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映画を中心にエンタメ、旅などを紹介しています。

 

 テレビシリーズからスタートした「ダウントン・アビー」の最終作「グランドフィナーレ」。ポスターにあるようにシリーズ開始から15年目の完結編。


 映画作品3作目でフィナーレを迎える完結編は1930年のロンドン・ピカデリーサーカスから始まる。

 

 劇場ではノエル・カワードの「ほろにが人生(BITTER SWEET)」が上演されている。当時、大人気のカワードが、この完結編の実質的主役。


 長女メアリーが離婚することによっておこる騒動を中心にヴィクトリア時代の価値観が変わっていくさまが描かれる。


「ダウントン・アビー/グランドフィナーレ」★★★★☆


 長女の離婚が発覚すると社交界から締め出される。そのことに憤りを感じながらも、自らも旧弊的な考えを変えられずにいるクローリー家の当主ロバートは苦悩する。


 そこに妻の弟がアメリカからダウトンアビーへやって来る。彼は投資に失敗。新たな資金調達のために姉の資産を当てにする。


 弟が連れて来た怪しげな投資コンサルタント。傷心の長女メアリーに漬け込んで肉体関係を持つ。


 ダウントン・アビーの中の使用人たちにも、世代交代の機運。口では「変わらなければ」といいつつ、なかなか納得は出来ない引退組。


 最終作のテーマは、この「世代交代」。そんな旧弊さをあざ笑う存在として登場するのが、当時の芸術界のスター、ノエル・カワード。


 実在のカワードを使いながら、変わっていく、変わらざるを得ない社会が描かれる。


 これはうまい。フィクションの物語に、実在の人物を配した。技あり!


 そして、おなじみの物語は、世代交代をすることで完結を迎える。


 2時間をこえる作品なのだけど、息をつく間もないエピソードの連続。これが実に無駄がない。


 今回、ゲスト的に登場するのはエリザベス・マクガバン演じるロバートの妻コーラの弟ハロルド。このダメ男を演じるのは、前作「ホールド・オーバーズ」でアカデミー賞主演男優賞候補になったポール・ジアマッティ。


 観たいと思っていたのに、なかなか時間が合わなくてチャンスがなかった。観れて良かった。30年代のエレガントさが残る英国。


 このエレガントさは第二次世界大戦で、すっかり失われてしまう。



 那覇空港内に映画館がある!那覇に来る前に、この情報を雑誌で知った。


 映画ファンとしては、是非とも体験したいと、那覇到着後に行ってみた。



 「ファミンチュシアター」。飛行場の特性を考えて、気軽に見れるように短編を中心に上映している。(朝夕は長編映画も)



 30席に満たないミニ・シアター。短編2本を基本に30分程度の上映時間。



 この日観たのは「ロイ」と「5回出会った見知らぬ2人」の2本。これが、なかなか良かった。


 「ロイ」は孤独な老人が主人公。電話帳をめくり、適当に電話をかけて話相手を探す。行き当たったのはテレフォンサービスの女性。


 もちろんロイはテレフォンサービスなど理解していない。それでも話を聞いてくれる彼女と親しくなる。


 彼女の薦めで、他の女性とデートする。それを報告しようと電話すると彼女は辞めてしまっていた。


 「5度出会った」のスタートは2度目から始まる。ATMでのんびりと金を引き出すアラブ系の男に差別的な言葉を投げかける。


 3度目は面接。そのアラブ系の男が実は、その会社の社長だったのだ。もちろん採用にはならず、4度目の出会い。男はホームレスになっている。そこへアラブ系の社長が通りかかる。自分の窮状を訴える男。


 1度目、5度目はプロローグとエピローグ。なかなか滋味のある話。


 「ロイ」も「5度目」も短編ながら人生の深みを感じさせる映画。空港にある映画館で、こんな体験が出来るとは思わなかった。

 この春、女の子を主人公にしたアニメに秀作が多い。1本は松竹「パリに咲くエトワール」。これ大人の評判がすこぶるいい。


 先日もバーであった中年の女性が、この映画を絶賛していた。20世紀初頭の黄金時代のパリの描写がいいのだ。

 

 そして、もう1本はフランスのアニメ「アメリと雨の物語」。こちらの舞台は60年代後半の日本。


 日本のアニメが20世紀初頭のパリを描き、フランスのアニメが半世紀以上前の日本を描く不思議。

 

 その「アメリ」。アニメでは珍しく原語版で上映している。フランス語のニュアンスがポエティックな絵と美しいハーモニーを感じさせてくれる佳作。

 

 まだ「観ていない」という友人を強引に誘い2度目の鑑賞。

 

 今年のアカデミー賞の候補になった作品。外国人から見た日本。エトランジェな世界。でも、これ外国人だけでなく、半世紀も前の話なので、今の日本人にも十分エトランジェな世界。

 

 映画にはピーナッツの「恋のバカンス」が繰り返しながれる。それに赤い鳥がカバーしてヒットした「竹田の子守唄」も。それを聞くだけで懐かしい。



 

 上映時間は77分。それでいて、キチンと少女の成長物語になっている。戦争の影を背負う大家さんの老婆の描写など納得できない部分もあるけど、今から70年近い昔なのだ。戦後の傷は場所によっては生々しかったのかもしれない。

 

 「エトワール」もそうだったけど、過去を舞台にしているので、実写で撮ると途轍もない製作費がかかる物語の映画。これはアニメならでは世界。


 

 アニメは苦手という友人にどうだった?と聞いたら「これは満点!」とニコリ。誘って良かった。

 コロナの緊急事態宣言終了後、しばらくは旅気分にはなれなかった。やっと旅に出たのは2022年4月、那覇への旅だった。


 最後に沖縄に行ってから、しばらく時間が経っていた。10年、それ以上。その月日、まったく沖縄に興味がなかったワケではなく、何度が予約したのに、病気になったり、台風が来たりして、機会を逃していた。


 2022年春。まだ、海外へ行く気持ちにはならないでいた。そこで那覇。


 4月の那覇は、東京から来ると初夏のよう。短パンTシャツで町を歩いた。




 これ以前に沖縄に来たのは、まだ、モノレールが開通する前。空港からモノレールに乗った時は新鮮な気分になった。


 事前に調べたHPでは、その年の春に、牧志市場がリニューアル・オープンする予定だった。しかし、現場に行ってみると、オープンどころか、まだ骨組状態。(結局、オーブンは2年後)


 そんな那覇で嬉しいのは古本屋さんがあること。ひとつは牧志市場の隣。もう一つは1000ベロで有名な栄町の商店街。


 都内でも古本屋さん(だけでなく書店が)減っているのに、那覇には知っている限り2店舗ある。しかも、この古本屋、古くからある店ではなく、比較的新しくオーブンした店なのだ。




 どちらも完全な古書店というより、新古書店の体裁。映画館の桜坂劇場のロビーにも映画本を中心にした本コーナーがある。




▲今回買った本


 意外にもカルチャーも充実した那覇。それも好きな理由のひとつ。


 

 見上愛と上坂樹里がWヒロインを務める新しい朝ドラ「風、薫る」。看護師になるふたりの女性の話。前作「ばけばけ」のような有名人に関わる話ではない。実話を参考にしているらしいけど、市井の女性の話。



 

 予告編(メイキング)を見た時から地味だなと感じていた。ヒロインが看護師になる話をどれだけ興味深く展開できるのだろうかと。(「虎に翼」の主人公だって、一般的な有名人ではないけど、初めての女性裁判官という特別な設定)

 

 初週を見る限り、やはり平凡な朝ドラ。というか20年ぐらい前の朝ドラのノリだなと思った。


 見上愛は大ヒットした「国宝」では祇園の芸妓役。出番は少なかったけど、主人公喜久雄の子供を授かる物語の鍵になる役。大河「光る君へ」にも出演していた注目の若手女優。主演させるなら彼女ひとりにした方が話はスッキリする。

 

 それにしても、今回は主役を支えるベテラン陣が弱い。北村一輝はいい俳優だけど、どう見ても「御家老」には見えない。ヒット中の時代劇「木挽町の仇討ち」の仇討ちされる役が似合うようなタイプの人。


 おかみさんの水野美紀は「べらぼう」でも素敵な演技を見せていたけど、この役は彼女向きには見えない。(「ばけばけ」の池脇千鶴のようなインパクトがない)

 

 NHKが好きな小林隆に関しては、正直、一度も「うまいな」と思ったことがない。脇役の人なのに演技はワンパターン。 


 やはりNHKが好きな原田泰造に関しては、いうべき言葉がない。どうして、こんなに演技ができない人を使うのか理由がまったくわからない。(ナレーターの研ナオ子も滑舌のわるさが気になる)

 

 前作「ばけばけ」は完成度の高いドラマだった。終盤の「熊本編」でコケたのが残念。


 ヒロインの高石かおりは朝ドラヒロイン史上最高の部類の女優だったのに、最後まで視聴率的には回復できなかったは、やはり、あの「熊本編」の影響。


 ドラマ終了後に放映された「さわ」を主人公にしたスピンオフ作品も最高。「ばけばけ」こそ「トキ」と「さわ」のWヒロイン・ドラマだった。

 

 新・朝ドラは「まれ」とか「おむすび」ほどはひどくはないけど、新鮮味がないのは致命的。

 1978年セックス・ピストルズの解散のニュースに触れ、急に東京のミュージックシーンに興味をもった主人公。六本木や新宿のライブハウスで演奏するパンクバンドに魅了されていく物語「ストリート・キングダム」。

 

 当時、これらのバンドの写真を撮っていた地引雄一のフォトエッセイを原作にした、実録的東京のロックシーン映画。


 監督は「プロジェクトX」のナレーションで有名な田口トモロヲ。脚本は宮藤官九郎。主人公を演じるのは「銀杏BOYZ」のミュージシャン峯田和伸。



「ストリート・キングダム」★★★★☆

 

 自らも「画鋲」というパンクロックバンドを結成しているクドカン。監督の田口トモロヲと共に、この時代のパンクへの熱い思いを持っていることがストレートに伝わってくる熱い映画。

 

 正直、ロックましてやパンクなんて苦手なジャンルだけど、製作者&キャストの熱量に圧倒される。


 たしかに、この時代に日本(東京)にロックが定着した。70年代から80年代は、もしかしたら、日本が一番(経済的にも恵まれていたこともあり)自由な時代だったかも。

 

 その解放された気分を見事に時代の匂いと共に描いている。


 主演の峯田をはじめ、彼と共有関係になるバンドのヴォーカル若葉竜也。さらに、出色なのが、現・大河の主役、仲野太賀の「遠藤ミチロウ」。彼の過激さを見事に(裸になって)演じ切っている。(遠藤ミチロウの近景をネットで見てビックリ。まるで別人)



 

 必見の音楽映画。

 なるべく日常に近いかたちでバカンスを楽しみたい。これが旅時間の基本。バンコクでもパリでも、このスタイルは変わらない。

 

 那覇でも同じ。普段なら通勤前にジムに行く。その代わりは、朝散歩。那覇の場合は市内のビーチで、地元民に混じってラジオ体操をしたりする。



 

 そして、ホテルへ帰る前にスーパーに寄って食品を買う。那覇の滞在はアパートメント型を選択。なので、ホテルの部屋で食事をすることも多い。

 

 那覇の滞在で一番気に入っているのが、映画館が充実していること。新都心には、シネマQというアメリカンな雰囲気のシネコンがある。


 那覇で、一番、好きなのは桜坂劇場。ここは東京でいえばユーロスペース的な映画館なのだけど、南国らしい雰囲気が、実に心地いいのだ。




 牧志市場の近くというのも嬉しい。市場近辺の食堂でランチをして、午後は毎日のように桜坂劇場に通う。これぞ、至福の那覇時間の過ごし方。

 

 県庁前の複合施設(百貨店など)にはシネマパレットというおしゃれなミニシアターもあって、こちらの番組も充実しているのだ。




 午前はビーチ。ランチを食べて、午後は映画の那覇ライフ。自分には理想の旅時間。



 コロナが明けてから4月に沖縄へ行くことが恒例になった。今年で5年連続。


 桜が咲いていても、東京はまだ寒い日があるのに、沖縄は東京人にとっては初夏のよう。(現地の人には、普通の春なんだろけど)

 

 短パンTシャツで街歩き。沖縄といっても、基本は那覇に滞在するだけ。これはハワイに行ってもホノルルを離れないのと同じ。

 

 特別な観光もしない。ネットで人気のレストランをさがしたりもしない。映えする場所には興味がない。


 繰り返し行く場所(バンコクとか、ホノルルとか、パリなど)では、出来るだけ、地元民に近い時間を送りたい。「住むように滞在する」が自分の旅スタイル。

 

 それにしても4月の那覇は気持ちのいい気候。何度来ても飽きない。



  

 今回は行く前の天気予報は最悪。滞在する6日間に☀️マークが全然ない。基本☂️ばかり。前線の影響だとか。


 基本的には「晴れ男」だと思っているけど、これは運まかせ。さて、どうだろう?

 

 「オッペンハイマー」でアカデミー主演男優賞に輝いたキリアン・マーフィが主演している「決断のとき」。1980年代のアイルランドが舞台。

 

 キリアン演じるのは小さな石炭会社を経営する男。社長といっても、自ら運転して配達しているような規模の会社。その配達先の修道院で目撃したのは、強制的に修道院の入れられる女の子。

 

 当時、修道院は、ある意味、矯正施設のような役割を担っていた。そこへ強制的にぶち込まれた少女に脱出を助けて欲しいと請われる。

 

 しかし、そんなことをすれば修道院に睨まれる。そうなれば、小さな町では村八分になってしまう。



「決断のとき」★★★☆☆

 

 テーマとしては真面目な作品。でも、この背景が映画を観ている限りは良くわからない。修道院の権威がどれほどもものか、それで追放された人がいるとか、そんなエピソードをはさまないと理解しずらい。

 

 テーマに合わせたのだろうけど、終始画面が暗いのも映画に救いのないものにしている。全体にトーンが暗過ぎるのだ。

 

 キリアン・マーフィは熱演だけど、演出がいまひとつなので、その熱演が空振りしている。大好きなエミリー・ワトソン(「奇跡の海」など)も、この映画でベルリンで演技賞をもらったとは思えない地味な演技。ただ怖いだけに見えた。

 

 それにしても、これが80年代の話とは。アイルランドの旧弊さには驚くばかり。

 国際的に評価を受けている韓国の映画監督・ホン・サンスの新作「自然は君に何を語るのか」。

 

 主人公は30代のカップル。彼女を家まで送り届けるシーンから始まる。「家には誰もいないから、寄って行く?」との彼女の誘いに乗り、彼女に実家に入ると、そこに父親がいた。

 

 父親は彼に会うのは初めて。交際していることも知らされていない。彼のことを知るためにも「ご飯でも一緒に!」と誘う。

 

 彼と彼女の家族とのぎこちない一日が描かれる。

 

「自然は君に何を語るのか」★★★☆☆

 

 いつもながらのホン・サンスの世界。彼氏は有名弁護士の子息。しかし、それを嫌って独立。詩人を目指して裕福ではない生活を送っている。

 

 一日を過ごすうちに、この一家から「値踏みされる」という展開。

 

 ホン・サンスのスタイルはフランスのエリック・ロメール風と言われる。何気ない日常のドラマが自然な演出で描かれる。

 

 この作品を観て、ロメールとの決定的な違いを見つけた。それはロメールのドラマは徹底した個人主義のもとに作られた「個」の映画。

 

 それに対し、ホン・サンス作品は、スタイルは似ているが、やはりアジア的な価値観の下にある集団主義的な映画。

 

 昼には、不在だった母親も合流して夕食になる。酒がまわり本音をぶちまける。


 母親はなんでオンボロ車に乗っているかと、彼に問いただす。(金がないからなのはわかっているのに)


 姉はなんで裕福な父親を頼らないのかと迫る、(そんな父親に頼りたくないと何度も言っているのに)


 そして最後に夫婦で、彼は坊ちゃんで苦労知らずで頼りないと評す。

 

 こういうシーンを見ると韓国は日本よりも旧弊的な価値観にしばられているなと感じる。


 サンスを評価するヨーロッパの人たちはどういう風に見て、彼を評価しているのかが気になった。