若松孝二を描いた映画「止められるか、俺たちを」。その続編を観て思い出す、新宿のバーで良くお会いした若松監督のこと。
若松監督が亡くなって10年以上の月日が経つのに、今でも、若松監督のことは鮮明に記憶に残る。
バーという仕事とは関係ない場所、こちらは映画には遠からず関わりがあるけど、製作の立場ではないので、若松監督も気安く(というのは失礼かも知れないけど)付き合っていただいた。
そんな、ある日、若松監督から「お前1億貸せよ」というお言葉。「1億?」と思ったけど、お話聞いてみると、作りたい映画の製作費。
「シネマスコーレも、そうだけど、俺はその辺の監督たちは違い商売が上手いんだ。俺に貸したら、損はさせない」と。
どうも若松監督は僕のことを練馬の土地持ちのお坊ちゃんだと誤解していたようだった。
「練馬なら、ちょっと土地売れば、1億ぐらいすぐだろう」とおっしゃる。
残念ながら、当方、土地持ちのお坊ちゃんではないので、お貸しすることはなかった。
その代わりに「連赤」の公開時には前売り券をまとめて買わせていただいた。