時に朝礼なんかやってられない」と朝礼を中止にしてまで出産を待った。24歳の朝だった。
長男は俺の息子だという事で苦労したと思う。悪口も言われただろう。嫉妬やプレッシャーもあっただろう。
それなのに良い男に成長してくれた。もう安心だ。
次男はよく笑い周りを明るくする。
12月の太田病院。向かう途中の風が冷たかったが汗まみれになって一仕事終えた延子の笑顔はとても暖かだった。
そして長女。
生まれた時は本当に嬉しかった。俺に娘がいるという喜び。可愛くて毎日顔を見てはニヤニヤしていた。
それでも父親はこの俺だ。理不尽な事で叱ったり、時には拳をあげる事もあった。
女房はそんな時に子供達のフォローを必ずしてくれた。
心残りな事はたくさんあるが・・・
もう一度海外旅行したかった。
サイパン、シンガポール、ハワイ、香港。随分いろんな所にいった。
でもまるで里帰りのように何度も行ったグアム。そして新婚旅行で行った四国は桂浜。
また連れて行きたかった。
若い頃は時間は無限にあると思っていた。
でもこうして歳をとって行くと時間が有限である事を実感する。
過去を振り向かなかったあの頃が嘘のように今は昔が恋しい。
何人もの友人知人が一人、また一人とあの世に行き始めている。
どんなにお金持ちでも、権力者でも、昨日生まれた子供でも、外国から来たコンビニの店員でも皆平等に時間の中で生きている。
出来る事なら全員生き返ってほしい。
そんなバカな事さえ考えてしまう。
12月の太田病院。向かう途中の風が冷たかったが汗まみれになって一仕事終えた延子の笑顔はとても暖かだった。
そして長女。
生まれた時は本当に嬉しかった。俺に娘がいるという喜び。可愛くて毎日顔を見てはニヤニヤしていた。
それでも父親はこの俺だ。理不尽な事で叱ったり、時には拳をあげる事もあった。
女房はそんな時に子供達のフォローを必ずしてくれた。
心残りな事はたくさんあるが・・・
もう一度海外旅行したかった。
サイパン、シンガポール、ハワイ、香港。随分いろんな所にいった。
でもまるで里帰りのように何度も行ったグアム。そして新婚旅行で行った四国は桂浜。
また連れて行きたかった。
若い頃は時間は無限にあると思っていた。
でもこうして歳をとって行くと時間が有限である事を実感する。
過去を振り向かなかったあの頃が嘘のように今は昔が恋しい。
何人もの友人知人が一人、また一人とあの世に行き始めている。
どんなにお金持ちでも、権力者でも、昨日生まれた子供でも、外国から来たコンビニの店員でも皆平等に時間の中で生きている。
出来る事なら全員生き返ってほしい。
そんなバカな事さえ考えてしまう。
延子
お前は最高の女だった。
この世は永遠ではないけど
俺とお前は永遠だ。
あの世に行ったらすぐ探すからな。まぁあと10年ぐらいかな?待ってろよ。
愛してるぞ。
この物語は終わらない
