『瀧口修造と彼が見つめた作家』展@竹橋・東京国立近代美術館 | cookieの雑記帳

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興味を持ったことなどを徒然なるままに書き留めていきます。半分は備忘録。音楽(classicからpopsまでなんでも)、美術(絵画、漫画、現代美術なんでも)、文学(主に近現代)、映画(洋画も邦画も)、旅や地理・歴史(戦国以外)も好き。「趣味趣味な人生」がモットーです。

『藤田嗣治展』のあとは、展覧会にも出品されていた「アッツ島玉砕」など、フジタの戦争画を中心に所蔵している東京国立近代美術館に移動。
現在開催中の『瀧口修造と彼が見つめた作家たち』を観てきました。
こちらは同美術館(MOMAT)の所蔵作品から選りすぐって展示する、『MOMATコレクション』展の中の小企画として開催されています。
まずは本展の方から。明治から現代に至る日本美術を、おおよそ時系列の沿って鑑賞。魅かれる作品、多数ありでした。作品は一部を除き撮影OKです。

建物4階から始まって順路の最後、2階のGallery 4が『瀧口修造と彼が見つめた作家たち』の会場。ここの展示作品もMOMATコレクションの一部です。会期途中で展示替えがあったので、私が観たのは後期展示の作品群です。

瀧口修造氏の展覧会といえば、先日『瀧口修造の書斎  影どもの住む部屋』を観てきたので、なんとなく近しい感じ。併せて、瀧口氏を中心とした芸術家集団「実験工房」のメンバーである作曲家・武満徹氏をテーマにした『武満徹の電子音楽』という川崎弘二さんの大著(本当に分厚いです。武満ファン、現代音楽好きは必読です!)を読みはじめたところなのでタイムリーでした。

会場は空いており、時間をかけてゆっくり観れました。
まずは瀧口氏の書斎の写真から。これらは実験工房の大辻清司氏によるもの。

下は細江英公氏による書斎での瀧口氏の写真で、これは今回展示されてはいませんが、細江氏による三島由紀夫氏との共同作品『薔薇刑』のシリーズがMOMAT展で特集されています。


瀧口氏自身の作品は13点。『ドローイング』や『デカルコマニー』といった一連の作品が中心です。



結構好きなシュールレアリスト・北脇昇氏の作品も数点ありました。右下のものはMOMAT展の方に展示されています。1997年にここで開催された北脇氏の展覧会を観にきたのを思い出しました。

野中ユリさんの作品は人体の一部をモチーフに、繊細な描線で仕上げた不思議な絵。昨年の澁澤龍彦氏の展覧会でも別の作品を拝見しました。

「千円札のオブジェ」で起訴された赤瀬川原平さんの作品(右上)や、詩画集『ミロの星とともに』でコラボしたホアン・ミロの『絵画詩(おお!あの人やっちゃったのね)』(右下)など、自分にとってはお馴染みの面々の作品でした(ミロといえば、武満徹氏の未完の絶筆がオーケストラ曲『ミロの彫刻のように』でした)。

入り口には手帖サイズの小冊子(図録と言うほどではない)が置いてあり、1人1冊無料です(左上)。
瀧口氏が旅に出る仲間に私信として贈っていた「リバティ・パスポート」(右上: 写真は巌谷國士夫妻宛。このタイプの表紙は70年代のもの。パスポートの中身は献呈者の名前のアルファベットを文頭に置いたアクロスティック詩と呼ばれる言葉あそびや、デカルコマニーなどです)と似たような装丁ですよね。こういったファンのココロをくすぐるような芸の細かさは嬉しくなりますね^ ^
2005年に世田谷美術館で開催された「瀧口修造 夢の漂流物」の図録に、このあたりのことが解説されています。
決して大々的な展示ではありませんが、たいへん充実していました。まだ会期は1ヶ月以上残っているので、少しでも興味を持たれたら観ることをお勧めします。

ところで、正面玄関前には、時間がなくてパスした現在開催中の企画展『ゴードン・マッタ=クラーク展』の一部として、大竹伸朗氏の作品を彷彿とさせる「ごみの壁」が展示されています(大竹氏のはもっとホンモノのゴミですけどね(^_^;))。
時間がとれたら観ておきたい展覧会ですね。