映画史に残るカッコいいアクション俳優②高倉健「大脱獄」石井輝男とのラスト作 | con-satoのブログ

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 1950年代に東映のニューフェイスとしてデビューした高倉健。以降、東映を支える映画スターの地位を70年代まで保った。

 60年代半ばには代表作「唐獅子牡丹」が登場。高倉健の人気を不動のものにした。当時は子供なので、映画館でヤクザや時代劇映画を見ることなどなかったけど、そんな幼い子供でも、三船敏郎と高倉健のことは知っていた。

 三船は黒沢映画の侍。健さんがヤクザ。そんなイメージを子供心に持っていた。黒沢映画は映画ファンになった中学以降、見る機会があった。

 しかし、健さんのヤクザ映画には接する機会がずっとなかった。自分にとっての高倉健は「八甲田山」「幸せの黄色いハンカチ」以降の健さん。

 最近になって鶴田浩二共演の任侠映画などを観ると、健さん、カッコいいなと思う。

 男が見て、こんな男になりたいと思うような理想の男。オードリー・ヘップバーンに対して、女性たちが憧れの気持ちを持つのと同じ。健さんのストイックさが、あの顔から、体から伝わってくるのだ。

 そんな健さんの東映時代、最終期の作品1975年「大脱獄」をBSで見た。監督は「唐獅子」の名コンビ、石井輝男。


 最初はこのコンビにふさわしい網走刑務所から始まる。独房に収容されている7人が脱獄する。しかし、それぞれの思惑があっての脱獄。成功した途端に仲間割れする。そして命を落としていく。

    健さんは共演の菅原文太と共に加藤嘉の老人に道案内され生き延びる。しかし、呉越同舟の関係。文太は健が銀行強盗で得た金を隠し持っているとにらみ、それを狙う。

 健さんの脱獄の目的は復讐。自分をはめた田中邦衛やその背後の裏社会の男たちの命を狙う。逃避行の途中で出会うのが踊り子の木の実ナナ。

 この映画、まったくヒットせず、東映では高倉健のスター価値が下がったと判断されたとか。

 元々は、健さんと渡哲也との共演作として企画されたそうだ。しかし、渡が病気降板。ヒロインも松坂慶子、十朱幸代というスター女優を当て込んでいたらしい。しかし、それも流れ、木の実ナナの地方周りのストリッパーという役に落ち着いたそうだ。

 そんなドタバタな舞台裏が信じられないほど完成度の高い、脱獄アクションだった。それを支えるのは健さんのスターオーラ。どんなアングルから捉えても絵になる男なのだ。