ハワード・ショアの2つのコンチェルト | cookieの雑記帳

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興味を持ったことなどを徒然なるままに書き留めていきます。半分は備忘録。音楽(classicからpopsまでなんでも)、美術(絵画、漫画、現代美術なんでも)、文学(主に近現代)、映画(洋画も邦画も)、旅や地理・歴史(戦国以外)も好き。「趣味趣味な人生」がモットーです。

先日、フランス映画音楽の巨匠ミシェル・ルグランが書いた本格的なクラシック作品、ピアノ協奏曲とチェロ協奏曲のディスクが出たという記事を書きました(下記リブログ参照)。

と思ったら、今度はハリウッドの映画音楽の大御所、『ロード・オブ・ザ・リング』の音楽などで有名なハワード・ショアが書いたピアノ協奏曲とチェロ協奏曲(取り上げた楽器も同じ!)のディスクが発売になりました(輸入盤はこちらが先でした。そしてどちらもSony Classical)
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ハワード・ショアはカナダ生まれのユダヤ系で今年70歳。バークリー音楽院で学び、同郷のクローネンバーグ監督作品の音楽で一躍脚光を浴び、その後はハリウッド映画には欠かせない存在となりました。前述の『ロード・オブ・ザ・リング』でアカデミー作曲賞を受賞しています。
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ピアノ協奏曲は《RUIN & MEMORY》の副題を持つ、ショパン生誕200年を記念して書かれた曲で、緩ー緩ー急の3楽章形式。比較的穏健な伝統的な書法で書かれており、ラン・ランのピアノがメロディを紡ぎます。
チェロ協奏曲はピアノ協奏曲と対になる曲とのことで、こちらも緩ー緩ー急の3楽章で書かれています。《MYTHIC GARDENS》というタイトルで、この演奏の女性チェリスト、ソフィー・シャオに献呈されています。こちらも旋律のはっきりとした聴きやすい曲です。
ともにオーケストラの編成は大きくなく、前者は弦と2管の木管(クラリネットなし)のみで金管や打楽器は入らず、モーツァルトの音楽を意識して書かれたとのこと。後者も室内オーケストラ編成です。
どちらの曲も標題がついており、調性のあるややロマン派的な作品ですね。

どちらの作曲家の作品も良いですが、敢えて比較すれば、私はルグランのビルトゥオージティを前面に押し出した近現代の響きのほうが好きです。


劇伴で活躍されている作曲家の純粋なクラシック作品というと、現役では『スターウォーズ』『インディジョーンズ』『ハリーポッター』シリーズなどで知らぬ人のいないほど有名なジョン・ウィリアムズの一連の協奏曲(ヴァイオリン、フルート、チェロ、トランペット、テューバ、オーボエなど)、古くはコルンゴルドやオーリックなどが挙げられるでしょうか。
日本では武満徹さんや伊福部昭さんをはじめ、多くのクラシックの作曲家が映画音楽もたくさん書いていますよね。
この辺りを横断しながら聴く楽しみは格別です。音楽のジャンルに垣根はありませんので。

で、おすすめの一枚。
上野耕路さんの『アルトサクソフォン、ピアノ、弦楽のための三章』というアルバム。
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80年代のニューウェーブパンクロックシーンに『ハルメンズ』や『ゲルニカ』などのユニットで活躍し、現在は映画やテレビドラマの劇伴も多く手がける上野氏の、比較的若い頃のクラシック作品集。独特な雰囲気が楽しめます。廃盤ですが中古で入手可能です。