母と泥棒と小銭入れ ~妄想劇場の幕開け~
「母が認知症かも?」、、、
それは2年前。
母が“泥棒に入られた”と、知り合いに真剣な面持ちで相談したのが始まりでした。
で、当然のように警察沙汰。
お巡りさんたちが母の家をくまなく調べた結果…
「泥棒が入った形跡、ゼロ。」
さらに、母が「盗られた!」と主張する物が、、、
・バスタオル
・洗濯バサミ
・布団
……って。
どこの誰がそんなセレクトで泥棒するの??
警察の方も苦笑しながら、民生委員さん経由で
「高齢なので、もしかすると認知症の可能性も…」と優しく私に知らせてくださいました。
そこから“もの忘れ外来”の通院がスタート。
初回の「長谷川式認知テスト」では、なんと認知症の疑いなし!
そんなこともあり、この2年は「高血圧のお薬ついで診察コース」で、特に診断もつかないまま時が過ぎたのでした。
🎥防犯カメラと夜のミステリー
転機は昨年の夏。
母宅の玄関に、防犯カメラを設置してみたんです。
その翌日、さっそく母から電話。
「昨日の夜、泥棒に入られたのよ!!」とドヤ報告。
さっそく映像をチェックすると…
録画に映っていたのは、
🌙 夜中にウロウロする母自身の姿。
さらに、「穴を空けられた!」と主張していたキッチンのビニール袋…
母が自分でいじくってる瞬間、バッチリ映ってました(笑)
それを母に見せたら、しばらくはピタッと被害妄想も落ち着いたんですよ。
……が、それもつかの間。。。
👜小銭入れ事件 〜お試しデイの日に〜
そして今回のデイサービスお試し利用日。
お迎えの30分前に母宅に到着した私を待っていたのは、怒涛の「物盗られた」報告ラッシュ!
「これもないのよ!」
「アレも盗まれたのよ!」
と熱弁中、ついに母がこう言い出しました。
「あなたが母の日にくれた小銭入れも盗られたの!!」
えぇ…あの気に入って使ってくれてたやつ…。
とりあえず「また似たの探すね」と慰めたその瞬間!
母がゴソゴソと自分のバッグを探っていたら……
🪙コロン。
で、デタ━(゚∀゚ )━!!
小銭入れ、母のバッグからまさかの登場!

私「これじゃないの?」
母「あら?……あるじゃないの」
私「うん、あったねw よかったね!」
母「このバッグには絶対お財布系は入れないって決めてたのに!」
……いやいや、めっちゃ入ってるやん!
もうね、母の表情ったら、
まさに「狐につままれた」状態。
そのあとも、「なんか変なことばっかり起こるのよね…」と呟く母。
あぁ、そうか。
私たちから見ると妄想だけど、
母の中では、これは立派な“現実”なんだ。
と、改めて気づかされたのでした。
📝まとめ:笑っても、ちょっと泣ける母劇場
時に笑えて、時に切なくて、
でもやっぱり笑っちゃう。
母の妄想は、“非日常”ではなく、母の“日常”。
今日も母の頭の中では、
ビニール袋と洗濯バサミを狙う謎の泥棒が暗躍してるかもしれません。
でも、まぁいっか。
だって、
「笑う介護にしちゃいましょw」
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【認知症ケア】物盗られ妄想への向き合い方と具体的な対処法
認知症の症状の一つに「物盗られ妄想」があります。これは、実際には誰も盗んでいないのに「財布がなくなった」「誰かに取られた」と思い込む症状で、ご本人も周囲も深く傷つくことのある困難な症状の一つです。
:物盗られ妄想が起きる理由:
この妄想は、記憶力や認識力の低下により、自分で物をどこかにしまったことや行動したことを忘れてしまい、その理由を「誰かが盗んだ」と無意識に補うことで発生します。特に「お金」や「通帳」「印鑑」「貴金属」といった貴重品に対して強く現れる傾向があります。
ご家族や支援者ができる具体的な対処法
1:否定しない・否定しすぎない
「そんなことないよ」「誰も盗ってない」と真っ向から否定することで、本人はますます不安になり、感情が高ぶってしまうことがあります。まずは「それは不安だったね」「見つからないと心配だよね」と気持ちに寄り添う姿勢が大切です。
2:一緒に探すふりをする
「一緒に探してみようか」と声をかけ、共に探す姿勢を見せることで安心感を与えます。多くの場合、無意識にしまい込んでいるだけなので、冷静に付き合うことで解決することもあります。
3:置き場所を定め、見える形で管理する
お金や貴重品の「定位置」を決め、視覚的に確認できる方法で管理することも予防になります。たとえば、小さな透明ケースに保管し、名前を書いたラベルを貼るなど、ご本人にも分かりやすくしましょう。
4:「分身財布」を活用する
貴重品の紛失リスクを減らすために、本物の通帳や印鑑とは別に「使っても良い財布」や「安心用の小銭入れ」を用意しておく方法も有効です。実際に使っても問題ない金額を入れておけば安心感につながります。
5:物がなくなりやすい場所の確認・整理整頓
ポケットやタンスの奥、新聞の間など、「見つかりにくいけれど、しまいそうな場所」を日常的にチェックしておくと安心です。環境の整理も対策のひとつになります。
6:ケアマネジャーや専門職と連携する
物盗られ妄想が頻発し、関係性に悪影響を及ぼしている場合は、ケアマネジャーや医療・福祉の専門家に相談しましょう。薬物治療や心理的ケア、デイサービスの活用など多面的な支援が可能です。
:まとめ:
物盗られ妄想は、認知症による「不安」や「混乱」が生み出すサインのひとつです。本人の人格を否定せず、安心と尊厳を守りながら、周囲が落ち着いて対応することが何より大切です。関係がこじれないように、「病気のせい」と捉え、心と行動の両面から支えることを意識しましょう。
