23歳の時、アメリカ留学の準備を着々と進めていたら、元々留学に関心を示してくれなかった父が、土壇場になって大反対しだした。エゲレスなら行ってもええと渋々了解してくれたもんで、同じく英語を話す国だし、まぁええかぁ~と、軽い気持ちで渡英した私。


以降、エゲレスに関わって今年で28年!叫び


この間にエゲレス人の旦那と結婚し、早8年にもなります。その国際結婚生活で、私は常にお互いの国の行事をおろそかにせず、また、それに伴うお祝いの料理なども、出来るだけ準備するようにしています。


でも、1つだけ、エゲレスの行事につき物のこれだけは、8年間の結婚生活で、いやもっと正確に言うなら、エゲレスっつう泥沼国にどっぷりつかってしまったこの28年間、今日まで一度も作ったことがありませんでした。


クリスマスプディング

和・美・Savvy Cooking

ちなみに上の写真は、エゲレスのクリスマスプディングがどんなものかをお見せするのに、私の持っているお料理の本の中の写真を撮って貼ったものです。


ってのも、私の作ったクリスマスプディングを型から抜けるのは、クリスマスの日のディナーの後だからです。


エゲレスのクリスマには、柔らかいスポンジにたっぷりクリームを塗った、日本のクリスマスケーキの様なものは食べません。“伝統的には”、このクリスマスプディングと呼ばれる蒸しケーキか、同様にフルーツをたっぷり混ぜ込んでオーブンで焼いたケーキです。


ただ、“伝統的には...”と但し書きを付けたのは、これらの超甘いケーキは現代の人にはあまり人気がなく、最近ではクリスマス前になると、ティラミスやトライフルのような、甘味がまろやかでクリーミーなケーキが、スーパーの店頭にたくさん並ぶようになりました。


私が今日までこれを作ったことがなかったのは、元彼も旦那もそして私も、クリスマスプディングが好きじゃない現代人なのに、下準備から出来上がるまでにうん十時間かけ、出来上がったら今度は数週間から数ヶ月熟成させるのが、めっさ面倒そうだったから。


でも今年、その旦那も私も好きじゃないプディングを作る気になったのは、セイボリー版のプディング に初めて挑戦してみたら、蒸す作業は思ったほど面倒ではなかったし、難しくもなかったから。


また、スーパーで買ったフルーツケーキには一切目もくれない旦那が、私が作るフルーツケーキ は喜んで食べてくれるので、自宅で蒸したら、もしかしたらクリスマスプディングも食べてくれるのではないかと思ったのね。


それなによりも、ブログの冒頭でも言ったように、旦那の生まれた国の行事に伴うお料理でしょう。一度くらい作ってみて食べてくれるかどうか確認し、食べてくれるようなら来年から毎年作ってあげたいしね。(笑)


旦那のお母さんは、子供達は嫌いでも継父が好きだったから、昔は毎年作っていたらしい。何月頃作っていたのかと聞くと、1月だと言うの。1月?それって、あんた、クリスマスが終わった翌月、その年のクリスマス用プディングを蒸すんけぇ~?嘘やろうがぁ~???


ネットで調べてみると、伝統では、Stir-up-Sunday(混ぜ混ぜ日曜日)に、家族みんなが家にいるようにして作るらしい。粉類とフルーツ類を混ぜ、卵を加えたら、そこで家族全員が、来る年の幸運を祈りながら、交代で生地を混ぜ混ぜするのだそうです。

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この混ぜ混ぜ日曜日はクリスマスの5週間ほど前なのだそう。ちょうど旦那と私が日本からシアトルに戻ってくる日。


そこで、まだちょっと早いけれど、こう言うケーキは1年も熟成させる必要はなくても(笑)、2ヶ月も寝かせていると更に味わい深くなるので、日本帰国前の今日、思い切って作ってみることにしたのです。


レシピ本やネット検索で現れたレシピ達の、これはいける!と思う点ばかりをピックし、“我が家のクリスマスプディング”のレシピを完成させました。


私が住んでいるのはエゲレスではなくアメリカ。エゲレスのケーキを作る材料が、当地ででも必ず手に入るかと言うとそうではない。なので、我が家のクリスマスプディングのレシピは、手に入らないものは手に入るものを上手に代用して作るレシピです。


まずはドライフルーツとりんご、それに柑橘類をブランディー漬けすることから始まります。

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アメリカで手に入らないものは、クッキングアップルと言う渋い料理用のりんご。これは酸味の強いグラニースミスというりんごで代用しました。


アメリカって、私が探せないだけなのかも知れないんだけれど、ピールとかグラッセチェリーと言うものが、サンクスギヴィングからクリスマスの頃にしかスーパーには並ばないんです。その上、それら季節もののピールやチェリーニは、例のコーンシロップが含まれている!ドクロ


が、しかし、去年の今頃、珍しくコーンシロップが入っていないピールを発見しました。生姜の砂糖漬けです。ピールの代わりには、そのセイフウェイで去年買った生姜の砂糖漬けを、細かく切って使いました。


蒸しケーキと言えどケーキだからつなぎの粉が入ります。エゲレスのレシピでは、セルフ・ライジングフラワーと言う粉を使っています。これは当地のセルフ・レイジングフラワーと同じものなので問題なし。

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ちなみにセルフ・ライジング、セルフ・レイジングフラワーとは、エゲレスではプレーンフラワー、アメリカではオールパーポスフラワーと言う、日本の中力粉に限りなく似た一般的に使われている小麦粉に、ベーキングパウダーと塩をあらかじめ加えて売っている粉です。


どんだけお前ら楽したいねん!と私はこれらの粉を使う度に思うんですが(笑)、日本では薄力粉、もしくは薄力粉と強力粉を半々に合わせたものに、今回の分量の粉なら小さじ3/4ほどのBPと塩ひとつまみを加えれば同様の粉になるはずです。


エゲレスのこの手のケーキには必ずスパイスが加えられています。単にドライフルーツにスパイスがマッチするだけじゃなく、クリスチャンの世界のことは私は無知だけれど、超甘いドライフルーツが楽、ほろ苦いスパイスが苦を意味しているのではないかと勝手に想像。

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エゲレスではミックススパイスという、これまた、ドライフルーツをたっぷり加えて作るフルーツケーキに適したスパイスばかりを、あらかじめ混ぜたものが売っています。これはアメリカのパンプキンパイスパイスで代用可。シナモンはどこでも手に入る!


ちなみにミックススパイスは自宅で作れます。こちら (英語)をご参照くださいまし。


甘味はブラウンシュガーを大量に使うレシピもあったけれど、私は少し控えめにしてみました。砂糖を入れなくても、ドライフルーツの甘味で十分とちゃうんかいな...?ってほど甘そうやからね。(笑)

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その代わり、風味付けにも色づけにもなる、モラセスを砂糖と一緒に加えています。モラセス(黒蜜みたいな味)は、フルーツケーキの味を更に深いものにしてくれるから欠かせません。


エゲレスはソーセージミートにもパン粉が入っているけれど、クリスマスプディングにもやっぱりパン粉を入れます。(笑)でもそのパン粉は、とんかつを揚げるのに使うドライパン粉ではあきませんでぇ。

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安~~い、兎に角安~~いトースト用の白いパンを、耳を落としてフープロでガーっと砕いたものを使います。安い食パンですが、コーンシロップが含まれていないことは確認済み。(笑)コーンシロップって、ほんま私に超嫌われているよね。(←大嫌いじゃぁ!)


ナッツも加えます。ドライフルーツやナッツは、確か今年の豊作に感謝し、来年も豊作であることを願って加えるものだったのではないかと記憶。これはどこの国でも売っている。雨にも当然あり。細かく刻んで加えてくんなまし。

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卵は加熱するとは言え、数週間以上熟成させるケーキなので、やっぱり新鮮なものを使いたいです。

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レシピの中には、卵を加えた生地を一晩寝かせるものもありました。でも、私は雨の卵はいっくら高いオーガニックや取り立てファームエッグでも、全く信用していないので、割ってから一晩も置くなんてもってのほかだと思い、加えたら即火にかける作り方にしました。


さて、クリスマスプディングを作るのに、アメリカで殆ど入手不可なので、この前のお肉屋さんのコロッケ自宅再現記事 の時ににも触れた、ケンネ脂こと英語ではスエット(エゲレス人が発音するとスーイットに聞える)と言う獣脂です。


エゲレスだと、箱入りのドライスエットがどこのスーパーででも簡単に手に入るのだけれど、これが残念なことにアメリカには輸入禁止のようです。ブリティッシュものばかりを売る店でも、ドライスエットはベジタリアン用の植物性のものしか置いていません。


これはなければ無塩バターを代用するのが一番手っ取り早いのですが、ラッキーなことに、私の場合はブリティッシュパブで、パブ料理に使うものを頼んで分けてもらっています。


それがこちらです。安くはないんだけれど、やっぱ手に入るのであれば、バターじゃなく獣脂で、プディングやミンスミートなどのクリスマスもんを作りたいです。脂/油ってのは、それぞれに溶ける温度や時間が違うし、特に固体を液体で代用するのは、やっぱ難しいよね。

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ただ、このパブのスエットね結構金をぼったくられるんだけれど、私の想像では、焼いた肉から出た脂を固まらせたものじゃないかと思うんだ。いつ分けてもらっても、袋を開けると焼肉のにおいがプンプンするぜ!(爆)


深くは追求せず、スエットだと信じてプディングに加えましたけれど...。(苦笑)


そしてもう1つ、プディングを作るのに新たに購入したキッチングッズもあります。こちらのプディングボウルです。

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ブリティッシュパブ隣接のエゲレス万屋で買ったのだけれど、17ドルくらいしたよ。ほんま、ぼったくり!こんなもんエゲレスなら、千円もせんやろう!?ムッ爆弾


わざわざ揃えなくても、パイレックスの1.2~1.5リットルくらい入るボウル代用でオーケーなんすけどね、私はまずスタイルとか道具から料理を始めたい性格なんすよ。(爆)


では、いつもに増して前置きがやたら長くなりましたが、私が作成した我が家のクリスマスプディングのレシピをご紹介いたします。


<材料 1リットルのプディングボウル1つ分(6~8人分)>

(フルーツのブランディー漬け)
レーズン...100g
サルタナ(ゴールデンレーズン)...100g
カランツ...100g
種無しプラム、細かく刻む...50g
キャンディード(クリスタライズド)ジンジャー(生姜の砂糖漬け)、細かく刻む...50g
グラニースミス、皮を剥き芯を取り除いて細かく刻む...小1個(紅玉の小さいもので代用可)
オレンジの皮と汁...1/2個分
レモンの皮と汁...1/2個分
ブランディー...大さじ3+出来上がりに加える分大さじ1

セルフレイジングフラワーまたはセルフライジングフラワー...40g(代用の粉の作り方は上記参照)
パンプキンスパイスまたはミックススパイス...小さじ1
シナモンパウダー...小さじ1/2
安もんの白い食パンで作った生パン粉...90g
スエットもしくは細かく刻んだ無塩バター...90g
ソフトブラウンシュガー...50g
アーモンド、細かく刻む...20g
卵...2個
モラセス...大さじ1

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<作り方>

1.(前夜)ブランディー漬けの材料をパイレックスの容器などに入れよく混ぜ合わせ、蓋をして室温で一晩漬ける。

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2.(当日)粉とスパイス2種をあわせ篩にかける。生パン粉、スエット(または細かく刻んだ無塩バター)、ソフトブラウンシュガー、アーモンドを粉に加え、スプーンでよく混ぜ合わせる。

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3.2にフルーツブランディー漬けを容器の下に溜まったブランディーと共に加え、粉類と満遍なく混ざり合うようによく混ぜる。

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4.卵にモラセスを加え軽く溶く。3に加えてよく混ぜ合わせる。

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この段階で、ご家族で交代に来年の幸運を祈りながら混ぜませう。
特にお子さんにまぜさせて上げるのが良いそうです。
エゲレスの伝統ではここで生地に銀貨を加えたりするそうですが、
ちょっとなぁ、それは幾ら洗っても、キモイから私はしなかった。(爆)

それにクリスマスの日に、銀貨で歯が折れても大変だし...(汗)

5.無塩バター(分量外)を塗ったプディングボウルに4を流しいれ、表面を平らに整える。クッキングシート2枚とアルミフォイル1枚を重ね三重にして蓋を作る。3枚重ねたまま中心を2~3cm折り込み、プディングが膨らんだ時に広がるようにする。

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6.5の蓋のクッキングシートの面を下にして、折り込みが中心に来るようにボウルに被せ、タコ糸を周囲に巻きつけ縛る。縛ったタコ糸の下を左右2箇所別のタコ糸を潜らせ、中心でくくり合わせてハンドルを作る。

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7.クレームブリュレ用ラメキン、もしくは金属製の高さのある鍋敷き、または耐熱皿を上下逆さにして鍋に入れ、プディングボウルの下から半分以上がしっかり浸かる程度の水を入れ火にかける。

8.7が沸騰寸前に達したらラメキンの上に6を載せ、火を極力弱めて蓋をし、6~7時間湯煎状態で蒸す。最初の1~2時間は20~30分おきに、グツグツ沸騰していないか鍋の中を確認する。また湯が足りなくなった時は随時熱湯を追加する。

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9.蒸しあがったプディングは即鍋から取り出し、蓋をしたまま室温で完全に冷たくなるまで冷まし、蓋を取り除き、竹串で数箇所穴を開け、残りのブランディーを流し入れる。

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10.新たにクッキングシート1枚とアルミフォイル1枚を重ね(中心の折り込み不要)、手順6同様にボウルにくくりつけハンドルを付ける。涼しい暗室でクリスマスまで熟成させる。


さて、私の処女作クリスマスプディングは、朝から作り始め、夕方6時前にやっと出来上がりました!


型から抜いたところはクリスマスの日まで見せられませんが、次回のブログで、出来上がりの表面の写真はお見せいたします。まだ私も見ていないので、もしかしたら、こんな大失敗をしましたの、恥かき記事になるかもしれないけれど。(汗)


多分ちゃんと出来ていると思うんだけれど、実は心配も1つあるのです。それは、蒸し始め1時間ほどで、既に大失敗を犯してしまったからです。あせる


スロークッカーで蒸せるというレシピをいくつか見つけ、こりゃあええわと思って久々に出して来たんです。あれは少ない水で調理できるから、途中で水が足りなくなる心配がないもんね。けど、それらのレシピを見ていると、大丈夫なんだろうかと言う不安もあった。


プディングを蒸す準備が完了したら、スロークッカーの中に入れ、熱湯を注ぎいれるってどのレシピにも書いてあったのね。でも、スロークッカーの鍋って土鍋みたいな陶器だよ。冷たいところに熱湯を加えて、大丈夫なんかいな...?って不安だったのです。


でも、ネットに自信もってレシピを載せているってことは、大丈夫だからだと判断し、私は熱湯をスロークッカーに注ぎいれました。ピチンと、なんか嫌な音はしたのだけれど機械は動き出したし、その後私は掃除機をかけ始めました。したら...

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リビングの掃除が終わってキッチンに掃除機をかけ始めたら、スロークッカーの付近のフロアーは水浸し。やっぱり鍋にヒビが入り、そこからもれた湯が、クッカー底のネジ穴から台の上やフロアーに漏れ始めていたのです。


慌てて鍋に湯を沸かし、上記の通り、ベンマリーで蒸すというよりはボイルする調理法でプディングを作ったんすよ。


今使っている鍋シリーズを買う前、旦那のおばあちゃんの形見の鍋ばかりを使っていたんですが、その中に、蒸し器もちゃんとあるんだよね。でも、それをガレージから探し出してくるのが面倒で、スロークッカーに頼ったが私が悪かった。


でも、ネットにレシピを載せるなら、ちゃんと数回験するとか、大丈夫かどうか調べてからにしろ!(怒)


まぁそれでもちゃんと膨らんでいるし、食べれないことはないと思うんだけれど...(汗)