管理職の方であれば、
もしも部下から「来期の目標」として、
以下のような話をされたら
どう対応されますか?
部下の立場であれば、
自分が立てた目標が、
以下の内容に近くないか確認してみてください。
部下A:「来期の目標、
『CADスキルのレベルアップ』
にしたいと思っています」
部下B:「来期の目標、
『チャレンジングな営業活動による
新規顧客の開拓』で
行こうと思っています」
部下C:「来期の目標、どうしたらいいのか、分かりません。
私、営業のアシスタントなんで、
売上高を目標にもできませんし、
何を目標にしたらいいものか・・・?
よく分からないんで、『毎月2冊本を読む』を
目標にしてもいいですか」
等々・・・
いかがでしょう?
上記は全て実例。
で、全て上司から承認されていました。
目標管理制度を導入している企業は多いと思います。
目標管理制度と言わないまでも、
ほとんどの企業には目標がありますし、
社員さんは、個人目標を設定することが
求められているのではないでしょうか?
そこで課題になるのが、
「どう目標を設定するか」です。
そもそも、
社員の目標、部署の目標が
正しく設定できなければ、
目標管理制度は本来の機能を
果たしにくくなります。
人事評価制度と結びつけることも難しい。
人材育成にも、会社の成果にも
つながらない・・・。
ただ、思うのは・・・
正しい目標の立て方が
教育されている企業さんは少ないということ。
では、目標を正しく設定するには
どうしたらいいのでしょう?
ここで対象とするのは、
あくまでも会社組織、仕事における目標です。
プライベートの目標は対象ではありません。
その点はご了承ください。
会社組織において正しい目標とは何か?
その要件はいくつかありますが、
その一つに、
『責任と権限の範疇における出すべき成果となっている』
があります。
冒頭の例で言えば、こうなります。
部下A:「CADのスキルアップを目標にします」
上司:「CADのスキルアップね。
まず聞いてみたいんだけど、
CADのスキルアップをすることで、
Aさんが出したい成果ってどんな成果かな?
スキルアップを図りたいということは、
言い方を変えると、現状のスキルレベルでは
出せてない成果があるってことだと思うんだよね。
スキルアップして出したい成果を共有しようよ」
キーワードは、
「出したい成果があるとしたらなんですか?」です。
図にするとこうなります。
出したい成果(目的)
↑
CADのスキルアップ(手段)
部下Aが言っている「スキルアップ」はやりたいこと、
すなわち手段であって、出したい成果ではありません。
仕事における目的は、
お客様に喜んでいただき、
成果を出し続けることです。
ですから、組織においては、
出したい成果・出すべき成果を
目標とするのが原則なのです。
上司側の思考回路としては、こうなります。
「部下が言っている目標は成果系になっているか?
行動系になっていないか。
行動系であれば、
その行動を取ることで出したい成果を
明確にする必要があるな」。
例えば、CADのスキルアップをすることで
出したい成果としては、
「設計効率の向上」等が考えられます。
これに数値を貼り付ければ、目標となるわけです。
「1案件あたりの設計時間を、
現状平均20時間かかっているのを、
平均15時間に短縮する」というように。
もう一つ例を用いて解説したいと思います。
部下D:新規開拓件数を増やすためにも、
お客様への訪問件数を増やしていきたいと思います。
具体的には月30件から50件に増やします。
訪問件数を増やすためには、
翌週の活動計画を金曜日に作成し、
先輩の○○さんに見てもらおうと思います。
計画をちゃんと立て、訪問回数を増やすことで、
新規の開拓件数を増やしていきます。
現状平均月1件ですので、
2件は開拓できるようにします。
この場合は、新規開拓件数アップが目標となります。
しかし、ここで一つ疑問が湧いてきます。
新規顧客の開拓は本当に成果目標なのか?
開拓することは、手段ではないのか?
その通りです。
仕事において、目的と手段の関係性は
いくらでも上に上がっていけるのです。
新規顧客の開拓をすることで、出したい成果は?
(=新規開拓の目的は?)
売上高の向上。
売上高を高めることで出したい成果は?
利益額の維持・向上。
利益額を維持・向上させて出したい成果は?
顧客価値の増大。
顧客価値の増大を図ることで出したい成果は?
・・・・
というようにいくらでも上に上がっていけます。
では、どこまで上がって、
どこで成果目標を設定すればいいのでしょう?
そこに必要になる概念が、
「責任と権限」です。
組織には必ずそれぞれの部署に、
社員一人ひとりに責任と権限があります。
正しい目標は、
「責任と権限の範疇で出すべき成果」
ということになります。
つまり、部下Dの場合、
上司が、
「Dさんの責任は、新規開拓件数を増やすまで。
売上高は責任外」
と言っていれば、「新規開拓件数を2件/月にする」が
部下Dさんの責任と権限の範疇における出したい成果、
すなわち正しい目標となります。
新規開拓した件数を増やしても、
単価が安くて売上が上がらなかったとしても、
それは問わないということです。
もし、上司が、
「Bさんももう6年目だから、
そろそろ売上にも責任を持ってもらわなければいけないね。
新規開拓をして出したい売上の成果を決めておこう」
と言えば、
「新規開拓件数2件/月」は責任と権限の範疇で
出すべき成果ではなくなります。
「売上高〇〇円」を目標とすべきです。
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