朝まで生テレビ!元旦スペシャルで、竹中平蔵が「正社員なくしましょう」と言ったと話題になっていたので動画を点検してみたところ、まったくのガセで、冷静さを欠くネット民の騒ぎにすぎなかった。
さて、きっかけは騒動の真偽を確かめるためだったが、全体を聴いてみるとなかなか刺激的な話し合いになっている。竹中発言を調べるためだったが、該当部分をせっかく起こしたので、関心がある方はどうぞ。
朝まで生テレビ!元旦スペシャル 141231 2(43分)
朝まで生テレビ!元旦スペシャル 141231 3(45分)
朝まで生テレビ!元旦スペシャル 141231 4(44分)
(朝まで生テレビ!元旦スペシャル 141231 1 というのは見つからなかった)
起こした動画は『竹中平蔵 正社員をなくしましょう 物議!!』(6分)
これは上記「2」の動画の43分中、28分あたりから38分まで。
起こしを読んでいただく前に一言付け加えると、竹中平蔵が主張し、山本一太が言及した「労働政策研究機構の調査」には、彼らが言うようなアンケート調査もあるのだろうが(見つからなかった)、逆の主張を支持する資料も多々ある。例えば
労働政策研究報告書 No.139 平成23年11月 4日
登録型派遣労働者のキャリアパス、働き方、意識
―88人の派遣労働者の ヒアリング調査から―(1)(分析編・資料編)/(2)(事例編)の第 I 部 分析編の17ページには、
「第 2-1 図は、正社員希望の有無について示している。正社員に「是非なりたい」は 5割、「どちらかといえばなりたい」が 3 割で合わせると 8 割に達している。現在の働き方よりも正社員という働き方へ移行したいという希望が表れている。
第 2-2 図は、派遣労働に対する満足度を示している。・・・第 2-7 表のクロス表をみると、派遣労働に対して「不満」とする者は、すべてが正社員希望であり、派遣労働に対する「不満」は、正社員でない(なれない)ことが大きな要因となっていることを示唆している。」などとある。
彼らが自説を裏付けるために、都合良く恣意的に資料に言及する傾向があることを指摘しておきたい。社会で普通に働いている者の感覚としては、むしろ、辻元や萩原の言っていることの方がずっと近い。
併せてこの機会に、上林陽治という研究者を紹介したい。彼は近年、特に非正規公務員についての著作が多く今現在日本で起きている労働状況の分析について良い切り口がある。辻元の発言はこれに近いものがある。このブログをわざわざ読みに来てくれるような人には、辻元が嫌いだという人が多いと思うが、政策はすべてひとつ一つ是々非々であることに加え、指摘そのものは政策を実現する能力とは切り離して評価するべきものと心得る。辻元が先月の選挙で当選した時は「なんでこんなもんが」と思ったりもしたが、朝生での論じ方をみると、そこは、それなりに成長があるようである。
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竹中 基本的に申し上げたいのは、派遣とかね、ま、いろんな業種が、働き方があるわけですけれども、その中で、正社員でも、今、おっしゃったようなね、非常に、その中小企業で、不利益を受けている労働者ってたくさんいると、私も認識をしています。だからそういうことにたいしてはブラック企業も、きちんと労働監督しなきゃいけないし、そして基本的には同一労働同一賃金にもってかなきゃいけないと、これはもう一致した意見なんですよ、それを(田原総一郎がしゃべりだして最後聞き取れず)
田原 でもねえ、それはわかるけど、建前で、そんなことできるんですか、同一賃金ろうろうろう
竹中 オランダがそれをやったわけで、日本版オランダ革命をやりましょうっていうのが、実は第一安部内閣のときからずっと議論されているわけです。
田原 できるん?そんなこと
(ここで、山本→田原→辻元→山本→辻元→田原→辻元→田原→辻元→宋まで約5分カット編集されている)
竹中 それはねえ、根本的にさっきから山本(一太)さんが最初におっしゃった大変重要なことをみんな無視してるんですよ。それは、まず、多様な働き方をみんなしたいんです。それでいろんなアンケート調査があっって、アンケート調査にばらつきがあるんですけれども、たとえば協会がやったアンケート調査によると、派遣でやっている人の7割は、当面派遣でやりたいっていう風に言ってます。それで労働省がやった派遣に対する調査によってもですねえ、正社員に変わりたいっていう人と、そして今のままの、非正規のままの方が良いっていうことを比べると、実は非正規って答える人の方が多いんです。数字はね、さっきの協会とは少し違うけども。多様な働き方があるから、派遣でいれるのが何か悪いとかね、かわいそうだとかね、その前提はちょっと捨てて欲しい。それは是非、ケースバイケースだと。いうことを、ね、正社員で雇われたい人もいますよ。でも、そうじゃない人も多いんだっていうこと、まず大前提にして欲しい。
それともう一つね、
田原 ほんとこなあそれ?(ほんとかなあ、それ?)
竹中 そういうことなんですよ、それ、ほんとですよ。
(みんながしゃべりだして聞き取れない。)
竹中 田原さん、もう一つ大事なことがある。同一労働、同一賃金やろうと思ったらね、何がね、どうして派遣がね、5対2って、4割って増えたかっていうと、それは簡単なんですよ、正規労働が日本の正規労働っていうのは世界の中で見て、異常に保護されているからなんです。
森永 まあ、それは違います。
竹中 それは1979年の東京高裁の判例で、そのように解雇の4条件というのが示されて、それは、そうですよ、(横からしゃべってくる人に答えて)だから、そうするとね、要するに、目指すのが同一労働、同一条件言うんだったらね正社員をなくしましょうって、あなた言わなきゃいけない・・・(みんながしゃべりだして聞き取れない)・・・全員を正社員にしようとしたからたいへんなことになったんですよ。
田原 竹中さんが言った4条件ってこれですよ(フリップが出される)、えー、正規社員を解雇するときの4条件っていうのは、
(以下田原が4つを読み上げる)
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(正規社員)整理解雇の4要件
1 人員削減の必要性
2 解雇回避の努力(非正規雇用の削減、新卒採用の停止など)
3 人選の合理性
4 解雇手続きの妥当性
「4つの要件を満たしていない場合、その整理解雇は無効とする」
1979年10月29日
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竹中 そうですね、それがね、実はですね、それが判例なので非常に不明確だというところに問題があるんです。だから大企業のようにですね、訴訟リスク、これやると訴訟されると思われるところはなかなか解雇できない。(田原:それやると敗ける?)そうです。一方でですね、うちなんか訴訟されるわけがないと思っている中小企業は正社員といえども平気で解雇してるんですよ今。だからそのルールを(周りがしゃべりだして最後まで聞き取れない)
森永 竹中さんの言ってる事実認識がすごく違うのは、実はOECDが雇用者保護の厳格性っていうのを綿密に調査して比較してるんですよ。さっき竹中さんがオランダモデルにしろって言ったんですけど、正社員の雇用保護の厳格性は日本よりもオランダの方が圧倒的に高いんです。(女性パネリストの声:そうですね)つまり、ものすっごく厳しいんですよ。地方労働委員会の許可が必要なんです。解雇には。もうほとんど認められないので。
竹中 それは、だからね、日本の場合ね、中小企業がそれが適用されてないからなんですよ。だからOECDの調査で(?)調査からそういう結果になるわけでね、だから、その、厳しいルールも必要なんです、ただ重要なのは、今は、ルールが明確ではないということが重要なんです。(男性パネリストの声:そうだ、その通り)それを明確化しようというふうに言ったらね、実は解雇の自由化とか、そういう議論に歪められるんです。
辻元 竹中さんね、同一労働、同一価値にしてもですね、これをあてはめようってことなんです。これが今あてはめられてないからね、派遣の人たちも含めて、むちゃくちゃな雇われ方してるから、だから、これを、要するに正社員に、こちらに合わせようってことなんです、今はね。そういうことだから、さっきのね・・・
竹中 ・・・(聞き取れない)低いでしょ、同一条件にしたらこうなりますよ、こうなるから正社員は給料下がるんですよ。
辻元 ところが、ところが、さっきのEU指令なんかで出されてるね、労働者に対する保護っていうのはほんと厳しいわけですよ、(遮られる)
萩原 だからさっき(誰?)さんが言った、ほんとに最低限のところをちゃんと整備することの方が大切なんです。
田原 どういうこと、ちょっと、
萩原 だから彼が言ったのは、最低限の条件を(竹中:セイフティーネットですよね)、セイフティーネットをちゃんと完備して、派遣でもこんなひどい扱われ方はしないよとかね、それから・・・
竹中 派遣「でも」とかね、そういう言い方・・・
山本 さっきの竹中先生の言った話は、私覚えてるところだと労働政策研究機構の調査ですよね、で、やっぱりその派遣っていうものを悪いって決めつけない、でほしい、で、やっぱ派遣のままでいたいっていう人の方が、もう一回言うけど、そのアンケートではやっぱり派遣を続けたいっていう人の方が多かったのは事実なんです。それからさっき言ったね、その田原さんの言った実態?その例えば、あー、3年いればそのまま正社員になるってことなかなか起きてない、そういう中で、まあ我々改正法案を出すわけだけど、その中では、さっき言ったようなその許可制もそうなんですけども、やっぽりそこになんていうんでしょうか、派遣会社がきちっとね、そのなんか直接雇用の依頼をやるとか、そういうこともそのきちっとこの法案の中で加えてますから
萩原 依頼ですよね、
山本 依頼ですけど、
萩原 義務じゃないですよね、
山本 でもこれは義務としてやってもらうわけだから、ちゃんと(切れる)
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