昨年のベルリン国際映画祭で審査員賞など3冠に輝いた濱口竜介監督の「偶然と想像」が公開中。今年、世界の映画賞を賑わしている「ドライブ・マイ・カー」と共に2021年公開の日本映画の1位2位を独占しそうな勢い。
村上春樹の短編集を1本の映画にまとめた「ドライブ」とは違い、この「偶然」は濱口監督のオリジナル脚本。しかも、珍しい中編3本の構成。3本に目立った共通項はない。
3話の共通点は、女性が主人公で、話が恋愛にまつわる話だということぐらい。設定も世代も違う、女性3人の今の物語。
これが優れていると思った。今の日本を描きながら、普遍的な都会人の生活が見えてくる。このままの脚本でロンドンでもパリでもニューヨークでも映画化できる。
それは濱口監督の目がまさに、この世を正確に捉えているから。やや上から下を見るような是枝監督とも違う。濱口監督の目線はフラットなのだ。
1話のモデルの女の子の話も面白かったが、3話の女性の話は格別優れていた。LGBTを扱っているけど、それを社会問題にするわけでもなく、あくまでも個人の恋愛のかたちとして展開させる。それでいて、リアルなのだ。大上段で権利を語るより、はるかにLGBTのリアルを見せて、理解させる。
「偶然と想像」★★★★★。短編集とか中編集の映画って、どこか形式的で成功列が少ない。これは中編集映画として映画史に残る傑作。
