1998年のフランス映画「美しき仕事」が日本で初公開。監督はベルリン国際映画祭で監督賞、カンヌ映画祭ではグランプリ受賞歴のあるクレール・ドニ。
世界の映画祭では「巨匠」という扱いの監督らしいのだが、恥ずかしながら、この監督の作品を拝見したことがない。その名声のきっかけになったのが本作だそうだ。
「美しき仕事」★★★★☆
本国では25年前の作品でも、日本では「新作」。世界には数限りない監督が、それぞれの国で作品を作っているのだなと実感する。
原作はメルビルの小説なのだそうだ。あの「白鯨」の文豪。物語は北アフリカ、ジブチ共和国海岸を舞台に外人部隊の男たちのドラマが描かれる。
主演はドニ・ラヴアン。レオス・カラックスと組んだ「ボーイ・ミーツ・ガール」「汚れた血」「ポンヌフの恋人たち」の(3作品共通の)アレックス。
彼が新入りの兵隊に一方的に嫉妬する。そこで起こるドラマ。狭い社会で起こる感情を描く。
監督はビジュアル優先。まるで、ラルフ・ローレンのモデルのような男たちが、常に上半身裸で訓練し、戯れる。
そのビジュアル優先さの徹底ぶりが見どころ。へんにセンチメンタルにならずに、舞台になったジブチのように乾いた描き方。
25年前の作品とは思えないほどフレッシュ。こんな映画が25年も日本未公開だったのだ。世界には、まだまだたくさんの映画がある。