子供時代、私の母は友達のお母さん達より一回り歳を取ってたから、和食の煮物などを作らせると天下一品でしたが、子供が好む欧米食文化の影響を受けた洋食を作るのには、ずいぶん苦労していたみたいです。


そんな母が作ってくれた鶏のから揚げは、市販のから揚げ粉をまぶして揚げたもの。だから、生まれて初めてKFCを食べた時、私は味の違いに大きなショックを受けました!どうやって揚げたらこんなに美味しく揚がるんや?家では作れんもんやろか?と真剣考えましたもんね。


しかしこの疑問は、から揚げ粉で育った私だけじゃなく、誰もがKFCを食べる度に考えることではないでしょうか。そして、誰もが考えるだけで、その答えを見つけ出せず試行錯誤しているのでは...?


初めてKFCを食べてから30余年が経ちました。ついに、私はそのKFCの自宅再現という、世界七不思議の1つ(?)を解明したのです!!!


限りなくKFCに近いKFCなフライドチキン

和・美・Savvy Cooking

前回の記事で紹介したビスケットの代わりに焼いたスコーンが前に出すぎ、スコーンがメインかチキンがメインか分かりづらい写真になっちゃいましたが、メインはあくまでチキンです。KFCに限りなく近いKFCなフライドチキンです!


KFCなフライドチキンが自宅で作れると知ったのは、3年前の夏、イギリスの新聞“ガーディアン”でこの記事 を読んでからです。


カーネルサンダース秘伝のスパイスの謎を解き明かし、自宅のキッチンでKFCと同じ味で揚がり方のフライドチキンを作りたいと思うのは、日本人だけでなくそれが生まれた国・アメリカの人達も同じことを考えるようです。


リンク先のガーディアンの記事では、KFCのスパイスを考案し自宅で再現しちゃって、おまけにそれを本にまでしちゃったアメリカ人を紹介しています。記事ではそのレシピとガーディアン誌が独自に考えたスパイスミックスで、本当に自宅再現できるのか実験もしています。


私、アドヴェンチャラスですから、当然、この記事を読んで即、この製法でフライドチキンを揚げてみました。最初に試したのはガーディアン誌考案のGFCミックス。(その時の記事 )そして、もちろんこの雨人さんの考案したKFCミックスも試して見ました。(その時の記事


どちらも甲乙をつけがたく美味しいんです!


自宅で作るフライドチキンは、もうこの揚げ方じゃないと揚げません!っちゅうくらい、KFC風に揚がる文句なしの満点調理法。スパイスミックスも今日はどっちにしようかって迷うほどどちらも旨いんですが、ただ、こちらは調理法とは違い、どちらも98点止まりの点数です。


ガーディアン誌が考案した化学調味料を含まないレシピは、ファーストフードのグリシーさに欠け上品過ぎる味。そしてダグラスさんという雨人さんが考えたレシピは、ドンビキするほど科学調味料を使用しているので、その量を減らして作ったからかやっぱり本物の味とは違ってました。


でもだからと言って不平を言っているのではないのです。30余年かなえられなかったKFC自宅再現の夢を、ここまで美味しくかなえてもらったら、私は大、大、大満足です!


先週スーパーでオーガニックチキンの骨付きが安くで売られていて、コックオーヴァンの食べすぎで当分チキンは見たくもないと思っていたのに、ふと、このKFCなフライドチキンを作ることを思いつき、買ってしまったのです。


今回はGFCミックスで作ることにしました。やっぱねぇ、レシピの“味の素大さじ2”って数字を見ると、ダグラスさんの考案したKFCミックスは、いくら味の素愛用の私でも、ドンビキしてしまうのですよ。(爆)


ところが、調理中、GFCミックスにあるものを加えてみたら、ダグラスさんのKFCミックスを試したときよりも、もっともっと、限りなくKFCに近い味のフライドチキンが、偶然にも作れることを発見してしまったのです!!!


そのあるものを加えたスパイスのレシピをご紹介する前に、先ずはチキンの準備からです。


ダグラスさん考案のフライドチキンの揚げ方は前日から準備に入ります。前夜、骨付きチキン(ドラムスティック、もも、手羽、手羽元など)を鍋に入れ、牛乳をひたひたに注ぎ入れます。私は二人分のチキン(ドラムスティックx5とももx2)で約500mlの牛乳を使いました。

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このまま冷蔵庫に入れて一晩牛乳に鶏肉をマリネします。


翌朝、一晩マリネした鶏肉の入った鍋を火にかけます。煮立ったら火を弱めて吹き零れないようにし20~25分牛乳でチキンを煮ます。そのまま夕方フライドチキンを作るまで牛乳の中に漬けておきます。

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夕方、1日煮込んだ牛乳に漬けた鶏肉を、キッチンペーパーで水分や汚れを拭き取りながら鍋から取り出します。


残った牛乳にはしっかりチキンの風味がついているので処分せず、後日クリーム系のスープやシチュー、ホワイトソースに使うと良いです。今回の我が家はこの牛乳の別の再利用法も考えました。それは後ほどご紹介です。

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さて、ではいよいよ、GFCミックスに何を加えたら限りなくKFCに近い味になったかの発表です!


まず、こちらら前回私が作ったときのGFCミックスのレシピです。新聞のレシピでは味の素は使っていませんが、やっぱり料理には旨味、それには味の素は絶対と、私はオリジナルレシピに味の素を加えて作りました。


ガーディアン誌のGFCミックスに味の素を足したレシピ(前回使用)
(スモーク)パプリカ...小さじ1
粉マスタード...小さじ1
ドライセージ...小さじ1
セロリシード...小さじ1
グラニュー糖...小さじ1
ドライオニオン...小さじ1
塩...小さじ2
黒こしょう...小さじ1
白こしょう...小さじ1
味の素...小さじ1/2~1


上でも話したとおり、これでもすっごく美味しく揚げるんですよ。改良の余地なしってほどに美味しく!


しかし、今回このレシピでミックスを作り、ちょこっとそれを舐めてみたら、何かが足りないと思いました。旦那にも舐めてもらったら、やっぱり何かが足りないといいます。何なのか?二人とも一瞬黙りこくって吟味しました。その結果、同時にこう答えました。


ガーリックパウダー!


そうなのです、このレシピにガーリックパウダーを加えることで、カーネルサンダース秘伝のスパイスミックスそっくりの味になるのです!


また、味の素の量も今回は増やしました。このレシピは2回分のスパイスミックスである上に、このまま全部体に入れるのではなく粉に混ぜて使うわけで、ってことは、少々味の素の量を増やしても、体に入る量はしれているだろうと思ったからです。


私が改良した、限りなくKFCに近いKFCなフライドチキンミックスはこの通りです。


限りなくKFCに近いKFCなフライドチキンミックスのレシピ(今回使用)
(スモーク)パプリカ...小さじ1
粉マスタード...小さじ1
ドライセージ...小さじ1
セロリシード...小さじ1
グラニュー糖...小さじ1
ドライオニオン...小さじ1
塩...小さじ2
黒こしょう...小さじ1
白こしょう...小さじ1
味の素...小さじ2
ガーリックパウダー...小さじ1


私が使ったパプリカはスモークしていない普通のパプリカ。味の素は小さじ1/2~1だったのを思い切って小さじ2入れました。そして新たにガーリックパウダーを小さじ1追加です。


これらのスパイスを合わせ、その半分の量を小麦粉に混ぜます。(残りは冷蔵庫ででも保存し次回のフライドチキンの時にお使いくださいませ。)小麦粉の量は前回作った時カップ1と記しましたが、これはカップ2/3に位に減らした方が良いです。


理由は、KFCは同じ油を数日使っているだろうけど、自宅では新しい油でフライドチキンを作ります。何度も揚げた油には、油そのものにスパイスの風味がしみているだろうし、それがべっとりとグリシーにこびりついたファーストフードのチキンの味はどうしても濃くなる。


粉の量を減らすことで、よりたくさんのスパイスをチキンにまぶすことが出来、味に深みをだし、よりKFCな味に近づけることが出来ると私は判断しました。


ミックスを加えた粉をチキンにまぶしたら、新たに準備した牛乳(チキンを煮た牛乳ではないのでお間違いなく!)にチキンを潜らせ、もう一度ミックスを加えた粉をチキンにつけます。要する2度衣をつけるってことです。

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これを、たっぷりの油で揚げます。油をケチって、チキンの半分は油の外ってな揚げ方はだめっすよ。どっぷりと熱湯風呂に漬かっている状態で揚げてやって下さいまし。(笑)

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牛乳で一度煮込んでいるから、鶏の芯まで火が通っただろうか...とか、そんな心配は無用のサルモネラフリーフライドチキンです。(笑)衣さえカラッと上がれば出来上がりです。


見てくださいまし。見かけからして限りなくKFCに近いKFCなフライドチキンです!

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さて、チキンを煮た牛乳の残りの再利用法の1つですが、これを使ってサウザンフライドチキン用グレービーを作ります。


私は基本チキン料理ってのはレストランで絶対に食べない人なので(サラダを除き)、こういうグレービーがあるのを知りませんでした。旦那が牛乳の残りでグレービーも作って欲しいって言うから、どんなものか調べたら、ただのホワイトソースですがな。(笑)

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普通にバターと小麦粉でルーを作り、それをチキンを煮た牛乳で溶いてとろみをつけ、チキンスープの素と塩こしょうで味付けしました。ただし、この牛乳は鶏肉の余分な脂をたっぷり含んでいるので、キッチンペーパーで漉し、必ず脂抜きしてから料理してくださいね。


チキンもグレービーも出来上がりました。昼間に焼いておいたスコーンも温め直し、セロリシードの風味が効いたさっぱり味のコールスロー も添え、食卓の準備が整いました。

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グレービーは主にスコーンにかけて食べました。これ、最高!なんと言ってもチキンの風味をたっぷり含んだ牛乳で作った濃厚なソースでしょう。ウマウマ!一度食べたら絶対癖になる味!クリームティーから、グレービースコーンのファンになりそう...(笑)

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そして、いよいよバージョンアップしたGFCミックスで作ったフライドチキンのお味見。どうでしょうか、美味しいかなぁ...?

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私は一口食べて、カーネルサンダースに勝った!って思いました!(涙)


正確には、勝ったというより、ついにカーネルおじさんの秘伝を、30余年かけて明かす時が来たと誇らしく思いました。(爆x2)


日清のから揚げ粉で大きくなった私が、初めてKFCのフライドチキンを食べた時は、これこそ舶来の味と感激しました。軟骨や小骨も気にせずに噛み砕いて飲み込めた時、これはチキンやない、別の動物の肉に違いないと疑うほどビックリしました。


その舶来の、チキンじゃないような肉の旨いフライドチキンが、とうとう自宅再現できたのです。嬉しかったわん!(号泣)


旦那に、これはKFCの味や!って言ったら、“いや、それは間違いや!KFCに風味は似ていても、味も揚げ方も、こっちの方が数段勝っている!”って、大絶賛してくれました。


それもこれも、KFCのスパイスミックスを考案してくださったダグラスさんと、それを真似たGFCミックスを考案し、新聞記事にしてくれたガーディアン誌のおかげです。

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