泉ピン子の自伝的ドラマ「女は一生懸命」。オンエア当時も見ていて良く出来ているなと思っていた。しかし、こうして年月が経ち、再び見ると見える物語の深みが違う。
一番の違いは、当時はピン子と橋田寿賀子、そして石井ふく子がしっかりタッグを組んでいたこと。橋田寿賀子没後はピン子とふく子は対立。石井ふく子はピン子のことを「嘘つき村の村長さん」と呼んでいる。
もともと石井ふく子にとってピン子は外様だったのだろう。新派の大御所の娘として業界に入り、そのままドラマのプロデューサーとして成功した石井ふく子。周囲には、プライベートな友情で結ばれた大物女優たちがずらりといた。池内淳子、長山藍子、山岡久乃などなど。
ピン子とは橋田寿賀子脚本作品だけ。全員の代表作になった「渡る世間は鬼ばかり」。しかし、このシリーズが長くなればなるほど、石井ふく子とピン子の関係はほころびを見せていた。
石井派という女優が「なんでピン子みたいな芸人を使うの?」と抗議。その時、石井は「あの人には数字があるから」と答えたらしい。
その点、橋田とピン子には「絶対的」とも言える信頼関係があった。橋田は常々、芸能界には友達なんていない、あるのは仕事関係と公言していた。これは、いつも友情関係を優先する石井へのあてつけとも取れる発言だった。
ピン子との信頼関係は「挫折」という共通体験があるからだと思う。お嬢さんのまま成功した石井ふく子とは違うという意識があったのだと思う。「今に見てろ」というのは、この挫折から生まれた気持ち。「女は一生懸命」は橋田寿賀子とピン子の真の友情関係と共感をベースにしているから傑作なのだ。
