23年映画館愛がとまらない74「メグレと若い女の死」久しぶりのルコント、ドパルデュー | con-satoのブログ

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 パトリス・ルコント8年ぶりの新作「メグレと若い女の死」。フランスの国民的人気作家ジョルジュ・シムノンが創った人気キャラ「メグレ警部」。今回演じるのは、フランスを代表する名優ジェラール・ドパルデュー。

 1953年のパリが舞台。シルクの高級なオートクチュールのドレスで着飾った女の遺体が見つかる。その事件を追うメグレ。


「メグレと若い女の死」★★★★☆

 上映時間89分。いつもながら無駄のないルコントの映画。ドパルデューは私生活のさまざまな問題でフランス本国では、映画界からは敬遠される存在になっているけど、そんな外野の声を気にしないルコント。うまければ、私生活で問題を起こそうと気にしないという元来のフランス人らしい個人主義に基づく起用。(ウディ・アレンを排除するアメリカでは考えられない)

 たっぷりと太ったドパルデューのメグレ。日本で言えば金田一みたいな存在か。セミ・クラシックな1950年代をスタイリッシュに撮るルコント。時代遅れな雰囲気が作品にピッタリの名優。アメリカ映画にはないフランス映画らしい世界を楽しんだ。

 この時代のパリを再現した美術が見事。衣装も美しい。映画を見ていると、この時代にタイムスリップした気分になるのだ。50年代のパリの何とエガントなこと。漫画家のルコント、毎度、絵作りが完璧。

 驚いたのは、映画館が満員だったこと。武蔵野館の小さなスクリーンだったけど、年齢層の幅も広い。こんなクラシックなテイストの映画。どの部分が若い観客も惹きつけるのだろうか?このタイプの映画が観客の興味を惹きつけるなんて、オールド映画ファンには嬉しいこと。