今日の産経の記事
萌えキャラ自衛官 三人娘が大人気! 志願者も2割増えた
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自衛隊の萌えポスターといば、これまでも話題になったことがある。が、今回はプロの絵師、島田フミカネが描いている。
“ズボン”一丁で世界の空を駆け巡って一世を風靡したストパン(ストライクウィッチーズ、以下SW)、戦車道で一躍、大洗に富と名声をもたらしたガルパン(ガールズ&パンツァー)、いずれも島田の仕事だ。アヤパン、ショーパンよりよほど萌える。以前から日本海軍や、陸自を描いてきた。
もともと萌えと自衛隊の相性はとてもいい。
見たところ、最近のアニメのトレンドは、魔法少女、神社、自衛隊(もしくは旧軍)だが、中でも自衛隊ものは人気投票で必ず上位に食い込んでくる。
前期(2013年秋期;10-12月)も、潜水艦イ401を題材にした『蒼き鋼のアルペジオ』がネット上でランクインしている。
ファンの間では次のようなMADまで作ってしまう人も。
エイラーニャが歌う、『OVER SKY』
1番では主力戦闘機F15Jに始まってファントム(F4EJ改)、F2が、2番では戦闘機以外の偵察機、哨戒機、輸送機、練習機、ブルーインパルスなどの固定翼、回転翼が所属基地とともに紹介され、まさに神懸っているとしか言いようがない、公式と見紛う出来。
自衛隊の方でもよく応えている。
痛ヘリ 陸自木更津駐屯地第4対戦車ヘリコプター隊
木更津あかね
木更津わかな
これも木更津 木更津は偉い。
海猿も負けてはいない
ゼロゼロ(AKB0048)
さて、ここからが本題だ。
「萌え」というと顔をしかめる人がいるが、その人は日本がわかっていない。理解してもっと素直になることだ。
動画を見て国防を危惧した方もあろうかと思うが、これらは極めて日本的な現象と言うべきものであって、心配するにはあたらない。なぜなら日本人には、古来、外国人にはない遺伝子、萌遺伝子が備わっていて、その発露としてこういう行動が自然にできるのである。
(゜Д゜) ハア??
解説しよう。
日本では武士道を遡る平安時代、西暦1000年頃にはすでに、世界最古の長編萌え小説『源氏物語』が成立していた。『源氏物語』五十四帖の第五帖、『若紫』。日本人ならみんな中学時代に学んでいる。当時、光源氏18歳。少女(後の紫の上)、およそ10歳。これを読めばわかる。
与謝野晶子の翻訳で。
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・・・その中に十歳ぐらいに見えて、白の上に淡黄の柔らかい着物を重ねて向こうから走って来た子は、さっきから何人も見た子供とはいっしょに言うことのできない麗質を備えていた。将来はどんな美しい人になるだろうと思われるところがあって、肩の垂れ髪の裾が扇をひろげたようにたくさんでゆらゆらとしていた。顔は泣いたあとのようで、手でこすって赤くなっている。
・・・
また、「ここへ」と言うと美しい子は下へすわった。顔つきが非常にかわいくて、眉のほのかに伸びたところ、子供らしく自然に髪が横撫でになっている額にも髪の性質にも、すぐれた美がひそんでいると見えた。大人になった時を想像してすばらしい佳人の姿も源氏の君は目に描いてみた。なぜこんなに自分の目がこの子に引き寄せられるのか、それは恋しい藤壺の宮によく似ているからであると気がついた刹那にも、その人への思慕の涙が熱く頬を伝わった。尼君は女の子の髪をなでながら、
「梳かせるのもうるさがるけれどよい髪だね。あなたがこんなふうにあまり子供らしいことで私は心配している。あなたの年になればもうこんなふうでない人もあるのに、亡くなったお姫さんは十二でお父様に別れたのだけれど、もうその時には悲しみも何もよくわかる人になっていましたよ。私が死んでしまったあとであなたはどうなるのだろう」
あまりに泣くので隙見をしている源氏までも悲しくなった。子供心にもさすがにじっとしばらく尼君の顔をながめ入って、それからうつむいた。その時に額からこぼれかかった髪がつやつやと美しく見えた。
(以下略)
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萌えている。明らかに18歳の光源氏が10歳の若紫に萌えている。そして、やがてこの幼女を妻にしてしまうのだ。(まるで現代のアニメのシナリオを読むようだ)
「なまめかし」という古語がある。源氏物語の中でも使われている。現在の「なまめかしい」の意味はなく、若い女性に対して使う言葉で「みずみずしい」「かわいい」などと訳されてきたが、これこそ「萌え(だ)」と訳す方がしっくりくる。つまり「萌え」は武士道より前からこの国の文化の底流をなす、重要な伏線として存在していたのである。
今、源氏で食ってる研究者が世界中にあふれるほどいる。表向き肩書きは大学”教員”だが、なんのことはない、ようはオタのことだ。日本の「萌え」がわかるということは、それだけで飯が食えるし、教養人として扱われる、これが世界標準だ。
日本では作る側も、鑑賞する側も「萌えの目」を持っているから、大量の萌えアニメが溢れてしまう。が、これは当然の成り行きなのであって、誉められこそすれ、蔑まれるようなものでは決してない。自衛隊や海保が萌えてもまったく問題ない。
現在、どのくらいのアニメが作られているだろうか。春、夏、秋、冬、1年間に4クール。1クール12話(週)構成で、各期少なく見積もって新作30本、2クールにまたがるシリーズを差し引いても、年間100本を下ることがないというほどの新作が次々に放映されている。
もちろん、すべてが萌えアニメではないし、質もピンキリだが、この中から、『ゲド戦記』『ナルニア国物語』『指輪物語』に匹敵する、時に凌駕する名作がぽんぽん出現するところが日本アニメのcoolたる所以である。
こんな芸当をなし得る国は日本をおいて他になく、外国から見ると、真似しようにもとてつもなくすごすぎて、フランス辺りで集会開くのがやっとなのだろうが、まあ、当然だ。日本は特別すごいのだ。
クールジャパンを、母国語で、つまり字幕や吹き替えを介さずに楽しむことができる日本人は世界でもっとも幸せな民族と言えるのだが、その自覚を持っている人がまだ少数なのは残念なことだ。
「萌え」とエロとを混同している人も多い。本来の「萌え」の感覚を呼び覚まし、研ぎすまし、萌えとエロとを鋭く峻別する力を持つこと、これが日本再生の鍵である。
最後になったが、「萌えとエロは違う」を証明してみせた奇跡の大作を紹介して終わることにする。
良い作品を見ることで、良心もセンスも磨かれるのだ。
『かみちゅ!』
英語圏における『かみちゅ!』の評価
彼らにはどう見えているか。
よく読んでみて欲しい。