このブログが広島への支那総領事館誘致についてしばらく話題にしていないから可能性が遠のいていると考えるのは大きな間違いだ。いつ誘致が決定されてもおかしくない状態は続いている。というよりもむしろ、誘致の可能性は高まっていると断言できる。危険な状態に入っている。
しばらく日支関係は、支那側から関係を断つ、イベント中止を申し入れるなど、地方レベルでも関係が進展しようがないと見ていたので、国政のことを書いていたまでである。ここへ来て、支那の方針転換が明瞭になってきている。
一言で言えば、安倍政権とは対立したままだが、民間と地方を抱え込んで外堀から埋めていこうということである。今までのように使えるパイプを次々に切ってしまっては、日本侵略が遅くなるということに本気で目を向けたのである。
これはぼくの自身の観察であって、どこかの識者が言っていることではないということは、予め断っておく。
昨年、2013年 11月26日から28日まで程永華駐日大使が、明確な目的を持って、劉毅仁駐大阪総領事を伴い、広島、岡山を訪れ、広島県知事と会見している。
程永華大使、劉毅仁駐大阪総領事、湯崎知事の三者を含む会談は、昼食を挟み、かなりの長時間に及んでいる可能性がある。
程永華駐日大使,広島,岡山両県を訪問し,講演
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11月26日から28日まで程永華大使と汪婉夫人は広島、岡山両県を訪問し、広島大学と岡山県各界主催レセプションでそれぞれ講演し、広島県の湯崎英彦知事、岡山県の伊原木隆太知事と会見し、また地方各界と幅広く接触した。劉毅仁駐大阪総領事が随行した。・・・アジアの協力の観点から中日関係の重要性を強調し、両国が地域協力を続け、推進するよう呼びかけた。広島大学の浅原利正学長はじめ教師・学生150人余りが講演会に出席した。講演の後、大使は同大学の中国人留学生代表と親しく会見した。
岡山県各界主催のレセプション・・・岡山市の大森雅夫市長、岡山大学の森田潔学長、岡山県の華僑華人総会、日中友好協会および各界の人々140人余りがレセプションに出席した。
程大使は湯崎広島県知事、伊原木岡山県知事と会見した際、両県が長年、中国との友好都市交流を続けていることを称賛し、両県がそれぞれの発展の優位性と一段と結びつけ、対中協力に力を入れ、互恵ウィンウィンの促進を踏まえ、両国関係の改善と発展で積極的に役割を果たすことを希望した。
湯崎、伊原木両知事は次のように強調した。日本経済の発展は中国と密接不可分で、対中協力を積極的に推進したい。現在の中日関係の政治面の行き詰まりが憂慮される。地方として中国との交流を続け、拡大し、両国民の理解と信頼の増進のため努力する。
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さて、11月26日、程永華駐日大使の広島大学での講演内容を見てみよう。
中国の発展とアジアの未来 程永華駐日大使の広島大学における講演
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貴大学は世界66カ国・地域の1千人近い留学生を受け入れ・・・ています。この1千人のうち、約半数は中国からの学生・・・この機会を借りて、広島大学による中国人留学生の教育とお世話に謝意を表したいと思います。
・・・広島は日本の対外往来の重要な港で、中国はじめアジア各国との頻繁な貿易取引が行われています。広島の地に立てば、アジアが中日共同発展のための空間であり、アジアの未来が中日の将来と運命にかかわることが切実に感じられます。
一頃から、中日関係が重大な困難に陥り、両国の交流と協力を妨げ、そのため地方間の協力も一定の影響を受けています。私たちはこのようなことを望んではいません。当面大事なのは、双方が対話と協議を通して釣魚島などの問題の適切な処理策をみつけ、中日関係を正常な軌道に戻すことです。同時に、私たちは各分野の交流と協力を維持し、両国関係改善の条件を整えたいと考えています。
ここにおられる学生の皆さんがもっとアジアに関心を寄せ、中日関係に関心を寄せて、中日間の相互信頼と友誼のため、アジアの連帯と繁栄のために積極的な役割を果たされるよう心から希望する・・・
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広大側の扱い(おまけ)
自分の側から一方的に関係を切っておいて「地方間の協力も一定の影響を受けています。私たちはこのようなことを望んではいません」もないものだが、支那から日本の地方に働きかけて、やりたいことが出てきていることを示している。
「中日関係を正常な軌道に戻す」は、最近、支那要人、機関誌が使う共通の言い回し。
cf.「われわれは広範な日本国民と一緒に、両国関係の基礎を守り、日本の一部勢力の時代逆行に共同で反対し、共同で中日関係を再び正常な発展の軌道に戻す」
ただし、この講演はついでに行なわれただけで、ほんとの用事は、こっち。
知事スケジュール(11月25日~12月1日)
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平成25年11月27日(水曜日)10時00分
中華人民共和国駐日本国特命全権大使 程永華ほか
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「ほか」というのは、上に記したように、劉毅仁駐大阪総領事を指している。これまでも大阪総領事が単独で表敬することはあった。
cf.劉毅仁総領事 広島県知事,県議会議長,広島市長,市議会議長を表敬訪問(2012)
今回は支那の大使が、管轄の総領事を連れて、広島県知事湯崎英彦(広島県日中友好協会顧問)との会談を設定した。同日の次の予定は9時間後にセットされ、十分な時間が割かれている。
翌日、会談の結果を持って岡山県知事と岡山県議会議長を表敬する。
中華人民共和国駐日大使が知事・議長を表敬訪問
これらの会談は、三週間後の12/20に岸田文雄外相(広島県日中友好協会会長)ー程永華会談が組まれたことと無関係ではないと考えられる。この外相との会談も、程永華の要請で行なわれ、支那側に好意的に受け止められていることに注目だ。
直後に首相の靖国参拝があり、せっかくの外相会談が台無しになったと、口惜しそうに(あるいは、口惜しそうなふり、を)している。安倍首相と岸田外相との離間を計ろうとする狙いも感じられる。
程永華大使の「中国大使館・日中友好団体2014年新春会」でのあいさつ全文(2014年2月13日)2014/02/16掲載
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昨年末、日本の指導者が靖国神社に参拝し、中日関係に新たな重大な政治的障害をもたらし、同時に中日間のもとより極めて弱い相互信頼も完全に損ない、中国との対話、交流の基盤を壊してしまいました。
実際のところ、双方各界の苦しい努力で、昨年秋以降には、両国関係に実質的改善はみられないものの、各分野の実務交流に苦境の中で徐々に回復する兆しが現れていました。中国も新たな1年に中日関係をどのように改善するか考えていました。
12月20日、私は岸田外相と会って新たな年の両国関係を検討しました。中国中央テレビ局はこれを直ぐに放送しました。しかし数日後、日本の指導者が靖国神社を参拝し、中国との対話のドアを自ら閉ざし、みなさんの努力と希望は水の泡となりました。(以下略)
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人民日報 2013年12月22日14:50
中日関係の改善はどれほど先か
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中国側の要請で、中国の程永華駐日大使と日本の岸田外相が20日夕方会談した。会談後、双方はインタビューで「双方は対話を通じて問題を解決すべきであることを確認した」「戦略的互恵関係を正常な軌道に戻すべく努力する」「大変友好的な雰囲気だった」「積極的に対話すべきという点で認識が一致した」など、久しく耳にしなかった言葉をそれぞれ口にした。中日関係に改善の兆しが生じたように見える。
(以下略)
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この会談について日本側のコメントは外務省のホームページで3行だけ。記者会見での言及もなし。
程永華駐日中国大使による岸田外務大臣表敬 平成25年12月20日
日経 外相と駐日中国大使「対話通じて問題を解決」と確認 2013/12/20 19:18
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岸田外相の就任後、程氏と正式に会談するのは初めて。・・・
外務省によると、日中双方は臨時国会閉幕後の時期を狙って会談を調整した
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レコードチャイナ 岸田外相が中国大使と会談、対話で関係改善へ=戦略的互恵関係の発展で一致―日本 2013年12月21日 14時24分
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・・・会談の具体的内容については両者いずれも明らかにしなかった。
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(続く)