ムロツヨシが吉良上野介を演じる「身代わり忠臣蔵」。あの忠臣蔵の外伝なのだが、これがなかなか楽しいコメディに仕上がっている。
ムロツヨシは兄の上野介と弟の孝証の二役を演じている。殿中で浅野に刺された兄、上野介はその傷が元で亡くなったしまったという設定。
それではお家取り潰しになると、家老は身代わりを立てる。身代わりにさせられたのは、兄にそっくりな末弟の孝証。しかし、兄に反発していた弟は自分らしさを優先、お堅い家臣は困惑。しかし、優しくなった殿を周囲は歓迎する。
ある奇縁で大石蔵之介(永山瑛太)とも仲良しになる身代わり。さて、討ち入りは?
「身代わり忠臣蔵」★★★★☆
監督は「鈴木先生」などの河合勇人。脚本は「超高速、参勤交代」の土橋彰宏。職人コンビがウェルメイドなコメディを仕上げている。
人のいい弟を演じるムロツヨシがいい。お話は嘘くさいのに、それを感じさせない軽やかさがある。
意外な歴史の勉強になったのは、柳沢吉保との関係。吉良邸というと、何の疑問もなく、本所だと思っていた。本所にいったのは討ち入りを前提に柳沢が城内から吉良を追い出したということ。
たしかに有力大名でお屋敷が本所では、当時としては江戸のはずれ。川向こうなのだ。格下もいいところ。
大石との友情というのも、あり得ないのだけど、物語の展開がうまいので納得してしまう。楽しく笑える時代劇。