組織変革成功講座

先日、とある企業さん(建設業)で、

全社員を対象とした研修を行いました。

 

 

そこでちょっと考えさせられることが

ありまして・・・

 

 

今回のブログではそのことについて

お話をしたいと思います。

 

 

全社員研修、総勢52名。

 

 

新入社員から経営トップまでが

参加しての研修で、

この企業さんにとっては、

1年に1回の一大イベントでした。

 

 

ちなみに、この企業さんとは

昨年ご縁をいただきまして、

今年は2回目の全社員研修になります。

 

 

テーマは、

「仕事に戦略的思考を取り入れる」で、

昨年の研修の続編的な位置づけ。

 

 

今回の研修、従来の研修とは少々

趣を異にした進め方でした。

 

どう異なっていたかと言いますと・・・

 

研修の場で全社員が自分のスマホなり

タブレット、PCを取り出し、

生成AIをフルに活用して、

自社の事業戦略を社員自身で策定してみよう、

という進め方でした。

 

 

今までの研修では、

自力で考えてもらっていたことを

生成AIを使って答えを出していく、

そんなコンセプト

 

で、そんな研修で、私が感じたことを

お伝えしたいのですが、

その前に、戦略的思考とはどのような思考なのか、

についてお伝えしておきたいと思います。

 

その方が、私が感じたことを

お伝えしやすくなると思うので。

 

研修の中で私が伝えたのは、

以下の通り。

 

『戦略とは、読んで字のごとく、

「戦いを略すること」。

 

言い換えると「絞ること」。

「絞る」すなわち「捨てること」。

 

例えば、経営戦略で言えば、

誰を喜ばせるかを絞る。

 

そのうえで、その人をどんなことで

喜ばせるのかを絞る。

 

ただ、絞るときには、

自分勝手に絞ればいいということではなく、

自社の強みが最も活かせる人は誰で、

強みが最も活かせる喜ばせ方は何か、を考える。

 

更に、世の中の環境変化は

どうなっているのかを考えて、

誰を、どのように喜ばせるかを絞る』。

 

研修の場では、

こんな感じでお伝えしていました。

 

そのうえで、今回の研修では、

5~6人のグループに分かれて、

事業戦略として、新市場開拓戦略を

考えてもらいました。

 

自分たちが既に持っているサービスを

まだ顧客になっていない市場に

提供できるようにする「新市場開拓戦略」。

 

そして、その際に生成AIを

バリバリ活用していただいたわけです。

 

総じて若手社員のほうが

日ごろから使っているようで、

年配社員をリードしていた感はありましたが、

決して、年配社員が全く生成AIに拒否反応を

示していたわけではありません。

 

楽しんで活用されている様子が伝わってきました。

 

生成AIに自社のホームページや

社内報などを学習させたうえで、

 

「うちの強みにはどんなことがある?」

 

「この市場に参入する場合、

 どんな環境変化を考慮すべき?」

 

「機会と脅威には何がある?」

等々、生成AIに聞いていく。

 

ちなみに「自社の強み」に関していうと、

これはもう仕方ないことですが、

生成AIを使う前に、自分たちで挙げた強みよりも、

より多くの強みを生成AIが挙げてくれるわけです。

 

社員さんにとっては、

「なるほどなぁ、

こういうのもうちの強みなのかぁ」と

自分たちが気づいていないような強みも

挙げてくれるわけです。

 

研修の企画側からすると、

今回、生成AIを使うことの一つの狙いが

この辺りにありました。

 

「自分たちの強みに

もっと気付いてほしい」という、 

その狙い通りになったわけです。

 

で、そんな生成AIに頼りつつも自分たちで

アウトプットした事業戦略、

どんな結果になったかというと・・・

 

わずか3時間ほどで、

『経営戦略、初めて考えました』

という社員さんたちが、 

それなりの事業戦略を

アウトプットできたのです。

 

もちろん、

「こりゃ、すごいなぁ。こんなことが実現できたら、

考えただけでなんかワクワクしてきますね!」って

レベルではありませんでした。

 

が、それでも、生成AIを使うことで、

それなりの戦略をアウトプットすることが

できたのは事実。

 

で、このアウトプットを見ていて感じたのは・・・

 

こりゃ、戦略コンサルタントとか

いらなくなるんじゃないか・・・」

ということと・・・

 

同時に、

『生成AIを使えば、

それなりの事業戦略はできる。

しかし、そのレベル感を高めるためには、

生成AIを使えればいいというわけではない。

 

高いレベルのアウトプットを出そうとしたら、

その分野において(今回で言えば、経営戦略の策定)、

それなりの知識が必要だろう』

ということ。

 

今回、社員さんたちが

それなりの戦略を構築できたのは、

 

生成AIを使って答えを出していくための

戦略策定フレームを、

私の方から示していたからだと思います。

 

戦略策定フレームを知らずに、

「とにかく新市場に進出したいんで、

そのための事業戦略を考えて!」では、

実情に沿った事業戦略は

アウトプットできなかったはずです。

 

その戦略策定フレームを使ったからこそ、

生成AIに対しても、適切な質問ができ、

それなりのアウトプットを出せたのだと思います。

 

更にレベルの高いアウトプットを

生成AIに出させようとしたら、

もっと経営戦略に関する知識を持っている

必要があるのだろうと思います。

 

生成AIが普通に使われる時代になっても、

知識が不要になるわけではありません。

 

むしろ、知識がある人ほど

生成AIをうまく使いこなせる。

 

そんな時代になったのだと思います。

 

今回の研修の最後には、会社の戦略ではなく、

自分自身の戦略も考えていただきました。

 

自分の強みは何か、

最も喜ばせたい人・組織は誰か、

その人は何を期待しているのか、

その期待にどう応えるのか、

そのために、何を学び、何を身につけるのか。

 

あれもこれもではなく、「これ!」に絞る。

 

個人戦略も生成AIに頼りつつ、

作成いただきました。

 

生成AIが普通に業務に使われる時代です。

 

そんな時代で、大切なのは、

生成AIから良い答えを引き出すための

知識や崇高な考え方を持つこと

なのではないかと思います。

 

 

そんなことを、今回の研修を通じて

 

改めて感じた次第です。

「なぜ、新入社員はできるのに、

課長さんや部長さんだとできないのだろう」と

思うことがあります。

 

決して、課長さんや部長さんを

揶揄するということではありませんが、

そう思うことがあるのです。

 

 

先日、とある企業さんで、

新入社員向けに「問題解決研修」を行いました。

 

その研修で、午前中の講義が終わり、

午後、再開されたとき、

新入社員の受講者の方にこう問いかけました。

 

『午前中の振り返りをしておきましょう。

午前中には、問題解決のステップとして、

まずStep1、問題の明確化ということを

お伝えしました。

 

問題を明確にするうえで、

すべきことはどんなことでしたでしょう?

 

どなたかに聞いてみましょう。

 

○○さん、いかがですか?

問題を明確にするには、何をしなければ

いけなかったですか?』

と。

 

すると、しっかりとこちらが期待する

内容の答えが返ってくる。

 

『ありがとうございます。

バッチリです!

しっかり答えていただき、嬉しいです。

 

では、次に△△さん、Step2の現状把握は、

具体的には何をすることでしたっけ?』

 

と聞いても、やはりこちらが求める答えが

しっかりと返ってくる。

 

この会社さんでは、新入社員向けのこの

問題解決研修は3年目になるのですが、

毎年こんな感じで、こちらの伝えたことを

ちゃんと理解してくれているのが分かります。

 

この問題解決研修、この企業さん以外で

課長さんや部長さんクラスにも

行うことがあります。

 

というか、むしろ新入社員に問題解決研修を

行う企業の方が稀ですね。)

 

 

で、同じように聞くわけです。

 

「○○さん(部長)、問題の明確化とは、

何を、どうすることでしたでしょうか?」

 

「現状把握とは、

何をすることでしたでしょうか?」

と。

 

すると、こちらが伝えたことが

返ってこない。

 

私としては、こんな反応になるのです。

 

「えぇ~っと、問題の明確化は、

確かにそういうことでもあるのですが、

今回お伝えしたのは、そうではなく、

あるべき姿と現状とそのギャップを

客観的事実として数値で

表すということなんです」

 

「う~~ん、現状把握は・・・

一般的に言えば、それでいいんですが、

今回お伝えしている問題解決手法では、

こう理解しておいてください」

となります。

 

まだ仕事もまともにしていない新入社員は

問題解決手法に関してちゃんと答えられる。

 

しかし、課長さんや部長さんだと

それが答えられない・・・

 

 

もちろん、全員が全員とも

答えられないということではありませんが、

新入社員と比較すると、

その傾向があるように感じています。

 

 

 

なぜでしょう?

 

 

これ、恐らくですが、

 

問題解決の進め方で言えば、

課長さん、部長さんクラスなら

自己流の問題解決手法が確立されているから

ではないかと思うのです。

 

自己流の問題解決手法が

身についている。

 

だから、研修で

「問題解決において現状把握としては、

こんなことをすることです」と伝えても、

自分なりの現状把握の手法が出来上がっているので、

どうしても他の手法でのイメージが

湧きにくくなるのではないか・・・。

 

その点、新入社員はまっさらな状態です。

 

「問題解決はこうやってやるんですよ」

と伝えれば、その通りに受け取る。

 

これ、問題解決の手法に限らず、

他のことでもあり得ますよね。

 

自分なりの概念が確立していると、

他のことを受け入れにくくなるというのは。

 

 

なお、誤解のないようにお伝えすると、

課長さんや部長さんの方が

問題解決能力が低い

ということでは決してありません。

 

 

間違いなく、新入社員よりも

 

高い問題解決力を有しています。

 

 

課長さん、部長さんであれば、

間違いなく様々な問題・課題に直面し、

それをクリアしてこられた人たちでしょうから。

 

 

ただ、

数多くの問題を解決してきたからこそ、

自分なりのやり方が確立されていて、

他の手法が入ってこない。

 

基本的に「問題解決」は、

特にその手法を学ばなくても、

できるといえば、できてしまいます。

 

では、自己流の問題解決の何が

問題なのでしょう。

 

「自己流でも何でも

問題解決ができればいいじゃないか」

と思われるかもしれません。

 

しかし、自己流の問題解決だと

組織において非効率になってしまうのです。

 

それぞれが自己流の問題解決を

行っていると、どうしても、

話が通じにくくなってしまう。

 

「まず、現状を把握しよう」

といっても、人によって、

「現状把握」の意味が違っていたり、

やり方が違っていたり・・・

 

これが、自己流の問題解決が

身につく前の新入社員のときから学び、

組織内で共有されているとしたら・・・

 

例えば、部門間をまたいだ問題解決の

会議を行っていたとしても、

問題解決の流れが共有でき、

何をどう進めるかも共有できていれば・・・

 

そりゃあ、話が素早く進むだろうと

想像は難くないと思います。

 

「本当に解決すべき問題は、そこだろうか?

本当に解決すべき問題を共有しよう」

 

「まず、現状把握として、

層別分解をして、攻め所を明確にしよう」

 

「我々としてあるべき姿を明確にして、

問題を共有しよう」

 

本当に解決すべき問題、

現状把握、層別分解、攻め所、

あるべき姿、問題を共有・・・

 

こんな言葉が共通言語になっていたら、

いちいち説明しなくて済みますし、

話は早いですよね。

 

 

そんな会社があるのか?

 

私の知る限り、

これができているのが、

トヨタ自動車なのです。

 

弊社のクライアント企業さんで、

トヨタ自動車さんから役員として

入られている方がいらっしゃいますが、

先日、こんなことをおっしゃっていました。

 

「トヨタに新入社員で入ってから、

教育を受けたのは、問題解決手法だけですね。

他に記憶ないです」

 

というぐらい徹底的に社員が、

問題解決手法を学び、共通言語にしている。

 

トヨタが、特別すごい問題解決手法を

使っているのかと言われたら、

そうではないと思います。

 

基本的な考え方そのものは、

特別難しいものではありません。

 

トヨタの強さの源泉は、

それを愚直に社員に浸透させて、

問題解決の進め方が

社員の共通言語になっていること

なのではないかと思うのです。

 

「現状把握しよう」で通じる、

 

「問題を明確にしよう」で通じる、

 

「真因を考えよう」で通じる。

 

いちいち定義の確認をしなくて済む。

 

新入社員のようにまっさらな状態で、

問題解決手法を学ぶ。

 

そして、それを徹底的に仕事を通じながら、

浸透させていき、組織の共通言語にする。

 

それにより組織の成果をより効率的に

出せるようにする。

 

そんなことも考えていただけると

いいかなと思います。

 

「問題解決の進め方」に興味のある方は、

ぜひ、こちらにご連絡ください。

 

御社に合った導入方法をご提案いたします。

 

お問い合わせはこちらから

 

追伸:

最近、時価総額で、トヨタ自動車が

22年ぶりに1位の座をソフトバンクに奪われ、

キオクシアにも抜かれ、

なんだかちょっと寂しかったりもしてます・・・。

 

株価もなんだか下降気味・・・

 

利益も中東情勢の影響を受けて厳しい見通し・・・

(中東情勢の悪化により、

トヨタ自動車の2027年3月期の営業利益は

約6700億円押し下げられる見通し)

 

でも、きっと、この組織力があれば、

こうした状況も打破して、

新たな未来を見せてくれるでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

ほとんどの企業に

「経営理念」と呼ばれるものが

存在します。

 

なぜ、この経営理念が

作られているのでしょう?

そもそも、なんのために作るのでしょう?

なぜ、必要なのでしょう?

 

今回は、そんなことについて

考えてみたいと思います。

 

その前に、経営理念と似た用語に

企業理念があります。

 

その定義を明確にして

違いをはっきりさせておきたいと思います。

 

実務的には経営理念、企業理念は、

ほとんど同じ意味で用いられることが

多いとは思います。

 

が、今回のメルマガでは、

以下のように定義して話を

進めさせていただきます。

 

これは一般的な定義ではないかもしれません。

 

恐らく私の個人的な定義です。

 

ただ、このように定義した方が

それぞれの違いを明確にでき、

経営理念の意義や目的を

より明確にできると考えています。

 

経営理念:

経営者が企業の経営を行ううえでの哲学、信念。

経営をするうえで何を大切にするか

を表したもの。

 

企業理念:

会社としての社会における存在意義、

社会においてどんな存在で

あらなければいけないのか表したもの。

 

 

経営理念は、経営者が、

「この企業を経営するうえで、

経営者である自分は、絶対にこれを守る!

これを自分に課す!」

という宣言のようなものです。

 

 

なので経営理念は、

社員に求めるもの、強いるものではないと

考えています。

 

例えば、この定義で言えば、

「社員を幸せにする」とか

「全社員の物心両面の幸福を追求する」

というのは、

経営理念としてはありですが、

企業理念としてはそぐわないと

いうことになります。

 

会社そのものの存在意義というより、

経営理念は、

経営者自身の覚悟や信念なわけですから。

 

で、この経営理念が、なぜ必要なのかです。

 

結論からお伝えすると・・・

 

「人間は、放っておくと

エゴに、欲に、人間としての本能に

負けてしまう。

それらに負けそうになったとき、

自分を戒め、軌道修正するため」

 

だと考えています。

 

 

 

人間、平常時はまだしも、

ちょっと緊急事態や異常事態に陥ると、

エゴに、欲に、人間としての本能に

負けてしまいそうになります。

 

いや、緊急時、異常時だけでなく

平常時でも基本、エゴや欲、本能に

支配されやすい。

 

そのエゴ、欲、本能に負けてしまうと

マネジメントはなかなか

うまくいかなくなると思うのです。

 

基本的にマネジメントは

人間の本能やエゴ、欲に反したことを

行うとうまくいきやすいと考えています。

 

例えば、

人には、変わりたくない、変えたくない、

という本能があります。

が、マネジメント(企業経営、部門経営含め)では、

その本能に抗い、変化を恐れず

チャレンジする方がうまくいきやすい。

 

短期的な目の前の利益を求めたいという

本能・欲に抗い、長期的な利益を求めるほうが、

マネジメントはうまくいきやすい、

 

人の話を聞くより自分の話をしたい、

自分の気持ちを分かってもらいたいと

いう本能に抗い、

人の話を聞き、相手の気持ちを汲む方が

マネジメントはうまくいきやすい、

 

挙げればきりがありません。

 

そもそも、もし人間が持っている本能のまま

エゴ・欲のままに企業経営をやったら

うまくいくであれば、

誰が社長をやってもうまくいきますからね。

 

企業経営で成果を出すには、

人間の本能や自分のエゴ・欲に抗う

必要があるのです。

 

ただ、人は弱い。

 

放っておくとどうしても本能のまま、

欲のまま、エゴのままの行動を取ってしまう。

 

だからこそ、経営者にとって、

本能や欲、エゴにまみれそうに

なったとき、経営理念を見て、

自身の軌道修正を図るためにも

「経営理念」は必要なのではないかと思うのです。

 

経営者はリーダーですから、

誰からも「社長、欲にまみれてます」とか、

「それは社長のエゴです」とか、

注意してくれる人が少ないですからね。

 

本来なら取締役会がその機能を

 

果たすべきだとは思いますが・・・。

 

 

 

今週、とあるクライアント企業さんに

お伺いした際、そこの社長さんと

経営理念について話す機会がありました。

 

「なぜ、そもそも経営理念って

必要なんですかねぇ」

 

「なぜ、御社の経営理念の一つに

“誠実”があるんでしょうか」

と。

 

その会社の経営理念は「誠実」であり、

それが壁に掲げられています。

 

人間、放っておくと、

本能としては自分を優先させたい

というエゴが湧き上がってしまい、

お客様や社会や社員に

誠実でいられなくなる。

 

お客様や社会に対して不誠実な行いをしてでも、

自社を守りたい、自分を守りたいと・・・

 

この企業の経営理念を考えた先代の経営者の方は、

こうした人間の弱さを分かっているからこそ、

“誠実”を経営理念として掲げられたのではないか、

 

そんな話を現社長と話してました。

 

 

そこで思い出したのが、

京セラの稲盛和夫氏の言葉。

 

2007年5月に東京証券取引所が主催した講演会で

以下のように語っていました。

(日経トップリーダー2026年3月号より)

 

『創業時の経営者は謙虚さを持ち、

努力家でもあると思うのです。

従業員の雇用を守っていかなければならないという

使命と責任感で、自分自身が先頭を走り、

会社を一生懸命に盛り立ててきた。

 

その結果、会社は立派になり

利益が上がります。

 

京セラも創業から10年ほど経ったころには、

数十億円の利益が上げられるようになりました。

 

このとき、私の年俸は300万円でした。

そこで私はふと思ってしまったのです。

 

「すべては私が持っていた技術だ。

そして私は寝るのも惜しんで一生懸命に頑張り、

数十億円の利益を会社にもたらしている。

 

考えてみれば、どう見ても割が合わない。

月給を1000万円もらっても年間1億2000万円だ。

数十億円の利益は全部私が作ったものだから、

そのくらいもらっても

バチは当たらんのではなかろうか」

 

そんな不遜な思いが頭を巡りました。

従業員や株主のために必死に働いていたのに、

余裕が出てくると人間が変わっていく。

われわれ人間が持っているエゴが

増大してくためです。』

 

あの稲盛和夫氏でも

人間のエゴや欲に

負けそうになったことがあるのです。

 

基本的に経営者は人一倍欲が強い人たちでは

あると思います。

 

だからこそ起業し、

経営を行えているわけですから。

 

だからこそ、人一倍強い欲やエゴに

負けないようにするために、

日々自分を戒める必要がある。

 

そのために経営理念を

描いておくのが必要なのではないでしょうか。

 

稲盛氏が京セラフィロソフィーとして、

「社員の物心両面の幸せを追求する」と

挙げているのは、

放っておくと人間の本能、エゴ、欲に負けて、

社員の幸せよりも自分の幸せ、

社員の幸せよりも売上や利益、

となっていくことが分かっていたから

なのかもしれません。

 

それでいうと企業の不祥事は、

だいたいこの人間のエゴ、欲、本能に

負けた結果です。

 

特に社員の幸せよりも

「うちの会社の利益、自分の利益」と

なってしまった結果かと・・・

 

 

だからこそ経営理念とは、

社員に掲げるためのものというより、

経営者自身が、日々自分に

言い聞かせるためのものなのだと思います。

私の地元名古屋のプロ野球球団、

中日ドラゴンズ、超低迷状態です。

 

4月24日現在、4勝17敗、

首位とは11.5ゲーム差。

 

この時期ではあり得ないような

借金とゲーム差です。

 

今回は、そんな弱すぎる中日ドラゴンズの

井上監督を取り上げて、

お話をしたいと思います。

 

なお、今回の話は、

決して井上監督のリーダーとしての

資質がどうとか、

井上監督や選手、球団の批判をすることを

目的とするものではありません。

 

「リーダーとして、ちょっとした言動が

チームのパフォーマンスに影響する。

 

だからこそリーダーとして、

マネジメントや組織論、心理学等を学び、

自分を律しなければならない」

 

ということを自戒の意味も込めて

お伝えするものです。

 

まぁ、真の目的は・・・

 

私の憂さ晴らしです(-_-;)

 

今回は、組織論として

リーダーが言ってはいけないことを

2つお伝えします。

 

1)結果の原因を考えるとき

 リーダーが言ってはいけないこと

 

仕事にしろ、何にしろ

何らかの結果が出たときに

「なぜ、このような結果になったのか」を

考えると思います。

 

いわゆるPlan-Do-Check-Actionの

マネジメントサイクルで言えば、

Check(検証)です。

 

アメリカの社会心理学者

ベルナルド・ワイナー(Bernard Weiner)が

提唱した「原因帰属理論」(Attribution Theory)

という心理学の理論があります。

その理論によると、失敗・成功の要因は

大きく次の4つに分類されます。

 

「努力」、「能力」、「課題の難易度」、「運」

 

例えば、仕事でいい成果を出せたとき、

「なぜ、いい成果を出せたのか?」

 

 

「努力」:頑張ったから。

「能力」:自分の才能だね。

「課題の難易度」:

 仕事自体が簡単なことだったからね。

 誰がやったってうまくいくよ。

「運」:今回はツイてたなぁ。

 

逆にいい結果を出せなかったなら、

「なぜ、いい結果を出せなかったのか?」

 

 

「努力」:努力が足りなかった。

「能力」:才能がないんだ・・・。

「課題の困難性」:

 難しすぎ。こんな難しい仕事、

 誰がやってもうまくいかない。

「運」:ツイてなかったぁ。

 

となります。

 

もちろん、複合的に考えることもあります。

「頑張ったし、ツキもあった」

というように。

 

ワイナー曰く、結果の要因を

「課題の難易度」・「運」に

求めていると人のモチベーションは

下がるとのことです。

 

なぜなら「課題の難易度」・「運」は

自分でコントロールしにくいものだからです。

 

また「能力」は、自分でコントロールできる

要因ではありますが、変えにくい要因です。

 

自分でコントロールできないこと、

変えにくいことが要因では、

次の行動を考えるモチベーションが

下がるというわけです。

 

どれだけPDCAだといって

「Check(検証)」をしても、

その要因に「運」「課題の困難性」「能力」を

挙げてしまうと次の行動が

促されにくくなります。

 

次の行動を促すためには、

「努力」に焦点を当てる

必要があるのです。

 

「うまくいった。

なぜならこうした努力をしたから。

次ももっと努力をしていこう」

 

「うまくいかなかった。

もう少し努力をしていればよかった。

次はどうしたらいいだろう」

 

と、「行動」が促されるわけです。

 

 

つまり、行動を変えるためには、

“努力”に原因を求める必要がある、
ということです。

 

 

行動が変わらなければ

結果は変わりません。

 

4月15日の中日対広島戦。

2対5で中日が広島に敗れた試合後の

井上監督のコメント。

 

 

「ツキがなかったと切り替えていくしかない」

 

Yahoo! ニュース

 

完全に「運」のせいにしています。

 

気持ちを切り替えるのは大事。

 

ただ、気持ちを切り替えるなら、

「なぜ、負けたのか」の要因を

「自分たちの努力のせい」として

徹底的に考えることによってです。

 

ツキ(運)がなかったと

思うことによってではありません。

 

 

リーダーが「運」と言ってしまうと、

チーム全体が「仕方なかった」で終わってしまう。

PDCAの「Check」が、
機能しなくなってしまうのです。

 

 

組織においてメンバーの行動を変えるためにも、

「運」「能力」「課題の難易度」を

失敗・成功の要因に挙げさせないようにするのが

リーダーとして求められることです。

 

 

2)意思決定の理由として

 リーダーが言ってはいけないこと

 

中日ドラゴンズが、開幕5連敗を喫し、

今年6試合目で初めて勝った試合後の

井上監督のコメント。

 

そのコメントの前に、どんな試合だったかを

簡単にお伝えしておくと・・・

 

対巨人相手に、中日の先発大野投手が好投し、

8回まで2対0でリードしていました。

 

ところが9回表巨人の攻撃で、

大野投手が1点を失い、なおも

1アウト1塁3塁の大ピンチ。

 

ここで、井上監督は、

大野投手を続投させるか、

ピッチャーを交代させるかの

意思決定を迫られます。

 

結果、ピッチャーを交代させることなく

大野投手が続投し、

何とか2対1で今年初勝利を

納めることができました。

 

その試合後の監督コメント・・・

 

「信じるってことは、

信条としてやっていこうと思っているんですけど、

(9回のあのピンチの場面)

(大野)雄大の男気にかけてみた。

よくふんばってくれました」

Yahoo!ニュース

 

 

続投の意思決定の理由が、

「男気」だったのです。

 

論理的思考(ロジカルシンキング)的に言えば、

全くロジカルになっていません。

 

論理的思考とは、

「なぜ、そう決めたのか?」

その意思決定の理由・背景が

「客観的事実」で

答えられなければなりません。

 

井上監督のコメントは

論理的ではなく「情緒的」。

 

以下のようであれば、論理的と言えます。

 

「あそこは続投でした。

なぜなら、次のバッターとの相性、

大野の状態や球数、

うちの中継ぎピッチャーの状況、

試合の展開を考慮して決めました」

 

もちろんインタビューで、細かい事実を

伝えることはないとは思います。

 

またインタビューですから、

ひょっとすると井上監督としては、

選手を鼓舞するための発言であり、

本気で男気にかけたわけでは

ないかもしれません。

 

しかし、インタビューの様子を見てて、

井上監督は本気で

言っているように見えました。

 

そこがなんとも悲しいところです。

 

もちろん、最後はリーダーとして

「勘」も「情緒」も

必要になるところはあるでしょう。

 

しかし、論理的に考える前に

「男気」だの「気合い」だの「勘」だのを

挙げているようではリーダーとして

ちょっと寂しいなぁと思うのです。

 

勘を頼りにしての意思決定は楽です。

考えなくてもいいですから。

 

ただ、再現性はありません。

 

なぜ、大野投手があそこで抑えられたのか、

「男気があったから」。

 

これでは再現性も横展開もできません。

 

また、選手が男気があるように

振舞っていれば起用してもらえる、

と考えるようになってしまったら・・・

 

そんなチームが勝てるとは思えません。

 

しかし、メンバーはリーダーの言動によって

ものすごく影響を受けます。

 

そこをリーダーは認識しなければなりません。

 

何度もいうようで恐縮ですが、

決して井上監督の批判を

しているわけではありません。

 

組織のリーダーたるもの、

こうした心理学にしろ、

マネジメントにしろ、

日ごろから学ぶことを怠ってはいけない

と思うのです。

 

井上監督が「原因帰属理論」や

「論理的思考」を勉強していれば、

このような発言はしていないと思うのですが、

いかがでしょう?

 

もちろん、私自身ができているかと

言われたら、全然まだまだです。

 

もっともっといろいろなことを

学ばなければいけないです。

 

もっと自分を律して、

運や能力、課題の難易度のせいに

してはいけないと自覚しています。

 

追伸:

大谷翔平選手は、

自分でコントロールしにくく、

外的な要因でもある「運」すら

高校生の時にコントロールしようとしていました。

 

運を高めるために、

「あいさつ」、「ゴミを拾う」、

「部屋そうじ」、「道具を大切に使う」、

「審判さんへの態度」、「プラス思考」

「応援される人間になる」、「本を読む」

の8つを挙げています。

 

大谷翔平選手がいう「運」とは、

「自分がどういう人間であるかによって決まる」

と考えているようです。

 

また、「運」と「ツキ」は別物と

考えているようでもあります。

これは私の勝手な推測ですが・・・

 

とあるインタビューで、

こんな発言をしています。

Number Web

 

『打球が抜けるかどうかは、

野球の神様のみぞ知るところで、

その要素を験担ぎによって広げよう

ということはありません。

 

ただツキがなかったな、と解釈したほうが、

自分がやろうとしていることは

間違ってないと正確に測れますからね」

 

深すぎます・・・

WBC、侍ジャパンは残念でしたね。

連覇ならずでした。

 

連覇はなりませんでしたが、今回のWBCは、

どの試合も楽しませてもらえましたし、

あの戦いぶりには感動させられました。

 

侍ジャパンのメンバー、

裏方さんも含めて感謝です。

 

日本の試合だけではなく、

韓国対オーストラリアも

決勝戦のアメリカ対ベネズエラも

興奮させられました。

 

しかし、ベネズエラは強かったですねぇ。

 

感情をむき出しにして闘う姿が

なんとも印象的でした。

 

やはり短期決戦の場合は、

冷静さも当然必要なんでしょうけど、

熱くなることも必要なのかな

という気になりました。

 

もしも、もしも、ですが、

ベネズエラ戦の1回裏大谷翔平選手が

同点のソロホームランを打ったとき、

熱く、感情を発散させた姿を見せていたら、

展開が少し変わったのかなという気もしたりして・・・

 

前回大会のメキシコ戦の9回で

サヨナラのきっかけとなった2塁打を

打った時のように。

 

あくまでもたらればの世界です。

 

前置きが長くなりました。

 

今号は、前号の続きとして、

「目的と目標との関係性からの

目標と行動(手段)の正しい設定方法」

をお伝えします。

 

前回では、

「他者視点の目的が人を強くする」

というタイトルで、

以下の内容をお伝えしました。

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「目標を通過点にする。

目標達成』を最終的なゴールにしてはいけない。

 

その先にある『目的』を目指す。

 

ただし、目的は自分視点ではなく、

他者視点(人のため、社会のため)で

描く必要がある。

 

他者視点の目的を明確にし、

それを目指すことで、

通過点である目標に向かう行動力が高まり

目標も達成しやすくなる」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

企業において言えば、

売上目標、利益目標、生産性目標、良品率目標等

いろいろあります。

 

その目標達成の先の目的を考える。

 

何のために売上を上げるのか、

何のために利益を出すのか、

何のために生産性を上げるのか・・・

 

そして、それをチーム内で共有し、

共通の目的にすることで組織力は高まります。

 

その「目的と目標との関係」、

「目的・目標と手段の関係」をどう捉え、

どう描いたらいいのか、

今回は、そのポイントについてお伝えします。

 

一番のポイントは、

「物事は目的と手段の連なり」と

考えることです。

 

WBCの侍ジャパンを事例に考えてみましょう。

 

【ステップ①:

目的と手段の関係性をより細かく描く】

侍ジャパンにとってWBCに出ることは

目的ではありません。手段です。

 

出ることが手段だとしたら、

何のために出るのか、その目的は何でしょう?

WBCで勝つことが目的になります。

 

ちなみに、白井一幸氏が前回大会でコーチを務めた際、

選手に「WBCに出る目的は?」と聞いたら

多くの選手が「優勝することです」と

答えていたそうです。

 

これが間違いではありません。

ただ、それを通過点(手段)にして、

更にその先の目的を目指そう、

ということなのです。

 

では、なんのために勝つのか?

勝つことの更に先の目的は何か?

 

菊池雄星選手が語っていたところによれば、

「野球をやってみたい、プロ野球選手に

なりたいという子供を増やすため」でした。

 

目的と手段の関係性で図に表すとしたら、

こうなります。

この目的と手段の関係性を

もっと細かく描くとしたら、

こんな感じでしょうか。

(私の解釈も入っています)

 

 

WBCに出て、勝つことで、

日本野球のレベルの高さを世界に示す。

 

日本野球のレベルの高さを

示すことで感動を与える。

 

感動を与えることによって、

野球への関心を高める。

【ステップ②:

自分たちの責任において、

上位の目的を実現できるだけの成果を目標とする】

 

日本の野球レベルの高さを示し、

感動を与えられるだけの成果(勝つ)は

どのレベルか、と言われたら「優勝」であり、

それが目標となります。

 

目標とは、

『上位の目的を実現できるだけの出すべき成果』

です。

 

そう考えると、目標は目的がなければ

明確化できないと言えます。

 

ここでいう明確化とは、

「達成すべきレベルを決める」

ということです。

 

WBCで勝つといっても、

一つ勝つレベルでいいのか、

優勝のレベルなのか・・・

 

目的が明確になっていなければ、

このレベルを決めることができないはずです。

 

更に言うと、『自分たちの責任において、

上位の目的を実現できるだけの出すべき成果』

となります。

 

侍ジャパンの場合、自分たちの責任での

出すべき成果はやはり「WBC優勝」となります。

【ステップ③:

上位の目的から外れることなく、

目標を達成できる手段を考える】

 

優勝するためにはどうしたらいいか?

様々な手段が必要でしょう。

 

しかも、大事なのは、単に優勝すればいい、

というわけではなく、

上位の目的が実現できるだけの

手段でなければなりません。

 

感動を与え、

野球に関心を持ってもらえるような手段。

 

その答えの一つが、侍ジャパンの場合は、

「WBCでの全力プレー」だったのだと思います。

 

当然、勝つためには他にも

いろいろな手段が必要にはなります。

 

白井一幸氏が強調している、

メンタルを鍛えること(考え方を変えること)も

必要でしょうし、

 

投手と野手の連係プレーなどテクニカルの

強化も必要でしょう。

 

フィジカル面(体調面)を整えることも

当然大事な手段でしょう。

【ステップ④:背景情報を整理する】

 

そもそも、なぜ子供たちに野球への関心を

持たせたいのか?

 

その背景としては、

「日本の野球人口が減っているから」

ということが挙げられるでしょう。

 

これを整理できると、

なぜこの目標や目的を目指す必要があるのかを、

客観的事実として示すことができ、

共感を得やすくなります。

 

できたら、背景の情報は

具体的な事実・データで示すことが求められます。

 

例えば、

「高校野球の部員数は2025年度で11年連続減少
日本高野連は125,381人と公表している」

出典:日本高野連Webページ「2025年加盟校部員数調査結果」

 

「NPBなどの調査でも、
小学生の軟式・硬式野球の競技人口減少」

というように。

 

なお、ステップとしては④としてありますが、

従来からこの経営環境の変化は、

整理しておく必要があります。

 

本来であれば、ステップ⓪といってもいいでしょう。

以上、WBCの侍ジャパンを事例に

目的と目標と手段と背景の関係性の描き方を

お伝えしました。

 

企業の「売上を上げる」でいえば、

目的:「なぜ、売上を上げる必要があるのか」

目標:「その目的を達成できるだけの

 売上高レベルはどれだけか」

手段:「その目的を実現し、

 売上目標達成に向けて何をすべきか」

背景:「そもそもどのような環境変化があるから

 この目的・目標を目指し、

 この手段を取る必要があるのか」

を考えることになります。

 

売上目標達成の目的には、

「お客様により高い価値を提供するための

 資金を得るため」

「社員とその家族を幸せにするための

 資金を得るため」

等があるはずです。

 

この他者視点の目的がなければ、

何をやってもいいから(手段なんてなんでもいいから)

「とにかく売上上げろ!」

「売上目標死守だ!」

となってしまうわけです。

 

たとえ社員が不幸せになるような手段を取ってでも・・・

 

だからこそ、他者視点の目的を持って

経営にあたることが重要なのだと思います。

 

「目標を通過点にする」

 

目的なき目標は、単なるノルマです。