あの感動からもう一週間以上も経ってしまいました。
9月10日の土曜日は、microstarの新譜発売記念のトークイベントを聴きに、武蔵小山のLive Cafe Againに行ってきました。ライブ活動を行っていないmicrostarの生イベントはたいへん貴重で、万難を排して臨みました。
JR山手線の目黒駅で東急目黒線に乗り換え、二つ目が武蔵小山です。西口駅前のロータリーの角にPet Sounds Recordのビルがあります。一階がshopになっていて、店舗は広くありませんが、こだわりの品揃えでは都内でも有数のショップです。
Pet Sounds Recordとmicrostarのお二方は長い付き合いがあり、プライベートでも関わりが深く、そんなわけで今回の企画が実現したと思われます。
Live Cafe Againは同じビルの地下にあります。早めに着いたので、狭い階段の途中で開演まで待ち、前方の席に座れました。
きっちり詰めて、およそ30人くらいで満席となりました。男性がほとんどで、年齢層はかなり高めとみました。
大きなCDショップのイベントと違い、こじんまりでアットホームな感じですね。
左から佐藤さん、飯泉さん、高瀬さん、森さん
音源の中だけだったお二人を、初めて生で観ることができ、すでに感動モノでした。ライブ活動をされていた96年の結成当時(そう、今年はデビュー20周年なんです!)は、地方勤務で東京にいなかったため観ること能わず、その後はライブ活動をやめられてしまったため、お目にかかる機会がありませんでした。
今回は千載一遇のチャンスとばかりに、参加した次第です(^_^;)
トークは、今回の新譜『She got the Blues』のリリースに合わせてPet Sounds Recordが発行した、お二人へのインタビューを掲載したオリジナルの小冊子に沿うような感じで進められました(店内で無料配布されています)。
受付時にこの冊子とミニステッカー、そしてCDが渡されたのですが(文末の写真参照)、CDはなんと今は廃盤のデビューミニアルバム『birth of the microstar』でした。レコード会社から佐藤さんに譲られて取っておいたディスクを、今回おみやげとして頒布してくれたのですが、スピンドルケースに入れてまとめて渡された、とのことで、ジャケットも何もない、ディスクオンリーで、不織布ケースに入れてありました。
まずは佐藤さんと飯泉さんの出逢いから、microstar結成にいたる経緯。ガールズバンドでベースを弾いていた飯泉さんが、ある日スタジオで知人(佐藤さんに似ているらしい)だと思って話しかけた相手が、エンジニアとして出入りしていた佐藤さんだったそうで、そんなドラマのような偶然(必然?)の出逢いから親交が深まり、佐藤さんの「nice music」のサポートメンバーとして参加していく中で、1996年に新たなユニットとしてmicrostarが誕生しました。
結成当初はライブ活動を行っており、今回はその秘蔵映像が流されました(たしか98年の渋谷ON AIR EAST?だったと思います)。飯泉さんがベースを弾きながら歌う映像で、なかなかパワフルでした。

Think Sync Recordsからは1996年の1stミニアルバム『birth of the microstar』(写真左上)、1997年の2ndミニアルバム『micro freaks』(写真右上)、1998年の1stマキシシングル『I'm in love e.p.』(写真左下)とコンスタントに新譜が出ていました。
この頃は現在のmicrostarとは趣の異なるテクノポップな曲が中心でした。
2000年の寺田康彦さん(YMOのエンジニア)がコンピレーションしたアルバム『CHIC CHINOIS DESIGN 21 MODERN SENSIBILITY』にも「恋は急いで」が取り上げられています。
ライブ活動をほとんどしなくなった1999年(この年に1回。以後公式なLiveは無し)以後、リリースも間が空き、2001年にUphonicレーベルから2ndマキシシングル『Lovey Dovey PLUS...』(写真右下)が3年ぶりに発表されました。
それまでのテクノから変容し、60年代ポップスを下敷きにしたポップミュージックとなって、今のmicrostarにぐっと近づいた感があります。ここに収録された曲はさらに手を加えて、1stフルアルバムに取り込まれるのですが、それまでに7年も要することになるとは思いませんでした(大滝さんの新譜を延々と待ち続けた事を考えれば、大したことではないですが)。
ライブをやらなくなった事に関して佐藤さんは、その都度サポートメンバーを調達しなければならない手間や、ライブに合わせたアレンジにしなければならない制限などから解放されて、自分の表現したい音作りをしたいので、と話されていました。
この間、2001年にお二人はご結婚されたのですが、このトークイベント開催の9月10日が実は結婚記念日とのことで、私事ながら、と照れた感じの佐藤さんでした。
翌日にアメリカで同時多発テロが起こったため、なんだかそんな気分では無くなってしまったとのこと。お二人とも記念日には頓着しないタイプだそうで、いつも過ぎてから思い出すよね、と笑っていました。
その後、お嬢さんも産まれたりしたので、時間的にも忙しくなったのではと推測します。
そして、その間にじっくりと時間をかけて様々なポップスなどを研究した成果として、2008年に待ちに待った1stフルアルバム『microstar album』(↓写真左上)がVIVID SOUNDからリリースされました。アートワークは高瀬さんです。高瀬さんもかなりの音楽通なので(「sweet song」で打ちのめされたそうです。今回のアルバムにもコメントを寄せています。以前のブログにリンク貼ってあります)、トークも盛り上がりますね。
スペクターサウンドの影響が感じられるこのアルバム(高瀬さんは、いったんNiagaraというフィルターを通してるよね、と指摘していました)がポップスファンの間で話題となり、microstarの認知度が格段にアップしました。熟成された大人ポップという感じですね。
で、次のアルバムはいつかな? と期待が高まりますが、ここからまた休眠期間に入ってしまいます。
活動していないかというと、そうではなく、2011年の『夕暮れガール』(写真右上)、2012年の『夜間飛行』(写真左下)と、ぽつりぽつりと7 inchがリリースされ、80年代テイストで仕上げた、ツボのど真ん中にくるような曲たちに、アルバムは未だなの〜? という気持ちが募ってきます。
しかし、2012年にDJはせはじむ氏と佐藤さんがタッグを組んで星野みちるさんをVIVID SOUNDに引っ張り、プロデュースを始め(このあたりの経緯は『星がみちる』限定版のブックレットに載っている3人の対談で語られています。みちるさんもライブのMCで、「誘われた時は、条件があまりに良かったので、実は裏があってヤバい話なのでは?と思った」などと話してました)、限定のアナログ7inch『い・じ・わ・る ダーリン』を皮切りに、前述のアルバム『星がみちる』など、立て続けにリリース。作・編曲家として大きく関わり、「ポップス職人」と言われる、その才能を発揮していきます。
その他のアーティストにも、エンジニアとして関わりながら、気がつけば4年。microstarとしての作品はなかなか出ませんでした。
そしてようやく今年、『Tiny Spark』(写真右下)のリリースとともに、アルバム発売の告知が出て、とうとう来た!と、そわそわした気持ちにさせられたわけです。8年間待ちました。
写真で並べてみると、3枚のシングルは全て女性の背中なんですよね。高瀬さんにその辺りの意味合いを訊いてくればよかったと、今頃後悔してますが(^_^;)
締め切りがないと進まないとのことで、今年の5月までにと設定し、すでに出来上がっている曲や、寝かしてあった曲(かつてコンペでボツになった曲など)を並べ、全体像が見えてはきたけれど、アルバムのタイトルはなかなか決まらず、締め切り1ヶ月前。
そんな時にscootersの新譜『泣きたい気持ち』を聴いた(ミックスをご自身が担当した)佐藤さんが、その出来に感動。ブルースいいな、ということで、Bluesってどうだろう?、と飯泉さんに投げかけたところ、ちょうどRumerの「Aretha」という曲の歌詞の世界に浸っていた彼女は、その一節、I got the Bluesと呼応してしまい、あまりにもドンピシャだったので、これ以外にはない、ということでタイトルが決まり、そのタイトル曲とオープニングの「chocolate baby」をラスト1ヶ月で仕上げたのだそうです。
前作が明るいポップスだったのに対し、今作ほ少し翳りを含んだ仕上がりになっています。
タイトルをきいた高瀬さんは、まさかブルースとは、びっくりしたとのことで、前作とシングルなどから、シティポップ調のジャケットを準備していたそうなのですが、そんなわけで新たなジャケット(採用された素晴らしいもの!)を用意するはめになったとのことでした。
今回のアルバムは80年代ポップスの研究成果が軸になっており、清水信之アレンジのepoの音楽がそのコアになっているとのことでした。「月のパレス」や「私たちは恋をする」はそんなオマージュ作品。お二人とも(私も)大好きという「無言のジェラシー」テイストで絶品です。
先日発売になった星野みちるさんのカヴァーアルバム収録のepo「土曜の夜はパラダイス」も佐藤さんのアレンジで、イントロとアウトロに「無言のジェラシー」のA-G#-E-Cの音型があらわれ、オマージュを感じますね(これも訊いてくればよかったです)。
リーフレットに沿いながら、参考音源を流しつつ一曲ずつ解説。このアルバムでは、ブラスの処理に時間をかけたそうで、人が吹いている息づかいや揺らぎを出すのは、大変なのだそうです。他にもいろいろ興味深い話は尽きませんでした。
開始1時間半くらいで、いったん休憩。
Again名物の「おせんにキャラメルコーナー」は、駅弁売りのような感じで、お菓子とバナナを100円均一で売り歩いていました。
ひと息ついたあとは、アルバム後半の曲に関して。Burt Bacharach調の「My Baby」に絡めて、お二人の好きなBacharachナンバーは?などと質問されていました。
ギター以外は打ち込みで作られている訳ですが、佐藤さんは、「打ち込みかどうかということではなく、一つのポップスとして聴いて欲しい」とおっしゃっていました。「打ち込みというだけで、聴いてもらえなかったりすることがあるので、あまり強調したくないんです」とのことでした。
森さんから、「今まで聴いてきたディスクの中で、この1枚というものは?」、との質問に、飯泉さんは細野晴臣さんの『泰安洋行』を、佐藤さんは『APRÈS MIDI』(↓写真)を提示されました。
お二人とも原点はYMOだそうで、どちらかというと細野さんの方に流れ、大滝さんの『A LONG VACATION』などは、後から聴くようになったのだそうです。
そんなこんなで話が一段落したところで、なんと!最後に、まさかのライブ‼︎‼︎
佐藤さんのアコギと飯泉さんのヴォーカル&ピアニカで新譜から『My Baby』。
至近距離での生歌には震えましたね。
そして会場のアンコールに応えてラストは『東京の空から』が演奏されました。
こんなサプライズがあるなんて!
まさかね、歌わないよねと思っていただけに、感動ひとしおでした(^O^)/
生で歌うのは今世紀初めて、と佐藤さん。
そして更に、BSの番組に出演するとの告知がありました。
13日深夜のBS日テレ『Hot-Dog PRESS TV』に、アルバムのプロモーションを兼ねてご出演されました。
VIVIDの韮澤さんと3人で、アンタッチャブル山崎さんに突っ込まれてました(^_^;)
スタジオライブは『DOWN TOWN』でした。素晴らしい!
27日に再放送があるそうです。
有意義なトークイベントが終わって、森さんが、この機会にサインなど戴いたら、と促して下さり、なんとなくサイン会になりました。嬉しい!
笑顔の素敵なお二人でした。
新譜にサインを頂きました。ありがとうございました。
すでに21時をまわっており、長時間のイベントでしたがあっと言う間に過ぎてしまいました。
佐藤さん、飯泉さん、高瀬さん、そしてPet Soundsの森さん、Againの石川さん、本当にお疲れさまでした。
次回はまた8年後とか言わずに、たまにはこういったイベント、企画して下さいね。
森達彦さんのHammer Labelのコンピレーションアルバム『ORDINARY MUSIC』( 写真左上)には「good luck 1998 demo version」と「東京の空から 〜version」が、またコンピレーションアルバム『Light Mellow Magic』のVIVID SOUND編(写真右上)には「夜間飛行」が収録されています。
写真下段は左から、オリジナルのインタビュー掲載のPet Soundの小冊子 とステッカー。お隣のディスクは今回お土産として配付された『birth of the microstar』、右はPet Soundsでの新譜購入特典のインスト入りCD-Rです。
長文におつきあいいただき、ありがとうございました。













