日本で一番歴史のある映画雑誌「キネマ旬報」。恒例のベスト10と個人賞が発表された。ベスト1は「この世界の片隅で」。クラウドファンディングで製作されたアニメ映画。アニメ映画としては28年ぶりの1位。小規模公開された映画、かつアニメというハンディを乗り越えた栄誉。監督賞の二冠はおめでたい。苦労しながら製作した映画が報われるのは、映画ファンとしても素直に嬉しい。しかし、大ヒット作品「君の名は。」はベスト10圏外。大ヒットに対する、やっかみとしか思えない結果。個人賞で嬉しかったのは、主演女優賞の宮沢りえ。助演女優賞の杉咲花の「湯を沸かすほどの熱い愛」の二人。映画はもちろん良かったが、この二人の繊細な表現力が映画を支えていた。幼い頃から国民的アイドルだった宮沢りえ。ジェットコースターのような人生だが、俳優業では、地に足をつけた歩み。「シン・ゴジラ」は2位で、脚本賞も受賞。個人的に残念なのは「怒り」と「ミュージアム」でまったく違う人物を演じ切った妻夫木聡が助演男優賞ではなかったこと。「永い言い訳」の竹原ピストルは確かに良かった。でも、あの演技は、主演の本木雅弘が主役でありながら「受け」の演技に徹した妙技に支えられていた演技。新人賞ならわかるが、助演男優賞受賞では、妻夫木や渡辺謙などプロの俳優が浮かばれない。カンヌで史上最年少で男優賞を獲った柳楽優弥が10年かけて、 自力で主演男優賞を獲ったのは記憶に残る受賞だった。