24年映画は映画館で67「52ヘルツのクジラたち」優しい映画なんだけどリアリティは? | con-satoのブログ

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 杉咲花、志尊淳が共演した「52ヘルツのクジラたち」。物語は杉咲花が住む海沿いの町で、虐待と思しき子供に出会うことから始まる。しかし、母親は「ウチには子供なんておらん」とシラを切る。実はこのヒロインも虐待されていた過去があった。

 物語は3年前に遡る。彼女が自殺しようとする時に、ある男(志尊淳)に助けられる。同級生の友人でもある男は「生きよう」と彼女を励ます。

 それをキッカケに彼女は前向きに生きていく。

「52ヘルツのくじらたち」★★★☆☆

 登場人物たちがそれぞれの問題を抱えている。まさに現代の物語。今年「市子」で数々の映画賞を獲得している杉咲花。この映画でも傷ついたヒロインを見事に演じている。志尊淳も、自分の問題を差し置いて、人に尽くす優しい人物を的確に表現している。

 人の優しさを描く映画。それには好感を感じるけど、イマイチ、リアリティがない。すべてキレイごとなのだ。

 志尊淳などは一体、何をして生計を立てているのか?杉咲花の住む大分の家はどういうルートで彼女が住むことになったのか?そういうすべてを描くことなく、美談のベールで覆っている。

 リアリティがあるのは余貴美子の母の姿。親が背負う哀しみを切なく見せる。別れの飛行場のシーンは秀逸。

 俳優の演技など優れたものがたくさんあるのに、物語のベースにリアリティがないので共感が深まらない。

 「孤高のメス」「八日目の蝉」「ファミリア」など人生を厳しく見つめて来た成島出監督。この映画は優しさがやや表面的なのは残念。