80年代に朝日新聞特派員が書いた「小さな目が見たフランス日記」40年間の変化。 | con-satoのブログ

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 80年代、日本は経済大国といわれ、我が世の春とばかりに世界を闊歩していた。その80年代に書かれたフランスに関するエッセイを読んだ。今から40年以上前のパリ。パリの方はあまり変化はないのかも知れない。変化したのは日本。当時は経済大国として世界を席巻する勢い。

 しかし、90年代バブル崩壊後、日本の経済は落ちていくばかり。韓国、中国に遅れをとっていると言われる始末。

 この本の当時は経済に進展のないフランスを日本人は技術革新のできない国と、ある種蔑んでいる時代。
 この時代も、今もフランスが誇っているのは文化。この本で語られているのは、その社会を支える教育の問題、生活様式など。
 教育は日本では、この40年でかなり変化した。いわゆる詰め込みから、ゆとりへ。しかし、日本の教育システムが進化したとは思えない。どちらにせよ、学歴が優先する社会自体には大きな変化はない。
 ゆとりになって教育の現場は混乱。教師は疲弊、なり手が激減。問題の目先が変わったけど、教育に対する明確な方針が見えないまま、現状を変えただけに見える。
 その点、フランスには、社会に対する揺るぎない哲学がある。彼らが絶対視する「自由」であること。これは社会の基礎を支えるもの。
 しかし、そのフランスでも移民が増え、社会の構造の変化が起こっている。パリの郊外では移民たちが社会的な問題のタネになっている。
 教育の低下、ドラッグの蔓延などで社会システムは揺らいでいる。これは今のところ日本にはない現象。
 この40年前にはヴァカンスを取ることはフランス人にとっては必要であり、必然だった。しかし、今はそのヴァカンス先でモバイルで仕事をする時代。ヴァカンスの意味も変わっている。
 このように40年で変わったことも多い。日本は元気を失い、当時、当たり前だった終身雇用制は過去になりつつある。
 フランスも日本も良き方向へ行ったとは思えない厳しい21世紀の現実があることを感じた。