若い奥村大史監督の新作「ぼくのお日さま」。スケートのコーチを演じるのは池松壮亮。北海道の港町で子供たちにフィギュア教えている。この場所では冬になるとスケートをすることは、当たり前のようで、女の子はフィギュア、男の子はホッケー。選択肢はあまりない時間を過ごしている。
池松くん演じるコーチは、かつては中央の華やかな舞台で活躍していたスター選手。いまは、ある事情があって北海道の地方の街に住んでいる。
ホッケーをいやいやながらしていた男の子がフィギュアに興味を示したことで、コーチ、フィギュアの女の子、男の子の新しい関係が生まれる。
「ぼくのお日さま」★★★★☆
北海道の美しい風景の中で紡がれる物語。背景になる北海道の風景がアートなスチル写真のような構図で展開する。それは美しい。
惜しいのは物語の展開。実は池松くんはゲイで、若葉竜也くん演じるパートナーと同棲している。彼が実家の家業を引き継いたので、一緒に北海道にやって来たのだ。
事情を知らない周囲は、あれほどのスターが何故ここに?と訝っている。
フィギュアに興味を持った男の子が現れたので、女の子とコンビでアイスダンスを教えることになる。
しかし、女の子に彼がゲイだということがバレて、彼女の心は競技から離れていく。
スケートの話と池松くんと若葉くんのゲイライフが並列に描かれる。これが弱い。やはり、どちらか軸足があるべき。
それと、彼女にゲイだとバレるシーン。あんな田舎町でイチャイチャしないだろう。せめて、都会の札幌でぐらいにしないと、リアリティがない。
でも、全体に美しい画面で、幼い二人も可愛い。男の子の初恋物語としての切なさもある。女の子が美少女なのも、物語にびったり。