24年映画は映画館で64「白日青春」アンソニー・ウォン渋さを堪能する | con-satoのブログ

con-satoのブログ

映画を中心にエンタメ、旅などを紹介しています。

 香港の映画スター、アンソニー・ウォンが主演している「白日青春」。アンソニーが演じているのはタクシー運転手。70年代に本土から密入国した過去を持つ男。息子も成長して今は警察官をしている。しかし、親子関係は最悪。移民に偏見を持つ父親は、息子に「自分だった移民のくせに」と言われてしまう。

 そんなある日パキスタンからやって来た少年と関わりを持つようになる。少年は香港を経由してカナダへ移民することを願っていたが、父親は車に轢かれて死亡してしまう。行き場のない少年は、ギャングの仲間入りして警察から追われる身になってしまう。そこで出会ったのはアンソニーのタクシー運転手だった。

「白日青春」★★★★☆ 

 80年代から90年代の香港映画全盛期、味のある脇役俳優として活躍したアンソニー。90年代だけでも100本以上の出演作のある名優。その渋さを堪能した。

 アンソニー自身は2014年の雨傘運動に賛同したということで映画界から締め出されていたのだとか。そんな積年の想いも、この映画には込められているのだろう。消え行く、かつての香港。そんな哀愁を感じる映画。

 アンソニー・ウォンが渋い。頑固で融通のきかない親父。移民に偏見しか持っていないような旧世代の凝り固まった老年の男を味わい深く演じている。
 基本的には脇役専門で、しかも政治的な問題で干されてしまった名優。それがいい年になって「主演」で迎えられた嬉しさは、この上ないものがあるだろう。キャリアがあるからこそ、主演の重みを実感する。
 変わりゆく香港への哀愁も、映画に哀しくも美しい余韻を残していた。観光客が見ることのない地についた香港民の現実。これも映画ならではの世界。