永遠に 手をつないで -9ページ目

永遠に 手をつないで

私には20年以上も忘れられない人が居ました。
全ての出会いと再会といきさつと・・・
過去の記憶を綴ります

電話をかけて来ることがほとんど無くなって、

以前のように私を好きだとたくさん言わなくなったトシくん。


(今思えば当たり前だ。別れてるんだからあせる)

ある時、私はトシくんの気持ちを試すことを思い付く。


本物のバカが考え付いたウソ。



このウソをこのブログに書くことすら、今でも恐ろしい。

一番大きな後悔。



「私、取引先の○○さんとS○Xしちゃった」


トシくんともしたことがない。

まだバージンだった私がそんなことを言えば、


「うそだろ・・」

とショックを受けてくれると思ったのだ。


ショックを受けたトシくんの声を聞けば、すぐに

「うそ~(笑)」と言うつもりだった。


だけど、トシくんはこう言った。


「そうか。そりゃそんな事もあるだろ。俺たち別れてるんだし。」


別人かと思った。

冷たく響いたその言葉に、私はそれがウソだとは言えなくなった。


すぐさま、

「まあ、トシくんにもそんな事あるだろうしね~」

言いながら、



そうなんだろうか?


私としなかったから、今では東京でそういうことをしているのだろうか?


トシくんにはもうS○Xがそんなに軽いものに思えているんだろうか?

吐きそうだった。

別れてるんだから、私は追及することが出来ないのだ。


・・・・その後の会話は覚えていない。


普通の会話をして、電話を切ったと思う。





私はその時に、トシくんがもう私を好きではないのだと悟った。




本当はその悟りが間違いだったと知ったのはそれから17年後のこと。


別れた形になっていた私達は、今更もう一度「別れよう」という話にもならず、

結局、その年のクリスマスも一緒に過ごした。

心が自由になった私は、

今まで木場ちゃんやヒデくんに遊んでもらっていた時間を

他の人と過ごすようになる。


トシくんとは相変わらず、たまに電話で話をした。


職場で知り合った取引先のお兄さんに同僚と初めてのBARに連れて行ってもらって楽しかった話。

職場で知り合った取引先の別のお兄さんにドライブに誘われて海に行った話。

職場で知り合った取引先のまた別のお兄さんに口紅をプレゼントされた話。


全て、トシくんに報告していた。


それらの男性とは本当に全く何も無かったし、悪びれることもなく、

別れているのだからと、負い目に思う事もなく社会人生活を満喫していた。

そんな夏。


トシくんの実家の経済状態が悪化する。


トシくんからの電話がもうほとんどないことに私もようやく気付き出した頃。


私はトシくんの学費を何とかしようと、父親に援助を求めた。


私の中にはトシくんを繋ぎとめる為の貸しを作りたいという気持ちもあったかもしれない。



今では私の父親の事業も破綻してしまったが、

その頃はそれくらいなら・・と援助出来る金額だった。




その時のお金が後にトシくんと私をまた引き合わせてしまうのだが。


「別れた形にしようよ」


の提案をトシくんは


「瑠美がそうしたいなら」


とすんなり受け入れた。


とにかく、いつもいつも私の言う通りにするトシくん。


それは本当のトシくんではなかった。

優しい人だったが、誰にでも優しく接するというわけでもなかったし、

何でも言う事をきくようなナヨナヨした人でもなかった。


だけど、私の言う通りにはしてくれる。

それは彼なりの愛情表現だったと思う。

そこに私はつけこんだのだ。

もちろん、当時はそんなつもりではなかった。


情けないほど我儘だっただけ。


【私の事が好きなら、私の望みを叶えてよ】オーラに身を包んでいた私。


実際、貧乏だったトシくんに高級ブランドのパスケースを

誕生日プレゼントにねだった。

これ以降、私は彼氏におねだりすることが一切出来ない女になる。

これまでの人生で最後のおねだりだ。


それは、このバカな提案をする数ヶ月前のこと。


彼は節約に節約を重ねて、それを叶えた。

誕生日に宅配便で届いたそれは輝いていて、


その光はより一層、私を我儘にした。


だから、こんなバカな提案も思いついてしまったのだろう。

一旦別れた私達に変わったところは何もないように見えた。

ただ、私の心が自由になっただけ。

ある夏休み。

必死で貯めたお金で結婚指輪を買った。

一つ3万円くらいだった。

どうせ結婚するから、今から身に付けておこうって・・指輪


私は自動車教習所の受付お姉さんのバイトをして、

指輪を買った。


その教習所で知り合った、教官Sと親しくなった私は

帰りによくご飯をごちそうになるようになる。


木場ちゃんやヒデくん以外の初めての男性のお友達。


5つくらい年上だったと思う。

優しくて気遣いが上手な男性だった。

たまに少しドキドキもしたけど、恋愛対象として見たことはない。

教官Sには彼女が居たし、その彼女もお姉さんのようで私に優しくしてくれた。

彼と遠距離恋愛なんだと話したり、彼が帰って来たら結婚するんだとも話した。


教官Sらとの夜が楽しくて、だんだん、食事をする頻度が多くなり・・

夜、トシくんが電話してくれる時間に私が家に居ないことが多くなった。

そんなことも気にせず、私は毎晩のように教官Sとドライブするようになり、

たまにトシくんと電話で話しても、教官Sの話をよくするようになった。


そしてトシくんからの電話の数は明らかに減っていった。


私から電話してもトシくんが居ないことが多くなり、

思うようにコミュニケーションが取れなくなっていることに焦ってはいたけど、

会いに行くこともしなかった。


安心しきっていたのだ。


トシくんが私を好きだという自信が揺らぐことはないまま、

就職して、周りに大人の男性が増えた。
それまでより、余計に大人の世界を見たくなった。
別に男遊びがしたいわけじゃない。
だけど、トシくんは他の男の話をすることがやっぱり嫌みたい。

少し、窮屈に感じ出した私は、
結婚まではお互いに自由に遊んだ方が良いのではないかと考え出す・・


ある時、私はこんなことを言う。


「私達、絶対に別れることはないじゃない?だから、とりあえず別れた形にして、他の人も見た方がいいんじゃないかなぁ?」


「どうせ好きなままなんだし、だけど、彼氏が居るのに他の人に会うのは悪いことな気がするから、それが嫌なの」


「付き合ってるって言っても、会ってないんだから、どうせ付き合ってないみたいだし、今までと何も変わらないよね?」



大きく変わるに決まっている。

私は本物のバカだった。

東京にトシくんに会いに行く度にトシくんとはラブホに泊まる。


私達は当然、


裸で一緒にお風呂に入り、

裸で抱き合い、

常にキスをして

どんなに愛してるかを言葉にする。


トシくんの唇が私の全身を這い、

私のココはトシくんに感じて十分過ぎる程に潤う。

トシくんのソコも十分過ぎる程に固くなり、

私達はいつでも繋がれる状態で抱き合い続ける。



けれど、私達は繋がらなかった。



私は怖かったし、

トシくんが私に入って来ようとしたことはなかった。


トシくんの指で達する私。

私の口で達するトシくん。


私はまだ誰とも繋がった事がなかったから、

繋がりたいという欲望が湧くことはなかった。


私達は結婚すると思っていたから、

今じゃなくても良いと思っていたし、

いつか、自然にそうなって、

これから一生の間に私達はたくさん”それ”をするのだと思っていた。



それより、一緒に眠る事の方が大切だったのだが・・

私はトシくんと寝て、眠れた事が一度も無い。


明日にはまた離れるのだと思うと、

決まって、必ず過呼吸を起こしてしまうからだ。


毎回、過呼吸の私の背中をさすりながら

一晩中抱きしめ続けるトシくん。



プレゼントもなければ、迎えに来てくれることもない。

だけど、ここまで私を大事に愛してくれるトシくん。


なんて幸せなことだったのだろう


20才の男性が好きな女を丸裸にして抱きしめて、

どうやって我慢したのだろうかと思うと、

今も申し訳ない気持ちになる。



そして、繋がらなかった事が後に2人の大きな大きな傷になる。

私の就職が決まった頃、

かっちゃんに夜のドライブに連れて行ってもらったことがある。

どうやって連絡を取ったのか、お互いにさっぱり覚えていないけど、

確かに出かけた記憶がある。


かっちゃんは相変わらず洒落た男の子で、

私が見たこともなかったような 変な外車 に乗っていた車。

それで夜の街をドライブして、どんな目的でどこに行ったのか覚えていない。

お互いに友達みたいな感覚だったのかな。

少なくとも、かっちゃんには少しの下心も無かったと思う。


かっちゃんとドライブしたんだって話をトシくんにしても


「良かったね。楽しかった?」


みたいな感じだった。


トシくんは私がする全てを許してくれていた。

自分が近くで私を楽しませられないのだから、仕方ないと思っていたのだ。


何をしても咎められないから、

私の傲慢さはどんどん加速する。

ちょっと嫌だなぁって思ってるかな?と感じても、

「だって、トシくんが居ないんだからしょうがないよ!私だって楽しみたいよ!」


だけで、


「そうだね。」


とトシくんは納得せざるを得なかった。


人の気持ちのわからない、我儘で傲慢な見栄っ張りの嫌な女。

就職してからは、そんな私はもっともっと加速する。


何をしても許される。

何をしてもトシくんは私が好き。


どうして、あんなに自信満々だったんだろう。


あの時の自信を今、少しでも持てたら、今の私ももう少し楽になるのに。

今の私はいつも、かっちゃんが私に飽きるのが怖いのに。

トシくんと付き合ってる頃、

周りの友達が彼氏に迎えに来てもらって羨ましくて仕方なかった。


だけど、一度だけ、トシくんが学校に来てくれたことがある。

それは夏休みの間で、私の学校の夏祭りだった。

皆、浴衣を着て参加していて、

トシくんは東京からの帰省のタイミングを合わせて、

直接、学校に来てくれた。


トシくんは背も高くて、まあまあカッコ良かったから、

まともに話もしたことが無いようなクラスメイトも

「瑠美ちゃん、どうやってあんなカッコイイ彼氏見つけたのー?」

なんて声をかけて来て、

それまではみんなが羨ましくて、何となく縮こまっていた私の鼻は

急にぐーんと伸びた。



そして、その次の春。

卒業式の日に迎えに来てくれたのは木場ちゃんだった。

会社の高級オープンカーを借りて来てくれた。


その頃の私は、見た目がとても重要な嫌な女だったと思う。


彼氏はカッコよくてお金持ちで私にプレゼントをくれる人が良いのにって

よく思った。

だけど、トシくんが好きだったし、

私はトシくんと結婚すると決めていた。

だから、貧乏で近くに居ないトシくん以外に、

他人から見た時用の彼氏が居たら良いのにって思うようになっていた。


まだ、”本当に大切なもの”が何かを知らない子供だったのだ。

その後、”本当に大切なもの”に気付いてからも、

それはもう無いのだから仕方ない。と諦めて、

”本当に大切なもの”を大切にすることを覚えないまま、大人になった。

一年に何度かトシくんには会った。

私が会いに行くこともあれば、

夏休み等でトシくんが帰って来ることも。


でも、私達にはお金が無かった。


スポーツ推薦で大学に入っているトシくんはバイト禁止だったし、

私も毎日バイトに明け暮れられるような生活ではなかったから。


ただ、会いに行く為だけのお金は自分で貯めた。


ある夏、一週間だけの休みを貰ってトシくんが帰って来た。

まだ、アマちゃんだった私は親に購入して貰った車でトシくんに毎日会う。

だけど、お小遣いまでは貰えなかったから、本当に貧乏なデートだった。


暑いからジュースを買おうとポケットを探ったら

100円しかなくて買えなかったこともある。

1週間も連続で休ませてくれるようなバイト先は無かったし、

それでも、1週間をずっと会っていたかったからバイトするわけにもいかず、

ショッピングモールの飲水機で喉を潤して、涼んだりした。


この頃から少しずつ私達の関係が変わっていたのかもしれない。


周りは彼氏がプレゼントもくれて、迎えにも来てくれる。

私は大好きな彼氏に会う為に休み中のバイトも出来ない。



なんで、私だけ?



そんな気持ちが芽生え始めていた。


けれど、トシくんが大学を卒業したら帰って来て結婚するんだと信じて疑わない私。

実際、私が専門学校の卒業を控えて、就職を考え出した頃、

私は東京への就職を考えて、2人で住む場所や生活する方法を考えたことがある。

その時、沢山話し合って、私は地元で就職することにした。

長男であるトシくんはあと2年したら卒業して地元で就職するんだから、

あと半分、我慢するだけだから。と・・



この頃は心まで離れるようなことになるとは思ってもなかった。

後に、この時、東京に就職すれば良かったのではないかと後悔して生きることになる。

2つ目の私の後悔だ。

トシくんが東京に行くその日。

少しだけ会って、抱きしめ合った。

木場ちゃんもしんちゃんも泣きそうで、

トモくんはいつも通りクールで。

信明とヒデくんは何とも言えない困った顔をしていた。


指先も離れて、トシくんが見えなくなった直後、

私は頽れた。公衆の面前での号泣。

信明が私を立たせて支える。

その日のその後は覚えていない。


その日から私の過呼吸が始まった。

今だったら、パニック症候群と診断されるだろう。

トシくんが近くに居ないと自覚するだけで過呼吸を起こす日々。


そして、そんな私を支えたのはヒデくんと木場ちゃんだった。

その頃の私はそんな2人に感謝することもなく、


友達だから。


と思っていたけど、


「人一倍寂しがり屋な瑠美を頼む」


とトシくんが親友に託していたのだと知ったのは3年前。


それまでずっと


友達だから。


と思っていた、バカな私。



2年制の女子だけの専門学校に進学していた私の周りは

彼氏が迎えに来る友達ばかり。

就職していた木場ちゃんは時間が合えば迎えに来てくれていた。


トシくんの代わりに。


まだ、バブルの名残がある時代・・

彼氏がプレゼントしてくれるのが当たり前だった香水や化粧品はヒデくんが調達してくれていた。


トシくんの代わりに。


感謝してもしきれない程、この2人には恩がある。

卒業式を終えて、トシくんが東京に行くまでの数日間で、

私達は記念品作りに夢中になった。



☆景色の良いところを選んで、また、そこが思い出の場所であることに拘って、

2人で写真を撮る。ストーリー性のある、ドラマのような写真。

撮影したのはほとんどが木場ちゃん。

それをセピア色に2枚ずつ現像して、2人でお揃いのアルバムに貼った。

トシくんのアルバムは生成りにブルーのチェックの布地が表紙になったもの。

私のアルバムはそれと同じ赤いもの。




☆2人でジグソーパズルを買いに行き、2人で大急ぎで完成させて、

そこにマーカーでお互いの名前を書いて額に入れて飾った。

飾った場所が私の部屋の壁の高いところだったから、

驚くことについ最近まで飾ったままだった。



☆寮生活になるトシくんが朝起きられるようにと、目覚まし時計を買った。

買う時にどっちの色にするか悩み過ぎて、2つ購入。

一つは私が持つことにした。毎日見る時計がお揃いなのは良いことだと思った。

これは会う度に交換すると決めた。


実際に何度も交換したから、両方の時計を同じくらい使ったけど、

別れた時に私が持っていたのは黒い方だったから、その後も黒い目覚まし時計を使うことになった。


この時の時計をトシくんは20年近くも経った3年前にも持っていた。

今は捨てただろうけど。

捨てていてくれないと嫌だと思う。



私の方の時計は13年前に私が壁に投げつけて壊した。