初めて読んだ澁澤作品は『黒魔術の手帖』で、高校生の頃です。ちょうど著作が河出文庫で次々刊行され始めた時で、貪るように読んだ記憶があります。
それまで自分が読んでいた本が子供っぽく思えるほど知的で密度の高い内容と、その妖しげなテーマがまた大人になったような気持ちにさせてくれました。そのスタイルも含め格好良くて。
シュールレアリズムやルネサンスの絵画なども澁澤さんの著作が入り口でした。
この頃はまだ御存命で、『高丘親王航海記』はリアルタイムで読んでいました。
亡くなられた時のショックは大きかったですね。
その後、私が書店員として働いていた頃に『 澁澤龍彦全集』、そして『澁澤龍彦翻訳全集』が刊行されました。
もう30年も経つんだなというのが実感です。現在でも河出文庫を中心に、常に書店で手に取ることができる本があるということが、その人気を物語っていると思います。
そんなわけで、出版業界でもあれこれ動きがあります。
まずは『文藝別冊 KAWADE夢ムック 澁澤龍彦ふたたび』です。
澁澤さんはすでにこのシリーズにラインナップされていますが(旧版も増補されたり息が長いです)、新たな編集版として登場しました。
河出文庫も記念の帯をつけてフェアを展開。7月、8月と文庫オリジナルの作品集が出ました。動物にまつわるエッセイを集めた『極楽鳥とカタツムリ』、植物にまつわるエッセイを集めた『バビロンの架空園』です。
四谷シモンさんの『人形作家』が同時発売なのがニクいですね^_^
そして単行本でも記念の企画本が。
ムック本にも関わっている東雅夫さんを編者として『澁澤龍彦 玉手匣(エクラン)』という、ちょっと贅沢なハードカバーが河出書房新社から出ました。比較的短い99編の文章が収められています。
さらに翻訳物は白水社から。
8月末に愛蔵版三点が発売になります。
巖谷國士さん、澁澤龍子さん、四谷シモンさんらによるトークイベントも企画されているので楽しみですね。