今年の観劇納めに、よみうり大手町ホールで上演された、瀬戸山美咲上演台本・演出『マイフレンドジキル』を観てきました。

ロバート・ルイス・スティーブンソン著『ジキル博士とハイド氏』をモチーフに、ジキルとハイドの二面性をダンスで表現し、ジキルの親友のアタスンの朗読で物語を進めるというもの。

 

瀬戸山美咲さんの名前に目がいったのと、(最近はミュージカルの演出も多いんですね。ストプレ以外の作品を観るのは今回がはじめてです)朗読とダンスで表現される世界に興味を覚えて、チケットをとりました。

 

2019年にシットキングスのshojiさんとOguriさんが振り付けを担当し、瀬戸山美咲さんの演出で、二人が語りとダンスを交互に演じたのが初演で、今回は湖月わたるさんと柚希礼音さんが役替わりで出演。振付は益井悠紀子さんに代わっています。

 

私が観たのは、湖月わたるさんがジキル、柚希礼音さんがアタスン役のバージョンでした。

ストレートプレイを観ることが多い私には、ダンス×演劇という珍しい(?)ジャンルの観劇となりました。

 

以下、感想です。

 

 

 

image

2025年12月17日(水)14時

よみうり大手町ホール

上演台本・演出 瀬戸山美咲

音楽 jin tanaka  飛田雅弘

振付 益井悠紀子

出演 湖月わたる 柚希礼音

 

 

 

 

19世紀のロンドン、弁護士のアタスン(柚希礼音)は、尊敬する医師のジキル博士(湖月わたる)と日曜日に公園を散歩し、色々な話をするのが楽しみでしたが、ある日曜日、ジキルは現れなかった。

 

その頃、ハイドという名の男がロンドンの街で暴力をふるっているという噂があり、アタスンはジキルから遺言の相続人としてハイドの名前の遺言状を預かっていたことを思い出し、ジキルとハイドの関係を探ることになり…

 

冒頭、黒いマントを着ておどろおどろしく踊る湖月さんが登場。

私のイメージするハイドそのものでしたが、考えてみたら私『ジキルとハイド』は小説は未読、映画やミュージカルも観たことがなくて、話の展開は柚希さんの朗読に頼りながら把握することになりました。

 

柚希さんの語りは、滑舌がよく、またアタスン以外の人物の台詞もありましたがとてもわかりやすかった。

そして、何より、ジキル博士を本当に尊敬していることが伝わってきて、二人で語り合う時間が宝物だったことが感じられました。

 

一方、ジキル役は一言も台詞を発しないので、すべてダンスで表現するんですが、時折、二人でシンクロして踊る場面などが素敵でした。

 

ジキルの実験の場面、ハイドに変身する場面なども身体表現だけて伝えるのは難しいと思いますが、湖月さんの、むしろ何も語らないその表情から大いに想像力を刺激されました。

 

アタスンのジキルへの思いは、思慕…むしろ恋慕に近いような気もしましたが、やがて疑念を抱き、ハイドの正体を知って驚愕していくところは、語りだけで進むので、もうひとつその衝撃をキャッチできなかった気はします。

 

というか、実は、ところどころ意識が遠のいてしまって…

 

この日はお腹が空いていて開演前にがっつり食べてしまって眠気があったのと、物語の進行がすべてアタスンの朗読で行われるので、集中するのが少ししんどい部分があった気がします。

 

ですが、ギターの生演奏は場面をよく表していて時に恐ろしく、時に心地よかったし、

アタスンは、自ら命を絶ったジキルに対して、最後までジキルの善の部分を信じ、赦したのだと感じられ、観劇後は爽やかな気持ちにもなりました。

 

私は最近でこそ、宝塚デビューをしましたが(笑)、宝塚時代のお二人のことは知らず、ただ、柚希さんのことは、2015年に上演された『プリンス・オブ・ブロードウェイ』で拝見していました。

 

ラミン・カリムルーが出演したその舞台に、何回も通いましたが、もう10年も前なんですね⁈

え、柚希さん、その頃とほとんど変わっていないんじゃ?

 

湖月さんは、落ち着いた雰囲気で包容力があるジキルで、一方のハイドは同じ人が演じているとは思えないほどの迫力がありました。

 

ジキルへの敬愛が感じられる柚希さんアタスン、包容力のある湖月さんジキルの組み合わせはぴったりの気がしますが、逆のバージョンだとどんな感じだったんでしょう。

 

初演の出演者は男性二人だったので、もしかしたら迫力という点では勝っていたかもしれませんが、今回は女性が男性役を演じることで、どこかファンタジーのようにも感じられ、

最後にリフレインで、二人で踊る場面には心が掴まれ、おぞましさのある物語なのに、繊細で、哀しく美しい物語を観た気持ちになりました。

 

瀬戸山さんの演出はそこを狙ったのか、あるいは宝塚歌劇団出身のお二人のケミストリーによってなされたものなのかわかりませんが、いつもとは違う毛色の作品を観ることができた、観劇納めとなりました。