新しい容器への試刷 | おおはしひろと

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こんばんは。
プラスチック容器への印刷を仕事にしていると、街中でお店に入ったときに、お店に並んでいる容器を手に取って、印刷の具合を見てしまうという「職業病」の症状が出てきます。

商品の中身の説明ではなく、印刷の具合を見てしまうのです。

たいがいは、大手の容器ですから、とても美しい印刷です。そして「こんな特殊な形状の容器への印刷は、どういう仕掛けでやっているのだろう」と、不思議に思うことがあります。

今日は、午前中までは量産の仕事をしましたが、午後からは、新しい容器の試作をしました。


断面が楕円形の容器なので、従来の印刷方法だと、片面ずつ(=表面と裏面)の印刷になりますが、ぐるりと一周での印刷を希望しているとのこと。

うまく印刷できるのか否かは、やってみないと分からないのですが、この手の依頼は、おそらく、どこか他の印刷工場で実績があって、できる印刷工場を探している系の依頼だと思っています。

大風呂敷を広げて、安請け合いしてしまうと、後々困るので、今の印刷技術で不可能であれば、背伸びすることなく、正直に「できません」とお詫びしようと思っています。

容器の底面と天面には、円の形状があるので、ここを使えば、印刷ができるという仮説を立てて、この円に対応するパーツを探します。

この底面には、直径30ミリの治具を。

この凹部分に、円形の治具を当てて、回転させれば、活路が見出せそうな予感が。

Φ30の5番目の治具です。

容器の天面に近い肩部には、ローラーを。

ローラーとシリンダーの組み合わせで、容器を一定のトルクで固定させます。


容器を置くと、このような感じです。

実際に印刷をしてみると、なかなかどうして、うまくできず。




本来の円柱形の転がしの印刷の時は、ウレタンのスキージーが、安定した一定のしなり方で、スクリーンの上を走行するのですが、今回の容器は楕円形の転がしなので、径が大きいところと小さいところで、しなり方が違います。

インクの粘度や、スキージーの角度などを調節して、今日のところの試作を無事に終えました。

実際の品物のデザインが、全周の帯(=オビ)だったり、メッシュ(=網点)だったりすると、難しいと思われますが、一般的な文字列や、線の組み合わせの絵柄であれば、印刷は可能なような感じです。

当該容器への専用治具をあつらえれば、さらに安定して印刷が可能になると思われますが、予算のこともあるので、なかなか難しい判断です。

たまたま、社内で保有している治具を流用しての印刷になりましたが、この辺が、零細企業の苦しいところであり、また、小回りを効かせることができるところでもあります。

可能な限り、お取引先さまからの御用命に、全力でお応えしていきたいと思います。

いつもブログにお越しくださり、ほんとうにありがとうございます。