ガイ・リッチーが初めて戦争を題材にした「コヴェナント約束の救出」。主演はジェイク・ギレンホール。彼が演じたのはアフガニスタンに派兵された兵士。タリバンとの戦いで負傷。彼は救出され、故郷へ帰る。その時彼を助けたアフガニスタン人を救出するために、彼は再びアフガニスタンを訪れる。
「コヴェナント約束の救出」★★★★☆
連日報道されているウクライナの戦争やガザの紛争。それ以外でもスーダンなどアフリカの各地では紛争が絶えない。
そんな中で現在はタリバンが実行支配するアフガニスタン。あの9・11以降タリバンへの制裁というかたちでアフガニスタンに乗り込んだアメリカ。しかし、20年もかけたのに、結局はタリバン政権復活への泥沼。
この映画のヒロイズムは、一歩間違えば「ランボー」的な展開になる。しかし、主演がギレンホールということもあって、決して好戦的な主人公にはなっていない。それでも視点はやはり西欧人のメンタリティ。
何が正しくて、何が間違っているのか、それを見極めるのは難しい。例えばガザの紛争では世界の多くの人は、パレスチナに同情的。でも、その裏にいるのは、ウクライナの戦争でロシアを積極的に支援しているイラン。
イランは、国内では女性たちの自由を奪って問題になっている国。しかし、日本ではイラン非難の声はほとんど聞かない。
この映画で描かれるアフガニスタンもしかり。タリバンの政権を積極的に支持など出来ない。しかし、アフガニスタン人はそれを受け入れざるを得ない。
21世紀の世界はますます複雑になっている。正義なんて、もう死語なのだと、この映画を観て逆にため息が出た。