永遠に 手をつないで -7ページ目

永遠に 手をつないで

私には20年以上も忘れられない人が居ました。
全ての出会いと再会といきさつと・・・
過去の記憶を綴ります

突然、現れたてっちゃんは

「あの時、電話に出た人を好きになった。ごめん」

と言った。


逃げるように去るのではなく、

けじめをつけたいと思ったのはてっちゃんらしい。



「瑠美ちゃんが俺に求めてるのが何なのか、よくわからなくなったんだよ。

会いたがる割には会ってもどこか冷めてるし。

クルマに乗れなくて、瑠美ちゃんに会えない間に彼女と知り合った。

彼女から付き合ってって言われてたけど、俺には瑠美ちゃんが居たからさ。断ってたんだよ。

それでもしつこく誘われて悪い気はしなくて・・ついあの日、一緒に飲んじゃった。

飲んだらもうここへは来られないってわかってたから、結局、彼女と飲み明かした。でも、何もしてないよ。

次の日、瑠美ちゃんに謝ろうと思ったんだけど・・

責められるうちに、瑠美ちゃんが何を求めてるのかわからないなぁって。

それで瑠美ちゃんに会うより彼女に会う方が楽しいって

思ってる自分に気付いたんだ。彼女と付き合おうと思う。

ごめん。」



てっちゃんの言っていることは全部、よく理解出来た。


彼は浮気をしたわけでも二股をかけていたわけでもなく、

私を愛していなかったわけでもなかった。


私のせいで愛が冷めただけなのだ。


裏切るような男と恋愛していたのではないということが救いだった。


この時も好きな人とのお別れを悲しんだというより、

思い出を慈しんで泣いた。


本当に愛し、愛されるということに憧れたまま、

また、寂しい生活に戻るのだと思うと憂鬱だった。




なのに、その翌日。

新しい出会いが待っていた。

それこそ、運命?と思うような偶然の出会い。

「もしもし~」

ご機嫌な女の声に、私は少しも声を出す事が出来なかった。

間違えてかけたのかな?


携帯電話のディスプレイを確認してみる。

そこには”てっちゃん”と出ている。


もう一度、「もしもし~?」と女の声がしたすぐ後に

てっちゃんの声に変わった。


「もしもし」


「今の誰?」


「あ、友達」


「今日は来るって言ってたじゃない」


「今、みんなで飲んでるから、また連絡するね」


プチっと私が切った。


皆で飲んでる?

周りの音は静かだったけど?


まただ・・

私の事を好きだと言った男が他の女と何かしている。

それが浮気だろうが二股だろうが、

私の方が浮気相手だろうが、

そんなこと、どうでもいい。

私を本気で愛している男が他の女と何かする筈などない。

ということは、


私は愛されていない。


一気に冷めた。というより目が覚めたのかもしれない。

てっちゃんを愛おしいと感じたことは一度も無かった。

私の方こそ愛していなかったのだ。


寂しくなることが嫌だったし、

楽しかったし、

誰かに愛されていると感じていたかった。


だけど、また

私は愛されていないという事実を受け入れるという

この時の私にとっては永遠に続くとも感じられる酷な試練が待っているかと思うと、

辛くて泣いた。


泣きながら、誰かに救いを求めたくて

トシくんの携帯番号を表示させた。

この時、緑のボタンを押していたところで、

トシくんに私を慰める言葉は何も無かっただろう。




てっちゃんは1週間後に突然、現れた。

私は落ち込み、泣いてばかりの1週間だったし、

てっちゃんには毎日電話して、責め立てた。

てっちゃんは何度も「誤解だ」と繰り返したが、

愛していないことにも気付いてしまった私は、

責める以外、彼に求めるものは何もなかった。


戻りたいとも思わなかったし、謝られたかったわけでもなかったのに。

旅行の後、お正月休みをそのままずっとてっちゃんの家で過ごした。

何をするわけでもなく、

てっちゃんとお父様と私でコタツに入って、テレビを観る。

食事は私が用意した。

そこでも、私はなんとなく”利用されてる”感が否めなかったが、

てっちゃんときちんと話すことなく帰ることに不安があった。


このまま、この人は居なくなってしまうのでないか?という不安。


旅行で拒んで以来、一度もセックスしていない。

そのせいで、自分が捨てられるのではないかと不安になっていた。


私の中の一人は

「カラダだけが目的ならそんな男は要らないじゃない」

と言うし、

もう一人は

「私を愛してくれてるからセックスしたいのにそれを拒むのは瑠美が悪い」

と言う。


自分でもよくわからなくなっていた。


でも、連休が終わろうとしていて、私はそのまま帰るしかなくなった。


自転車で来ると言っていたてっちゃんが来るのは

うちの近くのあのPOOL BARでバーテンをした帰りだけになった。


てっちゃんの家からうちまでは自転車で30分以上かかる距離。

仕事もあったから、来られないのは仕方ない。


週末のサーフィンに私が運転して行ってあげようと何度か思っては思い直す。

また、私がイライラするのは目に見えていた。

彼はたまに仲間に乗せて行ってもらって、そこには私もたまに呼ばれた。

他人のクルマの中は居心地が悪かったから、私はそれも好きじゃなかった。


それもこれも、てっちゃんの免停が終われば、すべて元に戻る。

それを信じて疑わず、免停が明ける日を待ち望んだ。


そして、待ち望んだその日。

夜、色々と片付いたらうちに来ると言っていたてっちゃん。

何時に来るかはわからなかったけど、夕方から御馳走を用意して、

彼が来るのを楽しみに待った。



夜10時を過ぎた頃、私は待ちきれずにてっちゃんの携帯に電話した。



長いコールの後、出たのは女の声だった。


「事故した」


彼が突然、電話をして来たのは真夜中。


「え?大丈夫なの?」


「ああ、民家の壁を傷つけただけだから怪我はないけど。」


「良かった~」


「それがさ・・飲酒運転でさ・・」


「え?????」


「少ししか飲んでなかったんだけどさ」


「で?どうなるの?」


「免停。」


「いつまで?」


「3か月。」


「・・・・じゃ、会えないの?」


「いや、瑠美ちゃん家までは自転車で行くから大丈夫だよ。」


「うん」


「で、旅行がさ・・」


「そうだよね・・・」


「もう、キャンセル料80%だし・・どうしよう」


そう。旅行と言ってもサーフィンボードを持って行くから、

クルマで行くつもりだった私達。

電車で行くとなると、ものすごく大変になる。


「瑠美ちゃん、運転できる?」


嫌だなぁと思った。

運転は嫌いじゃないけど、高速道路は怖かった。


「うん。大丈夫」


大丈夫とは言ったものの、憂鬱だった。


旅行の日までにてっちゃんは1度だけ自転車で来て、

私を抱いて帰った。


旅行当日、てっちゃんの家まで荷物を持って電車で向かう私。

てっちゃんのクルマを運転するのはその時が初めて。


そして、道中。。思った以上に遠かった。

色んなお話をして、楽しい車内を期待していたのに、

てっちゃんは前夜、バーテンの仕事をしていたせいで、

助手席でグーグー寝ている。


最初のうちこそ、寝かせておいてあげようと思ったものの、

道がわからなくなった頃に私は不機嫌MAX!


「地図くらいみてよ!むかっ」


棘のある口調にしかならない。


到着した先では、とっとと海に入ってしまうてっちゃん。


(なに、これ?私はただの運転手?)


その夜も私の機嫌は直らなかった。

せっかくの旅館の夜。

私は初めて、てっちゃんを拒んだ。

拒まれたてっちゃんも不機嫌MAX!


「ありがとう」とか「ごめんね」とか

なにか、言ってくれるだけで私は素直になれるのに。


この人はここでこうしていることを全て

当たり前だと思ってるんだ。

私がしてあげることは全部当たり前だと。

セックスをさせてあげると思っていた私は

私を抱けて当たり前だと思っている彼に腹が立った。


喧嘩こそしなかったけど、ほとんど会話のない一泊二日の最悪の旅行になった。

出発ギリギリ。

チェックインカウンターにもてっちゃんは荷物を運んでついて来た。

そこで、私の上司に遭遇。

上司にてっちゃんは

「瑠美さんとお付き合いしています。○○です。出張中、瑠美さんをよろしくお願いします。」

と丁寧に挨拶をして、上司にも好印象だった。


出張先ではホテルから何度もてっちゃんの携帯に電話をかける。

彼はいつも、私からの電話を待っていてくれたから、

それが嬉しくて、何度もかけた。

チェックアウトの時には1万円以上の電話代が請求されたガーン


早朝に到着する便で帰国した時、

ゲートの外でてっちゃんが待っていた時には驚いた。


私って愛されてるラブラブ


だけど、その時から、少しずつ少しずつ彼は変わっていく。


愛されていると思い込んだ私は彼に尽くすようになる。

彼が部屋に来る時には必ず料理を用意した。

いつ来るのかは当日にならないとわからないから、いつも気が抜けない。


彼は来ると必ず私の体を求めた。

愛されてるから求められるのだと思っていたから、

それには必ず応えたけど、私はセックスが好きじゃない。

彼が来てくれるのは嬉しいけど、

それは憂鬱な行為だった。


だけど、彼は私を自分の父親にも母親にも紹介した。

彼のご両親は離婚していて、彼は父親と暮らしていたから、

私は彼の母親に会う為に2時間以上も電車に揺られた。

わざわざ、こんな風に紹介してくれるんだから、

やっぱり


私って愛されてる!?


そんな風に2か月が過ぎたある日、

彼がお正月の旅行を提案してくれた。

もちろん、サーフィン付きだったけど、


「ちゃんと旅館に泊まろう」と。


空港のホテル以来、私の部屋でセックスするか、

海に行くだけ。の私達の付き合いに

少し変化があるかもしれないと

私は旅行に大きな期待をした。


彼が事故を起こすまでは。

週末は金曜日の夜から彼のサーフィンのお供。

土曜日はてっちゃんが海に出ている間、

浜や車の中で本を読んで過ごす。

のんびりした良い時間だった。

彼が浜に上がって来る時にはタオルと珈琲を差し出す。

この生活、結構良いかも~ニコニコ


てっちゃんは見た目より硬派な男だった。

週に2回はデートしているのに、手も繋がない。

この日、翌々日に海外出張を控えた私は

このまま留守にするのが不安になって、

訊いてみた。


「キスもしないのはどうして?」


「瑠美ちゃんが付き合ってくれるって返事くれてないから」


「そうか、じゃあ返事するよ」


「付き合ってくれる?」


「いいよ」


てっちゃんの顔が近付いて来て、

私達はキスをした。

埠頭から見える海と夜景がロマンティックだった。


「明後日、空港まで送って行くよ。」


「夜の便だよ」


「じゃあ、朝から出発までずっと一緒に居ようよ」


”一緒に居ようよ”がそういうことだと

何故わかったのかわからないけど、

そういうことだと思った。


てっちゃんをすごく好きなのかどうかはわからない自覚もある。

だけど、私を大事にしてくれて、


私を愛してくれてる。


これが私にはとても重要で、私は幸福な気分に浸っていた。


翌々日、自宅に迎えに来たツーリングワゴンに

1週間分の着替えを詰めたスーツケースを積み込み、

私達は空港に向かい、


空港近くの、飛行機がみえるホテルに入った。

ニット帽くんの車は

ツーリングワゴンの後部座席を全て倒してあった。


車内はココナッツの匂いがして、

スピーカーからはレゲエが流れている。


「なに、なに。なんでシートが倒れてるの?何を積むの???」


「あ、俺、サーフィンしてるから。」


なるほど。


「へぇ~カッコイイねぇ~」


「いや、上手くないからカッコよくはないよ」


「ふーん。じゃあ週末はサーフィンなの?」


「そう、いつもは金曜日の夜から行くんだけどね。

今日は給料貰わなくちゃいけなかったからなぁ~」


「あのさ、名前なんていうの?」


「言ってなかった?○○哲○。」


「じゃあ、てっちゃんか。いくつなの?」


「21」


「じゃあ、私の1個下かー」


「年上?うそぉ?全然見えない」


「だって1つくらい同じようなものじゃない?」


なんとなく、自己紹介みたいな話をしながら、

家の前に着いた。


「ありがとね!」


私が降りようとした時、てっちゃんが私の手を引っ張って、


私をもう一度座らせた。

(やばいな。何かされるかな・・)


「俺と付き合ってくれない?」


「えーと・・よく知らないじゃない?私のこと」


「だから、知りたいなと思って。少し話しただけで好きだって言うと軽く見える?」


「・・うん、見える。」


「じゃあ、友達からでいいから。俺の事をもっと知ってくれない?」


「・・うん・・」


「明日、時間ある?」


「なんで?」


「ドライブしようよ。迎えに来る。」


「ん・・いいよ」


翌日、海沿いを走りながら、てっちゃんは将来の夢や家族の話、

どうして私を好きになったかなどを話してくれた。


「瑠美ちゃんの会話のセンスが好きなんだよね。面白いから。」


「どうせなら、可愛いとか綺麗とか美しいとかべっぴんとか(?)

そんなことを言われたいのになぁ~」と返したが、


てっちゃんの使った

「会話のセンス」という言葉のセンスの良さに

私の方が惹かれたと思う。

いつものように顔を出したPOOL BARで、

カウンターの中のいつものお兄さんにビールを頼もうとしたら、

見たことのない男の子がバーテンをしている。


まだ秋だというのにニット帽をかぶったその子は

私を見ると満面の笑顔で

「いらっしゃい」


・・・誰だ?この人・・・


「あれ?初めてだよね?」


「俺は毎週火曜日だけだから。」


そうか。

火曜日には何故か来たことがなかったのか・・私。


まだ時間も早くてお客さんもまばら。

カウンターに腰掛けて、ニット帽くんと少し会話。

知った顔が増えて来て、ビリヤードに誘われた私はカウンターを去った。


幸い、高校時代にK先輩のおかげでビリヤードは何度もやっていたから、

遊ぶくらいは出来た私。


こうして、ただ、ビールを飲んでビリヤードをして、

”よくは知らないけど顔は知ってる人”と遊ぶだけの時間。


ココは黒人・白人がよく出入りしていて、

なんとなくオシャレで都会な気がしていたから、

そこに一人で出入りしているだけで、都会的な女になった気分だった。


何より、自宅から近くて、頑張れば歩いてでも帰れる距離だった事が

ここを一番気に入っていた理由でもあった。


それから、ニット帽くんを目当てに火曜日を選んでわざわざ行くようなこともなく、

それまでと同じペースでたまに顔を出す。




ある金曜日。

会社の食事会を終えて、なんとなく、すぐに帰りたくなかった私は

ふらりとココに立ち寄った。


金曜日なのにカウンターの中にニット帽くん。


「あれ~?今日は金曜日だよ~」


「給料を取りに来たらさ、一時間だけピンチヒッターになっちゃって。」


「そうなんだ~。あ、私ビールね。」


瓶を受け取ると、ちょうどカウンターにやって来た知ってる顔に

「あー瑠美ちゃん。今日は友達たくさん連れて来たから一緒に飲もうよ~」と

テーブルに誘われた。


その人達は携帯電話会社の人達で、新しい機種について色々話してくれてたから

夢中で聞いていたら、1本目のビールはすぐになくなってしまった。


2本目を買いにカウンターに行こうかと振り向いた瞬間、

ぶつかりそうになったのはニット帽くん。


・・顔が近い・・


「あービックリした!ごめんごめん!」

照れ隠しに大げさにビックリしてみせたら、


「もう帰るの?」

クールに言う。


「ううん、違う。もう1本飲もうと思って」



ニット帽くんは急に小声になり、


「あと10分で帰れるからさ。帰り送るよ。車だから。」


よく知らない人の車に乗るのは危険だと思った。

けど、どうしても断れなかった。


「ありがと。じゃ、もう1本飲むのはやめておく」


「10分後に俺が出たら、出て来てね。下で待ってる。」



爽やかさのかけらもない場所で

爽やかな笑顔を見せられた。


新しい場所での恋の予感。

通帳が届いた日、意気揚々と電話する。


「もしもし~、あのね」


声だけで私が誰かわかるかを確かめたくて、

わざと名乗らず。


「うん、口座出来たの?」


やっぱり、私の声わかるんだ~ニコニコ

(よく考えたら携帯なんだから登録してあれば着信時にわかるんだけど)


「出来たよ。口座番号、今言っても大丈夫?」


「ああ、ちょっと待って。メモするから。」


「えっとね・・」


口座番号を伝えると、トシくんはこう言った。


「じゃあ、振り込んだらまた電話する」


「わかったーニコニコ」


それから、毎月、”振り込んだよ電話”がかかるようになり、

毎月、”入金されてたよ電話”をするようになった。


それだけ。


特に他の話はしなかった。


今はどんな仕事をしていて、どんなところに住んで、

彼女が居るのかとか、そういうプライベートな事で

知りたいことは沢山あったけど、

なんとなく訊いてはいけない気がしていたし、

トシくんが何も訊いてこなかったから。


毎月、必ず電話があるだけで、繋がっている安心感。

それは孤独な私を支える唯一の安心感だった。


だけど、終わった恋をもう一度始めようとは思わない。

せっかく、違う新しい生活を始めているのだ。

私を愛してくれる愛すべき人に必ず出会うと信じていたし、

それはトシくんではないはずだと信じていた。



友達も居ない知らない街で、

寂しい時間の過ごし方がわからず、

ほぼ毎晩、一人でBARに呑みに行くようになっていた私は

行きつけになったPOOL BARで一人の男性に出会っていた。


丸坊主で細くて背も高くなく、イメージはちっちゃい男の子。

名前は

てっちゃん

「もしもし?」


おそるおそる出た電話の向こうから聞こえて来たのは

私が一番よく知っている声。


「もしもし、俺・・」


「ああ、トシくん。どうしたのー?なんで番号知ってるの?」


「うん、木場にきいた。」


「そうそう!私、今、■■で一人で暮らしてるんだよ」


「うん、木場にきいた。」


「トシくんは?どうしてるの?」


本当は知っていた。結局、大学をやめたこと。

そのまま東京に残って一人で暮らしていること。

知らないでいられるわけがない環境だったのだから。


「俺さー結局、大学やめたんだよねー」


「うん、そうらしいねー」


「でさ、今は働いて収入もあるから、あの時のお金を返そうと思って。」


「ああ、うん。じゃあ、私の口座に振り込んでもらおうかな。でも一括じゃなくていいよ」


「そうして貰えると助かるよ。毎月、月末に○万円ずつでいい?」


「いいけど。

そうだ、振り込む銀行はさ、私、そっちの銀行の口座作るよ。そうしたら手数料無しでしょ?」


「めんどくさくない?」


「いいよ。別に。電話したらハンコ押すヤツが届いて、簡単に口座開設出来るって会社の人が言ってたもん。

口座が出来たら、電話するね。この番号で良いの?」


「うん、俺の携帯だから。仕事中は出られなかったらごめんね。」


「そんなのいいよ。着信あったら折り返してくれれば良いから。じゃあ、またね。」


「おお、またな」


繋ぎとめることは出来なかったお金だけど、

もう一度繋いでくれるお金にはなったみたい。


けれど、この、友達のような会話以上の会話をする勇気が私には少しも無かった。


翌日、早速、口座開設の手続きをする。


早くお金を返して欲しいのではなくて、早く口座開設した連絡をトシくんにしたかった。