長かった梅雨がやっとあけて、いきなり盛夏の東京。アスファルトに照り返す太陽光線が一段と厳しく感じる。
そんな中、この都会の厳しい熱波を忘れさせてくれる映画がある。グリーンランドを舞台にした「北の果ての小さな村で」。
主人公はデンマークの青年。8代続く農家に生まれた青年は、ひとりっ子。必ず、家業につくことが期待されている。そのプレッシャーから逃れるためにグリーンランド行きを希望する。
グリーンランドが旧デンマークの植民地で、今でも、多額の援助をして、国語のデンマーク化をすすめていることが、この映画の背景。
彼はデンマーク語の教師としてグリーンランドへ行くのだ。そんな事実があって、現地の人は彼に冷たい。現地の人はデンマーク化を、それまでの自分たちの生活・文化を否定するものと嫌っていたのだ。
極寒の地で孤独を強いられる青年。しかし、次第に住民との距離を埋めていくという話。グリーンランドがデンマークの植民地だったなんて、まったく知らなかった。それだけに両者の関係は複雑。
しかし、この映画の主役、実はグリーンランドの雄大な風景。厳しいけどおおらかな風景を前にすると、政治関係など小さなことなのだ。四季を通じて描かれる北の果ての島。
彼らの顔が、ほとんど我々と同系列なのも親しみを呼ぶ。(デンマーク人には違和感か?)この風景が本当に美しい。実際に住んだら大変な場所なのだろうけど、地球にはまだまだ美しい場所があるのだと思った。