BSプレミアムシアターで見た2001年日本アカデミー賞を独占した黒澤明脚本「雨あがる」 | con-satoのブログ

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 2000年公開で、第24回日本アカデミー賞で作品賞など8部門を受賞した「雨あがる」をBSプレミアムシアターで観た。公開時、見損なっていたので、日本アカデミー賞授賞式の時に、その独占ぶりに驚いた。「そんな名作を見損じてしまったのか!」と、長年思っていたのだ。


 主演は寺尾聰。腕利きの剣士なのだけど、生き方が下手な不器用な武士。今は妻と放浪の日々。雨続きで川どめになって宿に滞在している。宿は武士が宿泊するような質の宿ではなく庶民が一時しのぎするような安宿。

 ある日、滞在する藩の若者たちの諍いの場に立ち会い、彼らを諌める。そのさまを殿様が見ていて、彼を城に招待する。彼のユニークな武道放浪話を聞いているうちに「うちの藩の師範になって欲しい」と懇願される。しかし家老たちは、余所者の起用が面白くなくてという展開。

 妻役は宮崎美子。殿様は三船敏郎の子息、三船史郎。黒澤明の遺稿の映画化ということで黒澤映画へのオマージュの意味で子息の起用なのだろう。容姿はいいのだけど、演技が凡庸なのが残念。

 物語は山本周五郎の人情話。監督は黒澤映画の晩年、助監督を務めた小泉堯史。堅実で誠実な作風なのだけど、やはり黒澤映画ではない。

 主役の寺尾聰以下、原田美枝子、仲代達矢、松村達雄など黒澤ゆかりの演技陣の層は厚い。でも、全体にあっさりした味付けなのだ。

 寺尾聰の主演賞は納得するけど、8部門最多受賞作は、その年、よほど不作な年だったのだろうか。