4月末、アレルギーを起こし、1ヶ月くらいかなりひどい湿疹と痒みに苦しみました。子供の頃からオイスターソースやフィッシュソースを口にしても体が痒くなる体質で、それ以降、怖くて一切魚介類が口に出来なかったのです。


先週末、イタリアンレストランでカラマリの揚げたのをこわごわ食べました。でも、その晩も翌日も体には変化がなくホッとし、少しずつまた魚介類も食べてみようかなと言う気になってきました。2、3日前タイ料理を作ったのもカラマリで自信をつけたからです。


そんなことで、昨日は実に1ヶ月半ぶりのお魚料理。久しぶりの魚はどれにするか迷いましたが、やっぱり目につくのはそのまま生でも食べれそうに新鮮な鮭。その鮭を油でカラッと揚げ焼きにし、“バリバリエゲレス庶民なサンドイッチ”と組み合わせこんな風に...


フィッシュ&“チップバティ”

和・美・Savvy Cooking

チップバティ、日本ではあまり聞きなれない名前だと思います。チップとはポテトチップスのことで、バティとは俗語でブレッド&バター(バターを塗ったパンの意)とか、サンドイッチを示します。チップバティとはポテトチップスのサンドイッチなのです。


但し、私が夕べ作った上の写真のものと、実際のチップバティとにはかなりの違いがあります!一般的なチップバティの写真はこちら を参考にしてください。


日本でポテトチップスと言うと、カルビーのポテトチップスの様な薄くスライスしたじゃがいもを揚げたものですが、イギリスではそれをクリスプスと呼びます。チップスと呼ぶのは、日本でフライドポテトと呼んでいる揚げたスティック状のじゃがいものことになります。


チップバティに使われるパンは一般的には安い袋入りの白い食パンです。イギリスの食パンは日本の食パンの1/2以下の厚みしかないので、日本のサンドイッチ用のパンと同じようなものと想像されると良いでしょう。


私はイギリス人がこのサンドイッチを食べるのを初めて見た時、こいつらには味覚というものがないのか!と彼らの舌を疑いました!(爆)


私の目の前で初めてこれを作って食べて見せたのは私の元彼なんですが、夕飯の献立に肉か魚の料理にチップスとパンを添えて出したら、最後残ったチップスをパンに挟んで食べたんです。


ダブル炭水化物!(爆)


私も同じようにダブル炭水化物で、トーストにポテトサラダを載せて食べたりします。でも、マヨネーズや野菜を加えクリーミーにしたサラダのポテトとチップスとは全然別物。なんも変哲のないパンに同じくなんの変哲もないチップスを挟んで食べたって、旨もうはないやろうと思いました。


けど、何事も食わず嫌いはいけません。そこで私も真似て食べてみました。すると、この庶民の味は意外に美味しかったのです!


チップスに塩と酢だけをかけてパンに挟むこともあれば、イギリス特有のブラウンソースや、ケチャップをかけてサンドイッチにしたり、以降私も食事の最後にチップスとパンが残ったら、日本人が残ったご飯をお茶漬けですするようにして、チップバティにして食べるようになりました。


イギリスは芋大国。(笑)じゃがいもは日本に比べるとかなりお安いです。じゃがいもを作っている農家から直接買ったりすると、20キロくらい入る大きな袋1つが千円しないなんてこともあります。


肉は芋に比べると高い。貧乏人の子沢山な大家族では満足に人数分が買えない。少しだけ買った肉を家族全員で分け合うには、足りないところは安い芋で補うしかない。そんな庶民の生活の中から生まれたサンドイッチではないかと思います。


イギリスにいた頃、ある日テレビで下町の庶民を描いたコメディー番組を観ていたら、こんなシーンがありました。失業していたおじさんがやっと職を得、その初日、弁当にサンドイッチを持参したいが冷蔵庫の中にはハムもチーズもない。あるのはパンとクリスプスの小袋だけ。


困ったおじさん、しばらく考えた挙句にしたことは、バターを塗ったパンの上にクリスプスを空け、もう1枚のパンでそれを挟んでラップで包み、わしづかみにして仕事に出かけるというシーンでした。


昨日、サーモンを買ったらフィッシュ&チップスが食べたくなった。フィッシュ&チップスを思い出すと、今度は残ったチップスをパンに挟んでチップバティが食べたくなった。


でも、チップスまでは作る気力がなく、そんな時この“ラブ・C・ネスビット”と言うスコットランドコメディーの1シーンがぼやぁ~っと頭に浮かんできたんです。クリスプスで“簡易チップバティ”を作ろう!(笑)


サーモンにつけた揚げ衣は、最近発見した重曹と酢を加えた衣です。この前のスパイシーバナナマフィン の記事でも触れた、重曹と酸性のものを組み合わせ、それに熱を加えることで炭酸ガスを発生させて、ふかふかかりかりに膨らませて揚げる揚げ方です。


<材料 2~3人分>

生鮭...350~400g
小麦粉...オールパーポス/プレーンフラワーなら50g、薄力粉なら60g
重曹...小さじ1/4
塩...少々
水...90ml
酢...小さじ1.5
サラダ油...適宜

(簡単タルタルソース)
リコッタチーズまたはナチュラルヨーグルト...1/2カップ
ヘルマンまたはベストフーズのリアルマヨネーズ...大さじ1
粒マスタード...小さじ1
ライム汁...大さじ1(なければレモン汁で代用可)
塩こしょう...適宜
味の素...適宜
パセリの葉のみじん切り...適宜

(その他)
好みのパン、ソーダブレッドやバゲットなど...適宜
バター...適宜
クリスプス...適宜

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<作り方>

1.生鮭の皮を剥ぎ、骨があれば丁寧に抜き取る。1cm幅程度の長めの細切りにする。

2.衣を作る。小麦粉に重曹と塩を加えスプーンでよく混ぜ合わせる。

3.水と酢を合わせ2に加えてよく混ぜ合わせる。

4.フライパンに分厚め(1cm弱)に油を熱し、鮭を衣につけ揚げ焼きする。この時、鮭の肌が見えるところには、菜ばしの先に衣をつけその部分に垂らしてやると良い。途中一度上下を返し、揚がったらキッチンペーパーの上などに取り余分な油を取り除く。

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5.パセリ以外のタルタルソースの材料を合わせる。好みのパンにバターを薄く塗り、数枚のクリスプス、鮭の順に載せ、タルタルソースをかけて、最後にパセリのみじん切りを散らしたら出来上がり。


パンは本当は白い食パンが良いんですが、うちは旦那が軽い糖尿病であるため、米にしてもパンにしても白いものはあまりよくないと聞いたので、昨日はソーダブレッド焼いてチップバティ用のパンにしました。亜麻と胡麻の入った芳ばしいソーダブレッド です。

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ブログの写真用に、とりあえず1つサンドイッチを作って皿に載せましたが、実際は、魚、クリスプス、パン、ソースと、それぞれ別々に盛って、食卓で自分でサンドイッチを作りながら食べれるようにしました。手巻き寿司感覚ね。(笑)

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なんかこうすると、エゲレスの庶民のチープな味のサンドイッチも、えらくオサレなパーティーフードですよ!(爆)


この前のコールスロー の作り方で、今回はスプリングオニオン(細ねぎ)ときゅうりも加え、お野菜たっぷりのコールスローを準備しました。イギリス風オニオンのピクルスに、私が自宅でつけたガーキンズ 、トレーダージョーのKUMATOと言うトマトも準備。

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イタリアンパセリを買ったらしこたま大きな束で、絶対に使い切れない量!少しでも減らしたいので、昨日はみじん切りにして衣にも加えました。ちょっと見た目がハイカラなだけで、パセリの味は全然しませんけど...(汗)


これ、ホームパーティーの時や、お友達を呼んでのお食事会に絶対いけます!アイデアのない私にしたら、久々の大ヒット的アイデアだと自負しています!


カリカリふっくらの衣が最高に旨いフィッシュ&“チップバティ”、是非お試し下さい!

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