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教養としての社会保障
1,728円
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元官僚の方が書いた社会保証を教養として捉える書籍です。社会を俯瞰的に考える・見る上で非常に良書だと感じました。ぜひ学生・社会人の方々に読んでいただきたい一書です。
- トマス・ピケティの21世紀の資本に基づく、R(資本収益率)>G(経済成長率)が成り立つのであれば資本主義社会の中で格差があるのは当たり前。
- その中で自助+共助という社会保障の考え方が大事。これは所得の再分配ではなく、社会をより良くするための投資という考え方が必要。
- 日本の社会保障は皆保険・皆年金という戦後間もなく作られた壮大な仕組みであり、世界に誇れる仕組み。しかし高度経済成長が終わり、また人口減少が進む中で制度設計の見直しが必要なことも事実。
− 社会保障を考える上では、教育+労働+社会補書の三位一体で考える必要がある。働いて自分で自由に使える対価を得るという資本主義をベースにしないと、社会はいきいきしない。
− 社会は変わることを前提に人への投資を政府・企業ができるかどうか。その脈絡から捉えると参考になるのはブレア政権時代の社会保証を現金給付から能力開発にする、90年台のデンマークのフレキシキュリティ。
− 安心社会の基盤を作る(自立と連帯、共生、社会的包摂)、持続可能な社会(プライマリーバランス、人口減社会、女性の活躍)、社会経済の変化に対応できる仕組み作り、成長に貢献する制度作り。
などがこの本から学んだことです。日本社会は転換期にあります。少子高齢化、人口減、財政の悪化など課題が山積する中でいかに新しい揺りかごから墓場モデルを作っていくのか。今一度あるべき国家像/社会保障像を考えていくときなのかもしれません。