トシくんと付き合い始めてすぐに、
前の年の修学旅行の一件が明らかになった。
「修学旅行のお土産を買って来たんだよ。
驚かせようと思って、わざと言わずに行った。
瑠美にだけお土産を買って来て、それで告白しようと思ってたんだ~」
悲し過ぎて、笑うしかなかった。
実際に私は笑った。
「じゃあ、私が悪かったよね~」
ほんの些細なすれ違いだ。
また、私だけが勝手に盛り上がってたんだと恥ずかしさもあった昨年。
当てつけるように付き合ったK先輩との日々も無駄だったとは思わないけど、
昨年、もう少し私が素直で居れば、
トシくんは東京に行く事にはしていなかったはずだ。
それだけは自信がある。
それ故、私は高校2年の秋をこの後、ずっと後悔して生きることになる。
それから、私達は毎日同じ時間を過ごした。
寝ている間と学校に行っている間以外はずっと一緒に居た。
もうすぐ、離れ離れになるとわかっている毎日が過ぎるのはとてつもなく速かったし、
それを感じながら、いつも一緒に居た。
トモくんの受験が終わった頃には、夜遅くまでトモくんの家で過ごしていて、
おばさんに叱られた。
「女の子がこんな遅くまで外に居たらダメでしょ
」
仕方ないので、夜は9時までに帰宅して、
登校前に早朝5時からトシくんと堤防沿いを歩いたりもした。
とにかく、一緒に居たかった。
トシくんも同じ気持ち。
幸福感と喪失感の大きさは比例するのだと私が知ったのはこの頃だ。