山崎豊子の67年の長編小説「仮装集団」で思い出す昭和的記憶①共産党系組合 | con-satoのブログ

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 山崎豊子の小説は本当にハズレがない。特に好きなのは初期の大阪を舞台にした小説。山崎豊子というと晩年の企業などを舞台にした長編小説の人というイメージを持っている人が多いはず。「華麗なる一族」「不毛地帯」「白い巨塔」「沈まぬ太陽」など。銀行、商社、病院、航空会社など、日本の巨大組織を舞台にした欲望うごめくドラマを超のつく長編で描く作家のイメージ。

 しかし、個人的には大阪(浪速と表現した方がぴったりくるような)を舞台にした「商い」小説が面白いと思っている。

 吉本せいをモデルにした「花のれん」。「暖簾」「ぼんち」「しぶちん」など船場を舞台にした作品など滅法面白い。

 船場ものではなくても、関西を舞台にした「女の勲章」「ムッシュ・クラタ」なども関西を知り尽くした山崎豊子しか描けないような独特な世界。

 「仮装集団」もそんな関西もの。昭和42年に出版された作品。日本が高度成長期を歩む時代の社会を描いている。

 主人公は音楽プロデューサー。彼は労働組合に支えられた「勤音」という組織でプログラムを担当している。この「勤音」という組織は、いかにも昭和の労働組合の左翼的な存在。1960年代にアメリカのポピュラー音楽を「帝国主義的退廃」だと言い切るような輩が牛耳る組織なのだ。



 当時の知識がないと「こんなバカな」と思うってしまうだろう。それでも、今でも、共産党の支持者などは基本は変わらないのではないかと思う。

 今から20年ほど前だから、もう昭和ではなく平成の真ん中あたりの頃。当時勤めていた出版社で内紛があり、社長を吊し上げるためだけに労働組合が結成された。

 労働条件改善などという目的があったわけではなく、邪魔者の社長を追い出すための組合結成。それを請け負ったのが出版社に強かった共産党系の組合。組合結成に動いた幹部たちは、会社から1000万単位の「解決金」を手にしてニンマリと会社を去った。残されたのは平社員数名。

 そんな情けない組合。指導する労働組合の幹部。これがいかにも「共産党」色の強い昭和の生き残りみたいな人たちだった。

 ある時、電話で呼び出され、お茶の水の組合の事務所まで赴くと、どんな緊急な用事なのかと訝っていると「今度の都知事選ではウチが推す宇都宮さんに投票するように」という指示。こんなことを言うために、平日にビシネスタイムに呼び出すセンスに頭がくらっとした。