組織変革成功講座 -2ページ目

2025年6月3日、
ミスターこと長嶋茂雄さんが逝去されました。
享年89歳。

テレビでも連続、長嶋茂雄さんの特集番組が組みまれ、
現役のころの華やかな映像劇や興味深いエピソード、
監督時代のインタビュー映像などがプレゼンテーションされています。

たった万人から愛された稀代の方だったのだと
と思われます。

まさにスーパースターです。

 

 

ただ、残念ながら、
私自身は、長嶋茂雄さんの現役のころの
記憶はほぼありません。

引退されたのが、私が小学3年生の時で、
中日が20年ぶりに優勝をし、
巨人のV10を阻止した年です。


ちょうどこの年から野球に興味を持ったのですが、
記憶にあるといえば、
中日が優勝した後のダブルヘッダーでの
引退試合での姿くらい。


その記憶もかなり懐かしい・・・


で、テレビの特番を見ていて、
考えたのですが、

『長嶋茂雄さんは、とにかく
人の期待に応え、人を喜ばせる
ということに徹した方だったなぁ』

ということ。


その『人の期待に応えたい、喜ばせたい』という
想いの背景には、
長嶋茂雄さんにとっての『プロとは何か?』
という哲学があったのだと感じます。


長嶋茂雄さんにとってのプロとは、
『お客さんの期待に応え、喜ばせる人』
という哲学があったと思います。

テレビでの発言をそのまま引用させていただくと、

長嶋茂雄さん:
「やっぱり野球に対するものはね、
「ファンがあっての野球」である」

長嶋茂雄さんの著作『野球は人生の醍醐味』
にも記されています。


『プロとは表現力、観客に感動を与えられる、
それがプロたものの使命であり、姿勢である』


巨人のV9を共に支えた柴田勲氏も
テレビでこう言ってました。

『まずは観客席を見てますね。
「今日はお客さん入っているな。
よしぞ」というんです。

常に嶋長茂雄という人間を
どうやってお客さんに見てもらおうか
を考えましたね。
だから、人一倍体調とかには気を付けていた』


長嶋茂雄さんの場合、
お客さんの期待に応えるだけではなく、
その期待をはるかに上回るパフォーマンスを
提供していました。


お客さんの期待に応えられればご不満、
お客さんの期待に応えるだけで満足、
お客さんの期待を超えると感動


長嶋茂雄さんはいつもお客さんの
期待を超えたプレイを見せて、
感動をファンに与えていただければ幸いです。


ファンがここで打ってほしいと思うとき、
ちゃんと勝負。

天覧試合でのサヨナラホームランなんて
最後の物ではございません。


ただ結果を出すことだけではなく、
ファンの期待を超えることを常に
考えていたのだと思います。


例、有名なエピソードですね
空振りしたときのヘルメット飛ばし。


かなり大きめのヘルメットをかぶります
フルスイングした時に脱げやすくしていた
というのは有名な話です。


『僕はヘルメットの飛ばし方まで研究しましたよ。
三振はバッターのために
一番ひどいひどいシーンでしょ。

それでも、三振しても何か光るものを
お客さんにあげにゃならんと思ってました。
グラウンドに出ている2時間半3時間は、
お金をとって見せる自己表現ですよ』

『伝説の長茂雄語。』(小林信也・編/勝負嶋・刊)



そして、やはり期待を超えた感動を考えるために
ものすごい努力をされていたと思います。


しかし、その努力をお客様に見せないのもプロである
という哲学も持っていたのだと思います。


長嶋茂雄さんの考察

『努力は人に見せなくて良かった。
グランドで姿を見てもらえればいいので
努力は隠れてるものだ。
野球選手は努力をファンに見てもらうために
野球をやっているんじゃない』

 

 

そしてまたプロビジョンを実現するだけでなく
「仕事を楽しくやる」。

長嶋茂雄さんの場合、
これはなんか意識をしていなくても
できてんじゃないかという気もします。

いえ、長嶋茂雄さんだって大変な時も
あっただろう。

それでも、大変な時、辛い時
辛そうな顔をするのなら誰でもできます。


大変な時、辛い時
辛そうな表情を見せるのではなく笑顔を見せる、
なかなかできることはないですよね。


私個人的には、これこそが人間力だと思っています。


辛い時に辛そうな顔をする、
勝利しないことがあったら不機嫌な顔をする、
腹立ったようなことがあったら怒りの表情をする、
これは誰にでもできることですね。


この万人に愛された長嶋茂雄さんの思考と考え方、
学ぶべきことは多い気がします。


以下の問いに私の答えを
出して続けていきたいと思います。

『自分自身にとってプロとは・・・』

『プロとして、最も喜ばせたい人/人たちは誰なのか? 』

『その人/人たちは、自分のこの仕事に
どうなることを期待してくれますか?』

『その期待に応えるためにはどうしたらいいですか?』

『その人/人たちに、純粋満足ではなく、
感動を考えてどうしたらいいですか?』

『 (長嶋茂雄さんのヘルメット飛ばしのように)
仕事上の質で喜ばせるのではなく、
そのほかの付随的なことで
嬉しいことができるか? 』

『辛い時に辛い表情をしない』
仕事を楽しくやっている印象を
考えにはどうしたらいいですか?』


追伸
翻訳して、我が中日ドラゴンの選手たち・・・
ファンの期待に全く応えられません。

打ってほしいところでことごとく打たない。
期待に応えない。

耐えられなくても、
全く意図に介する感じはありません。

ファンの期待に応えられない自分たちを
受ける事も無い。

選手だけでなく親会社も
「プロとは?」を問い直してもらいたい。

これだけで軽くてファンの期待に10年以上も
背き続けているのに何も手を打つ気もなし。

長嶋イズムを少しでも見て習ってほしいものです。

昨日(5月29日)、今日と
中小企業大学校瀬戸校主催の
『ファシリテーション講座」の講師を
させていただいております。

ファシリテーションは狭い意味でいえば、
会議とか打ち合わせ、ミーティング。

それをうまく進められるための
考え方やスキルを身につけよう、
という内容です。

例えばですが、もしあなたが参加されている
何かの会議で、以下のテーマが挙げられたとしましょう。

「若手の離職率が高まっている。
どうしたら若手の離職を防げるか?」



あなたなら
どんな発言をされると思いますか?

発言のタイミングとしては、
会議がスタートしてすぐぐらいの
イメージです。

もしも、会議がスタートしてすぐに

「若手社員の離職を防ぎ、定着されるには、
先輩社員や上司とのコミュニケーション量を増やし、
若手社員の孤独感を解消しなければいけないと思います」

とか

「そもそも採用段階で、
うちの状況ももっと詳細に伝えて、
入ってからのがっかり感をなくす必要が
あるのではないでしょうか?」

と「対策系」の発言をしているとしたら
会議としては、あまりいい成果が
出せないのではないかと思います。

なぜなら、この発言は、
人としての心理というか本能のままに
発言をしていることになるからです。




会議に限らず、問題解決、組織運営、
マネジメントは、
人の心理というか根源的欲求というか、
本能的なものに従っているとうまくいかない、
逆に、こうした人の心理・本能に反することを
行うとうまくいく。

これ、私の持論。

では、対策を考える前に
すべきことは何か?

それをお伝えする前に、
心理・本能に従っているとうまくいかない、
心理・本能の逆をやるとうまくいく、
という事例をいくつか紹介させてください。

例えば、人の心理、本能でいえば、
人の話を聞くよりも、自分のことを伝えたい、
という欲求があるでしょう。

しかし、人の話を聞かないより
仕事においては人の話を聞いた方が
人間関係もよくなるし、
仕事も効率化されて
うまくいきやすいでしょう。

上司が部下の話を聞きなさいと、
管理者教育か何かで言われたとしても、
なかなか部下の話を
しっかり聞けるようにならないのは、
本能に従っているからだと思います。

他にも、人間の心理・本能としては、
何かを変えるということは、
あまり好きではありません。
人間は基本、変化を好まないものです。

でも、やっぱり変化をしていかないと、
組織も人もいずれは衰退していってしまう。

変化したくないという本能に抗って
チャレンジして、変化させられてこそ
うまくいくと思うのです。

他にも、人間の本能で言ったら
足りていないところばかりが気になる、
というのもあります。

自分自身に対しても、
ひょっとすると身近な人に対しても
できていないところが気になる。

組織においても
うまくいっていないことばかりが気になる。

でも、このできていないところが
気になるという本能に抗って、
うまくいっているところ、
できていることに意識を向けることで、
うまくいくことは多いでしょう。

また、人間一旦手にしたものを
手放すことってなかなか難しいことです。
でも、それに抗い捨てるべきものを
捨てられた方がうまくいく。

仕事における課題にしても、
あれもこれも取り組みたいという本能に抗い、
重点指向で課題を絞るほうがうまくいく。

と長々と本能に抗うとうまくいく事例を
ご紹介しました。

いろいろと人間の本能に反することを
行うとうまくいくことが多いのです。

会議の話に戻りましょう。

「どうしたらいいか」と対策を
考える前に考えるべきことは何か?




「なぜ、若手社員の離職が多いのか?」
と「原因系」を考えるのではありません。

 これもある意味、本能に従ってます。

ではなく、「どこ」を考えると
うまくいきやすくなります。

例えば・・・

「職種別でいったら、
特にどの職種の離職者が多いのか?」

「時期でいったら
特にどの時期の離職者数が多いのか?」

「地域でいったら
特にどの地域の離職者が多いのか?」

「性別でいったら男性、女性どちらの
離職者が多いのか?」
 

等々・・・

「どこ」を考え、絞ってから、
その絞った部分について
「なぜ」、「どうしたら」を
考えていく。

こうした方がより具体的な「なぜ」が
考えられるようになり、
より具体的な「どうしたら」が
考えられるようになっていけるのです。

ぜひ、本能のままに生きるのではなく、
本能に抗ってみることを意識してみましょう。
私も意識だけはしています。

とはいえ、
本能に抗わなければならないからこそ、
仕事、いえ人生というのは、
難しいのでしょうけど・・・

この時期、多くの企業での

決算発表が行われています。

 

国内自動車メーカー3社で言う

以下のような数値が発表されています。

 

トヨタ自動車

売上高 48兆367億円

営業4利益兆7,955億円、

純利益4兆7,650億円

 

日産自動車

売上高:12兆6,332億円

営業6利益98億円

純損失▲6,709億円(損失)

 

本田技研工業

売上収益:21兆6,887億円

営業利益 1兆2,134億円

純利益8,358億円

 

やっぱりトヨタは強い・・・。

 

 

トヨタの営業利益は、
2024年3月期が5兆3,529億円でしたので
覚悟しますが、
それにしてもすごい数字ですよね。

同じ自動車メーカーとして
どうしてもこんなに差が開くのか・・・。

現在の経営陣がどう判断してきたのか、
その積み重ねの結果が
大きな貢献だと思います。


例、14年前の2011年6月、
日産自動車は、当時のゴーン社長のもと、
6年の経営計画「パワー88」をまとめました。

ブラジルやアメリカ、中国市場を攻略し、
世界シェアの8%を目指す拡大路線。

ひとつそのころ(2014年)のトヨタは、
どうだったというと、
今回の豊田章男社長が打ち出したのが、
「今期は意志を持った踊り場だ」
という日産とは真逆の戦略。

新規の工場建設など生産能力の目安は
凍結すると宣言し、
その結果、リーマン・ショック時との比較、
2020年には、利益分岐点を6〜7割まで
下げるということです。
(参照:日本経済新聞電子版2025年5月15日の)

『日産とトヨタ、明暗分けた10年前の「ストップorゴー」』)

 

 

と、経営戦略面での差の結果は
大きいと思いますが、
今回は、経営戦略的な話ではなく、
簡単泥臭い話。


昨日(4月30日)、とある企業さんで
新入社員向けの研修をさせていただきました。

業種は、情報・通信業。
システム開発、システム運用などの
情報サービス事業を展開している企業さんです。

その新入社員向けの研修を通して、
トヨタ自動車がなぜ強いのか、
その理由が少し分かりました気がしたのです。
新入社員研修のつもりで、
ビジネスマナーとか報連相の仕方とか
というテーマではありません。

内容は「問題解決手法」。

ぜひ、トヨタ自動車が取り組んでいます
「8ステップによる問題解決手法」。

さて、この内容を新入社員に
学ばせたいかというと・・・

この企業さんがトヨタ自動車と取引があり、
かつトヨタ自動車に自社の社員を
エンジニアとして派遣しているからなのです。

会社の想いとしてはこうです。

『エンジニアの新入社員がトヨタ自動車に
派遣された際に、トヨタの社員が使っている
問題解決の手法が理解できないとか、
トヨタの社員が使っている言葉が分からない、
となったら辛い思いをさせてしまう。

では、新入社員もかわいそうだし、
会社としても信頼を損なうことはありません。
派遣する前にトヨタの共通の用語だけでも
ご理解させて頂きたい』。

まあ、学んだ問題解決手法を使いこなして、
業務効率を上げてほしい
とまでは考えていません。

「新入社員に問題手法解決を学ばせたい」という
お話をいただいた際には、
依頼を受けた企業さんに対して、
仕事をしたことのない新入社員では
イメージが湧かなさ過ぎて、
あまり効果がないのではないかと
お話をさせて頂きました。

が、まさに杞憂でした。

研修の途中で、内容を振り返りつつ、
講師の私の方から受講者に
質問させていただきますが、
正しく答えられました。

 

 

宇井:今までの内容をちょっと振り返るために
 皆さんに質問しますね。
 そもそも“問題とは”なんでしたっけ?
 Aさんいかがですか?」
 
受講者Aさん:
 問題とは、現状とあるべき姿のギャップです。

宇井:おぉ!素晴らしい!完璧です。
 では、次の問い。
 チームで問題解決を進める際は、
 問題を明確にする必要があるとお伝えしました。
 “問題を明確にするとは”
 どういうことでしたっけ?
 今度は、Bさんいかがですか?」

受講者B:現状とあるべき姿を事実である数値で表し、
 ギャップも数値で表すということです。
 
宇井:おぉ!これまた素晴らしい!
 完璧じゃないですかぁ!

 という感じで、私が講義中に伝えたことを
しっかりと答えてくれたのです。
 
会社としての「用語」を理解させたい
という想いにしっかりと応えてくれていました。
 

これが、実は、係長さんや課長さんを
対象にした問題解決研修で
同じように投げかけたとしても・・・
 
講義内で伝えたことを答えられるかといえば、
実は、そうじゃなかったりするケースが多いのです!


これは勝手な私の解釈ですが、
係長さん、課長さん、部長さんレベルになると、
どうしても自己流の仕事の進め方、
問題解決の進め方があるわけです。

その自己流があるばかりに
「問題とは」、
「問題を明確にするとはどういうことか」、
「目的と手段を共有して、問題を定義するとは」、
「現状把握と要因解析の違いは」と
いう仕事においてものすごく大事なことが
素直に頭に入ってこないんじゃないかと。

それに比べ新入社員は
仕事の進め方とか問題解決の仕方に関しては、
まっさらな状態なわけです。

だからこそ、素直に頭に入れていただけるのかなと
感じたわけです。

 
で、トヨタ自動車では、
この8ステップによる問題解決の考え方・手法を
徹底的に新入社員のころから叩き込まれるわけです。

その結果どうなるか?

社員全員が、会社として共通の
仕事の進め方・考え方を身につけるわけです。
仕事の進め方が自己流になる前に・・・。

みんなが同じ仕事の仕方ができるようになる。

これは仕事の効率の面で非常に大きな差が
生まれると思うのです。

例えば、
会議の場だとか、上司が部下に指示を出す場で
「問題を明確にしよう」といえば、
ちゃんと通じるわけですから。

「現状をちゃんとデータで把握しよう」
といえば通じるのです。

共通言語になっていなくて、
「えっ、問題を明確にするって、
どういうことですか?」

とか

「現状把握ってこういうことじゃないんですか?
じゃあ、現状把握って何をすることですか?」

なんていうムダはないわけです。


また、この問題解決手法が
ものすごくロジカルで納得感があるものなのです。


例えば、上司が部下に向かって、
「これは手段であって目的ではない」
といっても、問題解決手法が共有されていれば、
部下も「あぁ、確かに!」となるわけです。

「えっ、どういうことですか?」とはなりません。


ちなみに、私自身も
このトヨタの問題解決手法を学んでから、
仕事をすごく進めやすくなっています。

まとめると・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 

トヨタでは、仕事の進め方として
「問題解決の8ステップ」を
まっさらの状態の新入社員のときから叩き込む。

その結果、社内で共通の仕事の進め方、
共通言語によって仕事を進められるようになる。

仕事にムダがなくなり生産性を上げられる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


もし、トヨタの問題解決手法を社員さんに学んでもらい、
仕事の効率を上げて、仕事の成果を高めていきたい
という経営者の方がいらっしゃいましたら、
ぜひ、以下のお問い合わせフォームからご一報ください。

お問い合わせフォーム


一応、認定講師なんで、
トヨタの問題解決手法を
お伝えできる立場ではあります。

 
ただ、忘れないでください。
大事なのは、共通思考・共通言語にすること。


ですから、一部の社員さんだけに
問題解決手法を学ばせて、他は学ばせない
ということがあれば、
効果は思ったほどには出ないと思います。

4月ということで、
新入社員を受け入れている会社も多いでしょう。

今回は、新入社員の育成に関しての
お話をしたいと思います。

今回は、いつもに比べて少し短めです。

でも、どうしてもこの時期にしか

お伝え出来ないことなので、

書いておきたいんです。


タイトル
「新入社員を意にし続ける魔法の言葉」なんて
キャッチーな感じになっています。

が、新入社員が自発的に動いてくれて、
新入社員の成長を促進できる、
このような場合の仕方についての紹介です。


とりあえず結論から言います。

あなたが新入社員に
最初にお任せした仕事の報告を、
その新入社員がしてきたとき、
こう言ってあげて欲しいのですが、


『おぉ!いい感じでやってくれたね。
驚いたなぁ。
こっちが思ってた以上のデキだよ。
「いい新人が来てくれたなぁ」と。


人には多かれ少なかれ、
「他人が自分に対して持ったイメージを崩さない」
という心理があります。


もし、上記のようなことを
新入社員が言われたらどうなりますか?

先輩・上司が自分に対して
持ってくれた「できる社員」のイメージを
崩したくないとなるわけです。


そうなったら、次はその先輩や上司から
任された仕事に関しても、
しっかりとやります。


で、さらに「おぉ!素晴らしい!」と
言ってあげれば、
新入社員は、そのイメージをさらに
壊さないよう努力するのです。


「いやいや、わかったけど、
もしここが思っていた以下のデキだったら
そんなこと言えないじゃん」
と思われた方もいらっしゃるかもしれません。


その場合は、演技すればいいんです。


育てる側の演技力って
少なからず必要だと思いますが
どうでしょう?

それでも、どうしても演技ができない、
嘘はつけない、というのであれば、
期待値を下げておけばいいでしょう。

もしあれば、「こっちが期待していた以上」に
嘘はなくなりますから。


さて、これは私がサラリーマン時代に
実証済みのことなんです。


もちろん、そのときのこと以外でも
実感することは多いです。


かなり効果は高いと思っております。


余談ではありますが、
「人が持っていた自分のイメージを崩さない」
という人間心理はマイナスのイメージにも
同じことが言えるので気を付けなければいけません。

「仕事ができない奴」というイメージを
持たれたと思った新入社員は、
その通りの行動を取るようになります。


例えば、ある新入社員が
先輩社員Aさんからは
「良い評価をしてもらっている」と感じている、

先輩社員Bさんからは逆に
「あまり評価してもらっていない」と感じている、

こんな場合どうなるのかというと・・・


Aさんから任された仕事は、しっかりやるけど、
Bさんからの仕事は、若干手を抜いてしまう、
なんてことになったりするわけです。


であれば、任せた仕事を
しっかりやってもらうためにも
「期待以上のデキだよ!」
言ってもいいのではないかと思います。

その方が、いい人間関係も築けますし、
お互いに気持ちよく仕事ができると思うのですが、
いかがでしょう?


なにより、そうすれば、
新入社員から先輩や上司に対して
「素敵な先輩」「できる上司」とプラスの
イメージを持ってもらえます。

前回「部下の長所をどう解釈するか・・・
では、以下の内容をお伝えしました。


『人間関係の良さと企業業績には
プラスの相関がある。


であれば、社内の人間関係は良い方がいい。


では、どうすれば良い人間関係を作れるのか?


人は、自分が長所と自覚していることを
ポジティブに捉えて伝えてくれる人に対して、
悪い感情は湧かない。


なので、特に上司と部下の関係性でいうと、
部下が自分の長所と自覚しているところを見つけ、
それを上司がポジティブに
フィードバックしてあげるとよい』


こんな内容でした。


で、次に課題になるのは、
「どうしたら部下本人が自覚している
部下自身の長所を、
上司が把握することができるか」

なわけです。


くどいですが、あくまでも部下本人が
自分の長所として自覚していることです。


上司が勝手にこの部下、ここが長所だ、
と思うということではありません。


手っ取り早く
「〇〇さんは、自分の長所を
どんなことだと思ってる?」
と聞くのもありでしょう。


しかし、それだと部下からしたら、
「自分が上司に長所を伝えた途端、
急にその長所について褒め始めた」
となってしまう恐れがあります。


それでは、人間関係を良くするという
効果が薄らいでしまいますよね、きっと。



今回のブログでは、直接聞くのではなく、
「部下の長所を把握する方法」を
弊社のクライアント先さん2社の事例で
お伝えしたいと思います。


弊社のクライアント先企業さんで、
目標管理制度・人事考課制度における
「上司(課長)の部下に対する面談の進め方標準」
の作成をお手伝いさせていただいた先があります。


その「面談実施標準」の中の一つに、
上司が部下と評価面談を行う際には、
以下の質問を投げかけることを標準として
盛り込んであります。



「私(上司)からのプラスの評価以外で、
○○さん(部下)が自分として、この半年間で、
『もっとこんなことを評価してほしい』と
思うことがあるとしたら何かあるかな?」



実はかなりの手前味噌になりますが、
この質問を入れられたことは、
コンサルタントの立場として、
自画自賛しております。


なぜなら、この質問をして返ってきた答えの中に、
部下自身が「自分の長所」と自覚している部分が
見えてくる可能性が高いからです。

 

例えば、上記の質問に対して、
以下のような答えが部下から
返ってきたとしましょう。


「細かい話ですが、〇月の会議で、
話が複雑になって混迷したことがありました。
その際に、私がホワイトボードに
業務プロセスの全体像を描き、
どこの手順をまず解決すべきかを目で見て、
議論できるようにしたんです。


それがきっかけになって、
ちゃんと結論を出せたことがありました。
そんなことを評価してもらえると嬉しかったりします」


もし、こんな回答があれば、
きっとその部下は論理的に物事を考えること、
優先順位を付けて仕事に取り組むこと、
問題解決力が高いこと等を
自分の長所(強み)と自覚していると思われます。


また、以下のような回答であれば・・・


「先輩のAさんが残業が続いて大変なときに
私の方でお手伝いさせていただきました」


この部下は、
人への支援をいとわないことが
自分の長所(強み)と捉えている可能性があります。


「後輩が悩んでいるときに、
それなりに話を聞いてやって、
飲みにも連れて行ってやったり、
それで少しは気を楽にしてやれたかなぁと
思っているんですが」


であれば、後輩への面倒見の良さや
リーダーシップの高さを長所(強み)と
自覚している可能性は高いでしょう。


部下からの具体的な回答を抽象化して、
部下の長所として認識する。


これがポイントです。

 
こうして、まずは上司として、
部下が本人の長所と捉えていることを把握する。

 
そのうえで、その長所と捉えていることを
ちゃんとポジティブに解釈して、
フィードバックすることを意識する。

 
これによって上司と部下との
いい人間関係が作れていくと思います。

 
ただ、実際に課長から部下に、
「他に評価してもらいたいことは?」と
投げかけては頂きましたが、
部下の反応としては、
はっきりと「ここを評価してほしい」と言ってくる人は
いなかったようです。
 

でも、その課長さん曰く、
「この質問を投げかけ続ければ、
いずれはちゃんと自分が評価してほしいことを
準備して面談に臨んでくれるようになると思う」
とのことでした。


もう1社の事例をお伝えします。


そこの会社さんでは、
上司と部下との査定面談の前段階で、
部下自身が記入する「自己申告シート」という
制度があります。


実際にどのような内容が書かれるかというと・・・


例えば、
『客先の現場で、自分は営業ではなくメンテサービスを
行う身ではあるが、お客さまと世間話をしながら、
「何か困っていることありませんか?」と
営業的なことを行って、実際に見積依頼を
もらったことがある』


とか


『Excelのフォームを変更し、
自分なりに計算式を考えて、
それを追加しておいたおかげで、
事前にトラブルを防げたことがある」


とか・・・


これらも、抽象化すれば、
部下本人が自分の長所(強み)と
捉えていることが見えてきます。


一つ目の事例であれば、
「コミュニケーション力の高さ」
「お客さまとの人間関係構築力の高さ」
なんかを自分の長所(強み)と
捉えている可能性はあるでしょう。


2つ目の事例でいえば、
「自発的に行動できること」
「Excel能力の高さ」
を自分の長所と捉えていると思われます。


こんな感じで、部下本人が認めてもらいたいことを
自己申告シートや面談の場での質問を通して
上司が知れるような仕組みがあるといいです。


伝えられた上司は、その具体的な行動の内容から
その行動を促している能力や考え方に
抽象化して部下の長所を把握しておく。


で、その把握した部下の強みを
ポジティブに解釈してあげる。


これにより部下との人間関係を
より効率的かつ効果的に良くしていけます。


いかがでしょう?


追伸:
事例の1つ目で
ご紹介させていただきました企業さんでは、 
上司が部下と面談をするにあたっての
面談実施標準を策定しました。
(今年2月に完成)


面談の準備段階で何をどうしておくといいのか、
準備しておくべき情報はなにか
面談では、どんな質問を、どのようにしたらいいのか、


また面談の場だけではなく、
日頃のコミュニケーションをどのようにしたらいいか、
また、事実で部下を評価しフィードバックするためには
日頃どのようにする必要があるか、等、
一年間の時系列で
いつ、何を、どうしたらいいかを
標準としてまとめました。

 
プロジェクト的に課長さん方々に参加いただきながら、
かなり実態に沿った形で作り上げられたのではないかと
自負しております。

 
今後は、この標準に基づき教育をし、
標準に基づいた行動がとれているか
モニタリングしていく段階に移っていきます。


もし、上司と部下の「面談実施標準」の作成に
興味のある方は、ぜひ、お問い合わせフォームから
ご一報いただければと存じます。


実際に作成した面談実施標準はお見せできませんが、
どのように作成したかをお伝えし、
ニーズをお伺いさせていただきます。


「問い合わせフォーム」