今年読んだ本の中で5本の指に入る脳みそが揺れ動かれた本でした。
「仕事」を社会学的現地から捉えていく本ですが、個人的に仕事とは何かを考えている最中でしたので、いいインプットになりました。
冒頭本書について「技術にイノベーションを可能にし、社会を発展させる自由主義経済を前提としつつ、そのバグをいかに修正して持続可能なものにしていくかという問題への関心をベースに書かれています」。という文章に心を掴まれました。我々が前提としている制度は、人間が作ったものであり、システムエラーがあることは当たり前であると。仕事についても生産性、効率性の観点で分業や過多のサービスなど、これらが本当に良いかは批判的に考える必要があるのだと思います。
仕事の意味については、社会学者の尾高邦雄を引用し、1. 生計の維持、2. 個性の発揮、3. 役割の実現 であると書かれています(p24)。社会の構成員という自覚を持つ時に、その仕事へのやりがいを改めて感じられるのではないかと思いました。
一方で「やりがい搾取」という言葉が出てきます。
確かに自己実現を欲する今の青年世代においては労働課題の一つなのでしょう。その処方箋として
組織人vs職業人というキーワードが出てきます。自身はキャリアとして組織の構成員として成果を出すのか、職業というプロフェッショナルとして貢献するのか。著者は職業人を目指すべきという主張です。
個人的にはどちらかでも、どっちでも良いのだと思います。ただ組織も個人も、その人の特性を掴み、いかに、仕事の意義である1. 生計の維持、2. 個性の発揮、3. 役割の実現
を達成するのかだと思います。
最後に本書の中で「ハドソン川の奇跡」という映画が紹介されています。有名な話ですが、まだ見たことがないので鑑賞したいと思いました。
