今年のアカデミー賞で脚本賞を受賞した「プロミシング・ヤング・ウーマン」が公開された。ヒロインは優秀な医学生として将来を期待されていた。しかし、彼女が選んだのは「約束」された道とは違う道。それは何故という話。
監督が英国の女性エメラルド・ファネル。アカデミー賞を受賞した脚本を彼女自身で監督。ファネルとともに製作に名を連ねるのが主演したキャリー・マリガン。「わたしを離さないで」「17歳の肖像」など大人しい英国女性のイメージから一転、この映画では目的のためには手段は選ばない冷酷さを持つ女性を演じている。
ヒロインのカサンドラは元医学生。友人の医学生が同級生にレイプされ、そのショックで自殺していまう。それまで、世間に従順に生きようと思っていたカサンドラの人生が変わると話。
男優先の社会を女の手で制裁を加えるというのは、ある意味「必殺」シリーズの主水のよう。それを優しげな顔をしたマリガンが演じているギャップがいい。製作も兼ねるだけに熱演。アカデミー賞ノミネートは納得の演技。説得力のある女性たちによるフェミニズム映画。
「プロミシング・ヤング・ウーマン」★★★★★。何でこの映画がアカデミー賞じゃないの?と思うほど傑作。被害者の痛みが、観客にディープに伝わる。マリガンも主演女優賞は当然の演技。予告編は見ていたが、ここまでの作品とは思わなかった。