ここで、意地を張ったりするのはよくない。
私は泣きながら、
どうして別れたくないのかを必死で説明したかったけど、
どんなにタカオさんを愛してるかを伝えることは
どうしても出来なかった。
ほとんど一緒に暮らしているのだ。
愛してるかどうかなんて、タカオさんの方がわかってる。
日々の家事も必死でこなしたし、
タカオさんが喜びそうなことは何でもした。
彼の帰りが遅い時も先に寝ていたことなど一度もない。
良い奥さんになるだろうと思われたかった。
だから、私は頑張っていたのに。
「瑠美ちゃんは俺に心を開いていない気がする」
「そんなことない!」
反論はするものの、彼の言う事は間違っていない気もした。
「でも、私・・この部屋が好きなの!だから出て行くのは嫌!」
別れたくない理由としては、とんでもない事を言ったと思ったが、
彼はそれに納得した。
納得した?
「じゃあ、このマンションの他の部屋を借りてあげるから、そこに住んだら良いよ」
「引っ越すお金なんてないよ」
「いいよ。俺が部屋を借りてあげるよ。そこで一人で暮らしたら良い。
会いたい時に会えるし、頑張らないで素直に暮らしてみてよ。
そんな瑠美ちゃんを近くで見ててあげるから。その方が俺も安心だよ。
別れても近くに居る。」
反論は何も無かった・・・・・
翌週、私は同じマンションの違う階に引っ越した。
その引っ越しの日、私の勤める会社に新しい人が中途採用でやって来た。
同じ日に引っ越しをしていたその人が今の私の旦那さんになる。