24年映画は映画館で204「DitO」ボクシング映画にハズレなしに、まだ1本追加! | con-satoのブログ

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 俳優、結城貴史が初監督した「DitO」。フィリピンを舞台にしたロートルのボクサーの物語。タイトルの「ディト」とはタガログ語で「ここ」という意味だそう。

 映画はフィリピンに住む父を娘が尋ねるシーンで始まる。父と母はフィリピンと日本で別離して住んでいた。その母が死に、娘は長い間、離れて暮らしていた父の元にやってきたのだ。


「DitO」★★★★★

 失礼ながら主演・監督した結城貴史さんのこと、まったく知らなかった。この結城貴史の面構えが良かった。(ちょっと西島秀俊似?)

 自作の脚本のボクサー映画といえはジルベスター・スタローンの「ロッキー」。底辺から這い上がる男を描くのに、ボクシングほどふさわしい映画素材はない。

 この映画が素晴らしいのは、フィリピンを美しく撮っていること。マニラの貧民窟さえ、美的に描写。セリフこそ「危険だ」というシーンがあるけど、カメラが捉える風景はあくまでも美しい。

そこに監督のフィリピンに対するリスペクトを感じる。フィリピンが好きだから「ここ」を舞台にした映画を作るのだと。

 母親役には尾野真千子が登場。(多分ノーギャラ)この低予算映画の唯一の有名俳優。夫の夢には共感するけど、現実を見つめると夢では生きられない。そのため娘を連れて日本に帰る。夫に対する愛の深さを的確に表現していた。

 ボクシングの過酷さ、フィリピンで生きる過酷さもキチンと描きながらも、そこに常に愛がある。心から観て良かった、と思った。