毎日名盤第150回 ヨッフムのシューベルト:交響曲第5番を聴く | Eugenの鑑賞日記

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 シューベルト:交響曲第5番 推薦盤 ヨッフム指揮 バイエルン放送響 ドイツ・グラモフォン 1957年

 久しぶりの更新になりました。ちょうど第150回、個人的な事情もあり、以前よりも短めの文章になると思います。

 シューベルトの交響曲の中では、《未完成》《グレイト》の次にポピュラーなのが、この愛らしい曲想の「第5」であろう。同じ「第5」でもベートーヴェンとは大違い、平穏で田園的な交響曲である。編成も、クラリネット、トランペット、ティンパニのないこじんまりしたものである。しかし、シューベルトの夢がいっぱいに広がったロマンティックな作風が非常に魅力的だ。

 演奏は、ヨッフム指揮のバイエルン放送響で。南ドイツのあたたかいオケの音色、この頃のバイエルン放送響は今よりもローカル色の強いオケだったということがわかる。もちろん、ヨッフムの馥郁たる音楽づくりにはいつもながらほれぼれしてしまう。この演奏、今はなかなか新品で見かけないが、ぜひとも市場に出回ってほしい名演である。

 第1楽章のチャーミングな第1主題のアーティキュレーション、表情豊かな第2主題などヨッフムの芸風にこの曲がぴったりだと思うし、第2楽章の綿々と紡がれる歌など、ヨッフムの温顔が浮かんでくるようでほっとする。第3楽章は、ブルックナーを先取りしたレントラー風のスケルツォだが、主部の引き締まった表情、トリオの愛らしさのコントラストも見事。第4楽章は、第2主題の愉悦感に思わず調子を合わせてしまうくらい。これほどの演奏が今、入手が難しいのがもったいないくらいだ。

 演奏 ★★★★★

 録音 ★★★

 総合 ★★★★★