■ 喜ばれる「接客力」の背景 その2 | 小早川護 公式ブログ(更新休止中)

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前回の続きです。


話を思いっきり戻して翌日の朝、熱は39度5分。

実家が近所なのが幸いして、車を運転できない妻の代わりに、母が車を出してくれました。

あっと言う間に病院についたのですが、寒気で震えが止まりません。


と言うのに、受付の看護師二名はのらり、くらり。

初診だって最初から言ってるし、保険証も出しているのに

「問診票を書いてくれ」と言いだすまで約2分。

もう、その時点で半ギレだったんですが…(普段は有り得無いんですけど、この場合は体調が体調だけにね)


とりあえず問診票を書いている最中に、ようやく先生のご出勤。

まあ確かに、9時診療開始で私が到着したのは8時50分。

問診票を書き終ったのが8時55分。

そして…さすが市立病院!ブラボー!

しっかり5分、待たされました。

こっちは猛烈な悪寒で全身が震えまくっているにも関わらず、

受付は全くこちらの様子に気付いていません。

私が家族の立場だったら、絶対胸ぐら掴んでるところです。


9時ピッタリになってようやく呼び出し。

私にとっては20分ぐらいに感じた5分間でした。

で、診察。


あっさり、3分少々で終りました。


「周りへの感染の心配はいらないですよ。あなたが苦しいだけです。

ま、明日主治医の先生に見て貰って下さい。」


それだけかいっ!と思いつつも、一応ドクターに診て貰えたのでとても安心しました。

まあ、流れがしっかり出来ているドクターだけに、手際が良いですよね。

専門外の診察なので誤診があろうが、それは気になりません。

とにかく、その安心感があるだけでも大きいのです。


で、そこから薬をもらうまでが、また地獄です。。。

中でニコニコしている二人の看護師。

お互いの顔を見ながら色々と話し合っています。

こっちは死ぬ思いをしているにも関わらず、

「ブランケットでも出しましょうか?」とかそういう気遣いは全く無し。


2分ほどして診断書・薬の処方が出来上がったのでしょう、二人は受付で動き始めます。

何かを見ながら薬を取り出しては

「これかな~?ん?違うかな?」

みたいな雰囲気。

そこでも二人の笑顔は絶えません。


結局ようやく呼び出して貰えたのは、9時40分過ぎ。

つまり、診断が終ってから30分以上もかかって、

診療料金・薬の選別、薬代の請求書を書き上げたわけです。

なんと素晴らしく遅い仕事か。

真珠湾攻撃が結果的に「騙し討ち」になってしまった原因を作った、

当時の野村駐米大使のように遅く、つつましやかな仕事です。

まあ、つまり無能なんです。

まあ、看護師だと思っていた彼らが薬を選んでいる時点で、

彼らのどちらかが薬剤師だったわけですが、

薬の知識が無いんですね。要は。


確かに薬は、少し処方を間違えれば確実に人を死に至らしめることが出来る、

素人が取り扱うには危険極まりない代物です。

だからこそ薬剤師と言う資格がこの世には存在しているのに、

そんな薬剤師ともあろう者が、ろくすっぽ薬を選べていないんです。


文句を言う元気すらない私は、待合でただ震え続けるしかありませんでした。

30分の時間は、3時間にも4時間にも感じられたのですが、まぁとにかく薬をようやくもらう事が出来ました。

あれだけ時間を掛けたのだから、5~6種類色々飲まされるのかな、と思って説明を聞いてみると


「緊急時用熱冷ましの座薬」 2錠

「風邪薬としてよく処方される消炎鎮痛剤」 3錠

「抗生物質」 2錠


この三種類だけ。

つまり、1種類選ぶのに平均10分かけていたわけですよ。。。




みなさんも心当たりありませんか?

あまり詳しくない商品のことを訪ねられてしまったときの事。

そんな時、どうしていますか?

ほとんどの人が、次の8パターンのいずれかに分かれると思います。


① 何となく、知ったかぶりで答える

② 調べてくる、と言いしっかり調べて答える

③ 調べてくる、と言いしっかり調べている最中にお客さんの姿が消えている

④ 担当者を呼んできて、任せっきりにして自分はどこかへ行く

⑤ 担当者を呼んできて、とりあえずその場を任せて後で教えてもらう

⑥ 担当者を呼んできて、横で一緒に聞く

⑦ 担当者を呼んできて、横で一緒に聞いて、後で詳しく教えてもらう

⑧ わかりません、とキッパリ言ってしまう


どれが最も正解に近いのかは、責任感のある接客者さんならおわかりですよね。

もちろん、⑦番です。

②を選んだ方も沢山いらっしゃると思いますが、

薬剤師が3種類の薬を選ぶのに30分かけた事を思い出して下さい。

今それを必要としている人にとって、あなたが調べてくる時間はとても惜しいのです。




この話には、もう一つポイントがあります。

それは、潜在ニーズの基礎を把握出来るか、把握出来ないかです。

私は何よりも熱を下げたい、と言う顕在ニーズ、つまり明らかに表に出ているニーズを持って来院しました。

でも、潜在ニーズとしては、そもそもこの発熱の根源となっているものを退治したい、と言うものを持っています。

熱がある程度落ち着けば、当然そのニーズは顕在化します。


薬剤師が瞬時に私の潜在ニーズを判断出来ていれば、

確実に選ぶ薬は、

「抗生物質」

に違い有りません。


なぜなら、抗生物質ほど他の薬との飲み合わせを気にしなくてはいけない薬剤は考えられないからです。

まあ、もちろん私は薬の専門家ではないので、一般論として、ですが。


そんな一般論で考えると、即座に抗生物質をどれにするか定め、

それを軸にして飲み合わせても良い消炎鎮痛剤や座薬を決めることでしょう。

そうすれば、30分も掛ける必要はそもそもなかったハズなのです。




接客サービスでも同じ事。

お客さんに商品のことを詳しく尋ねられた時にその商品のことがしっかり把握出来ていて、

お客さんからのヒアリングが出来ていれば、

「何をどの順番で答えるべきなのか」

がすぐに判断できます。


ヒアリングを怠る接客者は、何をどの順番で答えて良いのかわかりませんし、

お客さんがそもそも求めていない情報までいつまでも喋り続けてしまいます。


必要なのはそうではなくて、お客さんが

「顕在的に求めている情報」と

「潜在的に求めている情報」

この二つを把握し、それに対する回答を出すことです。


商品の専門的な知識が欠けている人は、大体これに答えることが出来ません。

私はコーヒー好きなのですが、コーヒー専門店と銘打った店で、しばしば失望させられます。

店員の誰もがコーヒーの専門知識を全く持ち合わせていないからです。

本気でコーヒーが好きな人からすると、この世のコーヒー専門店の大半は「専門店」ではありません。

ただの「専売店」です。

だって、誰も答えられないんですから。


家電製品のお店なんかでもそうです。

最近PCのパーツをばら売りしているお店がちょくちょく出始めましたが、

店員の質が低すぎて笑いが出てしまいます。

ハードディスクのプラッタ容量や、静音性など

PCをパーツから組み立てる人なら誰でも把握したがる情報すら把握出来ていない担当者。

こんなのは専売店以下ですね。




お客さんから拾う情報は山ほどありますが、それらの中でも

「最も今必要とされている」

顕在ニーズを把握するには、ヒアリング力が必要になります。


そして、お客さんが

「将来もしくは今、確実に必要としている、でもお客さんはその必要性に気付いていない情報」

つまり潜在ニーズを把握するには、商品とその周辺知識が必要になります。


飲食店だろうがアパレル販売だろうが家電量販だろうが、業種は関係ありません。

これは「接客職」と言う、一般職種としての問題です。




私がこの病院を選んだのは、そもそも「診察の流れ」が掴めていない研修医を嫌ったから。

私が診察を受けるまでに無駄に時間を過ごしたのは、看護師の気が利かないから。

私が30分も待ちぼうけを食らったのには、直接的には薬剤師の専門・周辺知識不足がその原因です。


専門・周辺知識の不足がこのブログをお読みの皆さんに、

医療の世界ほどの強烈な責任を負わせる事は、まず無いだろうとは思います。

でも、責任があるかどうかは別として、優れた接客をしたいのであれば

まず専門・周辺知識をしっかりと蓄えておかなくてはいけません。


みなさんは、ちゃんと自分の取扱商品について、

専門知識と周辺知識、蓄えていますか?