ショパンコンクールで名を馳せたピアニスト、反田恭平のエッセイ | con-satoのブログ

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 2021年のショパンコンクールで日本人としては最高位2位(内田光子と同位)に輝き話題になった反田恭平のエッセイ「終止符のない人生」を読んだ。

 音楽とは無関係の両親の元で育った反田恭平。少年時代はサッカーとピアノの二刀流だったそうだ。反田少年が重きを置いていたのはサッカー。しかし、怪我をきっかけにピアニストへの道にシフトしていく。

 そんな半生が綴られるエッセイ。もちろんハイライトはショパンコンクールまでの道。

 これが実に戦略的。いかに勝つか。それを合理的に考え、実行していく。成功の裏には戦略あり、なのだ。

 そこが純粋培養でピアニストになった人との違いで面白い。ある意味、ビジネス書のような面白さ。

 そこにショパンへの想いも伝わってくる。ポーランドの国民的作曲家。さまざまな歴史を経てきたポーランドではショパンは格別な存在だということが伝わる。

 ポーランド人のピアニストはあまりのプレッシャーで途中棄権してしまったそう。そのぐらいの緊張感がこのエッセイからも伝わってくる。

 反田恭平といえば、クラシック音楽をいかにビジネスにするかで、行動していることで有名。若くしてマネージメント会社の代表でもある。

 このエッセイの後半は、そのビジネスについて。これは退屈だった。彼が従来の形を破ってクラシック界を新しくしたいというのは正しい。しかし、それがYouTubeや有料配信で可能かといえば疑問。

 結局それは反田ファン作りにはなるが、クラシック全体のファン作りにはならないと思う。それは團十郎のパターンに似ている。

 團十郎ファンは歌舞伎が好きになったのではなく、團十郎を好きになっただけ。彼の行動が歌舞伎界にプラスにはなっていない。それに、実際の動員には結びつかない。

 クラシックや歌舞伎のような古典は、そのものに理解がなければ、結局、裾野は広がらない。彼の意欲はわかるけど、自分だけ「新しいことをしている」は違う。

 ホリエモンや幻冬舎の箕輪(さらに武井壮)がお手本では、なかなかディープな展開にはならないと感じた。