グローバルリーダーになる為の思考力① ロジカルシンキング Part 2
ロジカルシンキングの重要性
私自身がロジカルシンキングという言葉を知ったのは、大学3年生のときだった。今の学生からすると「遅いんじゃない?」と思われるかもしれない。Amazonで「ロジカルシンキング」をキーワードに検索すると76冊ヒットする。内、2008年に発刊された本は26冊、2007年は9冊、2006年には10冊とここ3年で半部以上のロジカルシンキングに関連する本が出版されている(注:Amazonの検索ロジックによって抽出された書籍群であり、ロジカルシンキングだけに触れている本だけを含んでいるわけではない。また「論理的思考」というキーワードで書かれた本などもあるが、上記の数字には含んでいない)。
私が学生だった2004年当時はいよいよロジカルシンキングブームが始まる直前であり、大学の授業でも「論理」という言葉は頻繁に耳にしていたが、「ロジカルシンキング」という言葉は使われていなかったと記憶している。大学3年生時に所属したゼミが「人工経済(Artificial Society)」というテーマを扱ったゼミであり、そのゼミの学問を探求する為には「ロジカルシンキング」系の書籍を読んでおいた方がいいと先輩から言われたのである(理由は、コラムにて掲載)。
最初に読んだロジカルシンキングの本は『コンサルタントとしての質問力』(PHPビジネス新書)の著者でも有名な野口吉昭氏が編集をした『ロジカルシンキングのノウハウ・ドゥハウ』(PHPビジネス選書)である。私が定義するロジカルシンキングとは「相手にとってわかりやすい!」と思わせる思考、という定義も本著作から影響を受けている。
本著作はどちらかと言えば、ロジカルシンキングとは何かについて言及している本であるが、ロジカルシンキングを学ぶと思考が鍛えられるだけでなく、マインドや行動が変わるという主張である(下図参照)。
【図3-1「ロジカルな人とロジカルではない人」】
先ほど述べたとおり、考える人はポジティブで、悩む人は「ネガティブ」思考になりやすいと説明したが、ロジカルに考えられる人とそうでない人でもそのような差異が生まれるという。私が考えるに、ロジカルに物事を考えられるという人は正しいか正しくないかは別として、「結論」を導き出しているという”自信”が大きく影響をしているからだと推測する。ロジカルに考えられる人というのは、やはり「考える」ことで、自分の意見・主張を言えるようになり、思考だけでなく、マインド・行動・スキルにも変化が出てくると言える。
またロジカルシンキングを身につけることは、実生活の中にもメリットがある。「相手にとってわかりやすい!」ということを第一義にしているが、今後私が紹介するロジカルシンキングの習得方法を行っていくことで、①難しいことを、わかりやすくすることができる、②大勢の人にとってわかりやすくすることができるのである。この2つが出来ることで、整理・分析や問題解決・意思決定またプレゼンテーションも劇的に変化をしていくだろう。
【図3-2. ロジカルシンキングの基本用途】
更に経営コンサルタントして有名な大前研一氏は次のように述べている。
『新しい問題、前例のない問題に直面した時、
答えを丸暗記しただけの”知識”は何の役にも立たない。
得られた情報を基に自分なりのアプローチで論理的に考え、
答えを出し、問題を解決していかねばならない。
そのための土台となるロジカルシンキングは、これからの
世の中で最も重要な技術であり、社会人になる前に
必ず身につけておかねばならない技術である』(大前研一・斎藤 顕一著『実戦!問題解決法』)
ロジカルシンキングを身につけることは、グローバルリーダーになる為の思考『複眼的考察力』を身につけるための第一歩であり、正にこれからの社会で生きていく上での必要思考である。
私自身の経験談になるが、私自身も大学に入るまで、また論理を意識するまで決して「ロジカル」な人間ではなかった。国語の入試問題にある評論を読むのも説くのも、とても苦手だったし、論理的な言語とされる英語のリーディングも単語はわかってもどこかニュアンスで読んでいた気がする。話すのも下手、というより冗長だった。そんな私が「論理」「ロジック」を気にするようになってから、自分でも不思議なくらい論理立てて整理をしたり、また文書を書けるようになったのである。
「ロジカル」ということを意識するだけで、「ロジカルシンキング」の原理原則を押さえることで、
大きく自分の思考を変化させることが出来る
というメッセージはウソ偽りないものである。私自身が担当している講座の受講生も「ロジカル」ということを意識し、原理原則を押えるようになってから見違えるように成長した学生が沢山いる。決して、ロジカルシンキングは先天的なスキルではなく、後天的に鍛えられるものである。
次節から、いよいよそのロジカルシンキングのエッセンスを紹介していきたい。

