昨日に引き続いて、インクの色味についてです。
昨日は、インクが馴染むまでの話ですが。今日は乾燥についてです。
日頃の紙への印刷で、インクジェット式のプリンターから印刷されてくるものについても、同じようなことが言えます。
プリンターから出てきた直後は、インクがウエットな感じで、やがて、紙に染み込んでいくのですが、コピー用紙のような安価な紙の場合は、想定している色味とだいぶ違う色に落ち着くものです。
ファイン用紙や写真用紙は、パソコンの画面に近い色味で、落ち着く場合が多いと思います。
シルクスクリーン印刷のインクの乾燥も、時間の経過が違うだけで、同じような現象があります。
印刷機で印刷した直後は、インクのリアルな色味が容器に表現されます。
その後、時間の経過にしたがって、容器と同位化して、完全に乾燥し、硬化するのですが、その過程において、色味を変化させていきます。
今日の印刷は、細かい文字があるデザインなので、「遅口(=おそくち)」と呼ばれている、乾燥が遅い希釈溶剤を使用しています。
放射性物質のような「半減期」という表現があれば、説明しやすいのですが、そこまでは知らなくて、すみません。
通常の希釈溶剤のインクだと、加熱して、10分くらい経過すれば、乾燥が完了するのですが、最も遅い「遅口」の溶剤を使うと、完全に乾燥するのに24時間くらいかかると言われています。
表面はサラサラとしていて、一見すると乾いているように見えますが、インクと容器の接着面の乾燥が不十分なことが多く、摩擦の検査をすると、剥がれることがあります。
今日はその「遅口」の溶剤を使用しているので、乾燥炉の出口では、完全に乾燥していません。つまり、乾燥炉の出口では、乾燥した色味になっていないということです。
ただ、色味の確認をするために、明日までかけて乾燥させてから量産を始めるということでは、仕事の効率が悪いので、リピートの御用命の時は、従来の使用しているインクのレシピを信じたり、前回までの実績を活用したりして、進めていきます。
例えば、今日の事例ですが、午前中まで印刷をして、お昼の休憩を済ませて、午後から印刷を再開したときに、午後イチで乾燥炉に流れ着いた色味と、約1時間以上経過した午前中の印刷の色味とでは、かなり違うものです。
いろいろと気を遣いながら、色の管理をしております。
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